宴の翌朝

くねひと

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#3 ミツルとジュンの関係

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 9月下旬のある週末………。週末とは言え、湘南にあるこのリゾートホテルも、夏のハイシーズンが過ぎると閑散としたものだった。大学一年のジュンとミツルは昨日、ジュンの車でこのホテルにチェックインしたのだった。

(それにしても………)
 二人の関係を知ったら、みんなどう思うだろうか………
 なかなか寝付けないミツルはいろいろと思いをめぐらす。同じサークルに入っている二人だが、かたや180センチの長身のジュンに対し、ミツルは160センチと小柄で顔つきもあどけない。この間も中学生に間違われたほどなのだ。

 こんな二人は背丈から言えば、良いカップルかもしれない。でも、ジュンがミツルを支配しているという妖しい関係はどうだろう。普段の二人からは全く想像もできないことなのだから………
 陽気で快活なミツル、無口でややもするといるのかいないのか分からないくらいおとなしく目立たないジュン………
 しかしこれが二人だけになると変わるのだ。
 ジュンはミツルを責め上げ、ミツルはそれに耐える。耐え続ける………。

 それが二人の愛し方だった。
 この日もジュンは執拗にミツルを責め上げたのだった………。
 何時間もジュンに責め上げられた体は鉛のように重く、ベッドの底に沈み込んでいくようだった。気持ちは昂ぶっていたが、肉体は休息を欲していた。いつしか、不自由な格好で、ミツルは深い眠りに落ちていった…………。

 そして、今朝になった…………。
 少し体の節々が痛い。それも無理ないことで、ジュンに両手を拘束されてから、かれこれ十時間は経とうとしていた。でもその痛みも含めて、ミツルは甘い被虐感に浸っていた。

 目が覚めても、後ろ手縛りのまま放置されている。
 子供のころ、呼んだ冒険小説で、主人公の少年が飲み物に眠り薬を入れられて、ぐっすりと寝入ってしまい、起きたら両手を縛られていたという場面があった。ミツルもいつかそんな目にあってみたいと思っていたのだが、今日それが現実となったのだ。

 そして自分に縄にかけた相手は気持ち良さ気に隣のベッドで眠っている。でも、ジュンが寝ていようがいまいが、こうしてジュンに掛けられた縄目の中にいる以上、ミツルはジュンの支配下にあるのだ。再び、ジュンに縄をといてもらうまで、この隷属関係は終わらない。
 そう思っただけで、ミツルの胸はキュンと切なくなってくる。でも同時にミツルはジュンに抱きしめられているようなやすらぎも感じるのだった。満ち足りた思いの中、再びミツルは浅い眠りに落ちていく………
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