転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨

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使い捨て幹部

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 金を貯め込んでたっぷり寝ること数日経って魔王城で待ち伏せしていると、予想通りに凸凹夫婦兄弟の元アダムス幹部がおいでなすった。最初はわてが待ち伏せしてすぐにその草臥れ男が肢体を投げ出して謝罪と感謝をするものだから、周りの悪魔達の目が集まってさすがのわても恥ずかしいから、魔王城の手続きを済ませて、中にある食事処の飯屋に入った所で三人人混みの中席を獲得した。今回は話す内容が漏れたら不味いもの……音声遮断と念には念を込めてダミーの結界を二重に張った。魔力とダミー結界水晶使い捨ての出費が痛いわ~。

「ほれ、言うてみいやほれほれ」

「うるせーぞ骸骨! バーカバーカ!!!」

「馬鹿はてめぇーだ。恩人になんて口聞きやがるデキュナス!!!」

 警戒心丸出しのピンクちゃんをからかうような口調で、手をひらひらして見ると予想通りに顔がむくれて、バーカバーカと怒りをあらわにしてきた。自分の子供やったら厄介だが孫にはこれくらい元気で素直な子がええの~っと眺めて居たら、あの男がポカンっとデキュナスちゃんの頭を軽く叩いた。すかさずデキュナスちゃんが机の下で足を、思いっきり踏んでやり返していた。二人の顔がにらみ合うのは見てて面白いところだが、周りが迷惑なのでわてもすかさず割り込む。

「ええよ、わてはお前助けた気なんてこれっぽっちもないわ。わてが勝手に投げつけたポーション、あんさんが地べた啜って、捨てたポーションあんさんが拾っただけや。つまり対等にわてはあんさんらから情報を買う……。悪魔族の国の店で悪いとこなんやけど、好きなように飲み食いしい。金も身分証もないからひもじいやろ」

「えッ! いい骸骨じゃーん。じゃあ、私はこの淀虫の甘クリームパフェと、パンケーキと、あとマカロンの……あとあと」

「この馬鹿がすまん」

 ここの食事処の飯を驕る話しになると、今までのむくれ顔は一転させた笑顔でわてをキラキラしたお目々で見つめた後に、メニューを持ってあれも、これも、っと色々物色し始めた。呆れた男が天を仰ぐように天井を眺めながら謝罪をしてきた。中々可愛いがやっぱり曲者やなこの嬢ちゃんも。

「ええよ。うちのお転婆黒女よりは素直でええやんけ。スカした子供の相手は気が滅入るで?」

「あぁ、確かにな。気が滅入るが嫌いじゃないんだろう?」

「おん、人間性で居れば他のを差し置いて真っ先に引き抜いて側近にしたいくらいや。そいじゃ、アダムスの脱出経路をたのもか」

 注文の品が届いて足をバタつかせて喜ぶ、デキュナスに暖かいまなざしを送りながら自分の主となった少女を空洞の眼球の裏に写す。このくらい素直で子供らしかったらもっと我が儘させ安いのだが……っと心の中で呟く。ちゃんと泣いて我が儘を言われるのがこんなに有り難いと感じるのは、相当聞き分けがよぎる子供の主はんのせいやなっと二度目を心の中で呟いた。

 部下としちゃ、主はん……カリスティアはんはこれ以上ない素晴らしい人材だ。わてが法王の立場だったときにカリスティアはんが要れば真っ先に引き抜いて手塩に掛けて育ててもいいくらいだ……。だが主はんにすると大変や……我が儘言ってくれずに全てしまい込むんやから……。部下の方が心配で倒れるわ、主はんが上に立ったら。

 美味しそうにパフェにかぶりつくデキュナスちゃんを見て、せめてこの一ヶ月が主はんにとって安らかであることを神に願おう。我が親愛なる神よ……我らに一時の安らぎを与えたまへ。

 祈りの姿勢で手を合せて、祈りの向こうのアダムスの二人を見る。二人とも祈るわてを何も言わずに見るだけ。お言葉に甘えて祈りを済ませて、合せた手を戻した所で話しは始まった。

