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新年
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年明け、近くの神社へ初詣に、じーさんと行く事にした。
おじじの趣味は百姓だ。
私は小学校の頃から畑仕事や山仕事を手伝っていた。
中学の頃に、おじじ、おばばが事故で死ぬ夢を見た。
その当時、もっといろいろ手伝いすればよかったと後悔した。
目が覚めたらまだ生きていた。
「よかったー、おじじおばばがまだ生きてる~」って喜んだ。
それまでたいしてやる気のなかった、百姓のやる気が出た。
私「おい、じーさん、畑に行くぞ!」
おじじ「畑行って何するや?」
私「なんか、切るとか耕すとか何かあるだろ」
おじじ「雨だで」
私「カッパがあるだろ!」
おじじ「たいぎなわ(めんどくさい)」
おじじおばばが死んだら後悔すると思いその日から、百姓の手伝いをする為に畑に行くと言い始めた。
中学2年から大学生になるまでの間は、親の仕事の都合で県外へ引っ越した。
春休み、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始は帰ってきて、ひたすら百姓。
草刈機で草刈り、チェーンソーで伐採。
草ボーボーの山をツルリンにしてやった。
耕運機で畑を耕し作物を植える。
梅の剪定や、柿の消毒、栗の消毒に木々の肥やしやりなど。
多くのことをおじじに教わった。
小遣いももわらずに。
高校の次は大学。
おじじおばばのいる田舎には、国立大学か短大しか無く選択肢は一つしかなかった。
えーい!国立大学に行ってやれー!って事で大学を受験し無事行くことになった。
大学生になったタイミングで、おじじ、おばばのいるこの田舎へ戻ってきた。
家から大学に通うと言う人生プランを選択。
あと犬も飼うことにした。
年数が過ぎるとだんだん老いてきて、おじじ、おばばは体が弱くなってきた。
私が電気工事の仕事を就く頃には、畑をやめはじめたので私の長年にわたる百姓は終わりを迎えた。
私自身も悔いのないくらい畑仕事を手伝ったので、もう十分だろう。
おばばはもう認知症が入っていて、私の働いている施設の3階に年末に入所。
おじじも今年入所予定。
施設の職員も私の祖母が施設に入所しているのは知っているので、体調の変化等があればすぐに知らせてくれる。
リハビリのプランとかも事務課に来れば、私がいるので説明しやすいと言うメリットがあった。
今年の願いは、おじじおばばの長生きと竹田さんと何かあればいいなぁーと。
初詣がおわり家に帰った。
やることもないし暇だから、家の片付けをしていた。
押入れに大量に花火を見つけた。
私の兄弟や親戚が夏用