「先に言うが、音声遮断の結界を誰にもバレずに張れる奴にホラ掴ませる馬鹿な真似はしねぇーと誓う」

「そこのピンクのかわい子ちゃんと、あんさんにはバレてるわ、流石はあちらさんの幹部やで~。誓いは有り難くうけとりまひょか、そこの角の素敵なおねーさーん追加でトドギラスの目玉の絞りコーヒー追加で~」

 真剣にホラは掴ませないと強く念を押してくるが、もしもでホラを掴ませられても予知でわかるからこっちはええんやけどな。心の中でそう毒を吐くが、真剣なまなざしは人を見てきた自分だからわかる……嘘は絶対にどちらも付かないと。イスに座り治しそれぞれ真剣な面持ちでこちらを見る二人の視線を受け止める形で見据えた。さて、話しまひょか。


「記憶喪失を治せる研究者……と聞かされて来ているんで間違いないか?」

「おん、それは三人から聞いてるから間違いはない」

 三人から聞いているのはラブマルージュという男から、薬による記憶喪失を治せる人間が居て、自身の腹心の部下がそこに居るから保護してこいということ。普通に聞いたらわてじゃなくても疑問だらけの依頼だが、主はんと主はんの覚悟と気持ちを一番近いところに居るグラスはんは……たとえおかしく共引き受けるだろう。

 俺が最初に一番思ったおかしいという違和感は当たっていたようで、わかりやすく二人の顔色が変わる。コーヒーを持ってくるねーちゃんが「喧嘩はしないでおくれ」っと釘を刺すくらいには重い空気がわてらの周りを支配して居る。

「はぁ、ならここから話しを始めるか。まず、記憶喪失を治せる研究者じゃない……そのラブマルージュという奴はリチェルリット王妃……リチェルリット国王の王妃の奪還が目的だ」

「な、嘘やろ」

 違和感はあったが、死んだとされていたリチェルリット王妃の奪還だとは思わなかった。音声遮断をしているからわての荒い声は周りに聞こえることはないが、二人にはバッチリ聞こえている。わての動揺が直に伝わって、パフェからパンケーキ食っていたデキュナスちゃんは一度食べる手を止めてフォークを置いた。カチャリとフォークが置かれる音と共に話しが進む。

「嘘か本当かは自分の目で確かめろ。そして強化剤は王妃がお作りになられた物だ。ラブマルージュという男が我が国……いや、アダムスに生死を隠して逃がしたんだ。当然国は把握して面倒事を被らないように丁重に保護して追い返そうとしたが……。

 鎖国には切り離せない、人材不足の問題の為に贔屓してた奴隷商売のトップのエリニュスに、そそのかされる感じで王妃様の【代償】を使い。【指定した記憶を代償に絶大な力を与える】効果を持った薬を開発した。そこの理由や詳しいことは、流石にわからないが……王妃様の同意の元に行ったということは聞いている。

 そうして、強化剤を人身売買組織に提供する代わりに、望みの分の奴隷を卸してくれることで、契約が成立した。人材不足が極限状態で、渡ってくる冒険者を細々と捕らえるのにも限界を感じていたからな。

 そんな中で王妃様を丁重に保護をして暫く経って、突然ラブマルージュから王妃様を帰して欲しい、使いの者を今から向かわせたと。突然に言われた物だから、世界情勢も相まってリチェルリットは我々に戦争を仕掛ける気だ……悪魔に洗脳された国が我々を食い散らかそうとしている……と上は恐れおののいた。

 王妃が居なけりゃ俺らは国は限界で、その上戦争になったら地図から国が消える……だから、お前らを秘密裏に殺すことにしたんだ。上層部はラブマルージュの世界の為という言葉に踊らされ、エリニュスには、国を盾に取られて……。 だれも冷静な判断ができなかったんだ。情けねぇ話しだ」

 流れに流されて場合によっては、この情勢の悪化をアダムスが仕組んだことと言われかねない自体を引き起こしたのは正直言って、頭がお粗末過ぎる。知識を蓄えるのは得意だが使うのは苦手なあったまでっかちですっと要っているような物だ。こんな所でリチェルリット王妃が自体に絡んでくるのは、予知を持つ自分とはいえ予想外が過ぎる。頭が重くなるようにがっくりと項垂れる。ほんまに、頭が重い気がしてくるわ。

「はぁぁぁ…………。頭がこんがらがって来たわ。ついでに主はん……カリスティアはんの事はなんてきいとる?」

「「ターゲット」」

 他に有益な情報をと、主はんの事を聞いてみると二人そろって同じ言葉を言ってから、パンケーキをデキュナスちゃんは食べ始め、男もデキュナスちゃんが食べ飽きた残飯をモグモグと処理し始めた。わてもコーヒーを一杯一気に飲み干して一息ついた。

「……単純明快ですわ、ありがとうございますぅぅぅ……」

「んで、脱出経路は鎖国をやる上で引いている水道だ。それぞれの町の区分の道に赤色の六角形の紋様の所があって、さらに中心に四角形が小さくある所が入り口だ。初見じゃわからないほどに巧妙に隠してあるからな、中に警備兵はいない。その代わり10の区分の中で一つずつしか無いから見つけるのが骨だ」

「骨だけにー……。そない睨まんでもええでっしゃろ」

 有益な情報で少し頭を持ち直したわてが、素晴らしギャグを二人にお見舞いしたら二人ともゴミをみるような目でわてを見た。見るだけながらいいがデキュナスちゃんに至っては、ドン引きというように顔を歪ませた。まって心が痛いからやめちくり~。

「だって、おっさんバージョン2の骨ギャグ寒ーい。ちょーヤバい」

「おっさんバージョン2ってどんなネーミングセンスしとんじゃ、ナイスミドルセイントガイコツさんや!!」

「ダッサー! 今時中年でもそんなダッサーイ名前使わないしー。 アッハッハッハッハ」

 確かにわて骨になったから男の婚期は過ぎとるがおっさんていう歳やないんやぞ? わてまだ20代やってギリギリ……。そう震えながら弁明すると「10代の私からしたらギリギリの20代も30も一緒!!! おっさーん」っと宣い始めた。おっさんでもも~いいも~んっと心が開き直り始めた所から、今度はゴッチン!!! という痛そうな音をデキュナスの頭と男の手が奏で始めた。

 流石に痛かったのかデキュナスちゃんが机にダウンする。ダウンする瞬間に素早く食べていたパンケーキをずらして顔に直撃を避けたデキュナスちゃんも、何気ない所に訓練された強さが垣間見える。凄い情けない見え方やけど。

「お前は五月蠅いぞデキュナス。これで俺達の提供できる話しは終いだ」

「おん、感謝するでな。ありがとさん……報酬は、要らんっちゅー顔してもダメや受け取っときぃ。そいで忠告聞く気があるなら、悪魔族の国を出て魔族の国に逃げりゃええ」

「……礼を言う」

 面白いものを見せて貰ったついでに悪魔族の国の金と簡単な予知をしてやった。予知能力のほうはわては言っていないから、タダの忠告だが、今の此奴らは聞くやろ。そう思って言った忠告と金は素直に受け取ってくれた。

「名前、なんや?」

「名無しだよ。俺は過ちを忘れない為に名前は無いまま生きていく、好きに呼んでくれ」

「おん、またの」

「またねーおっさんバージョン2!!!」

 二人があらかた食べ終わった後に魔王城の外まで送ってやった。デキュナスちゃんと名を捨てた名無し……覚えたで。デキュナスちゃんが手を振りながら名無しを引っ張って消えてゆく。わても手を振り替えして最後まで見送り魔王城の中へと戻った。

 さて、三人にわかりやすく伝えなければ。

「その前に、あのアバズレ自称ママ悪魔どこ行ったんや……はぁ……ガキより手間が掛かるわ」






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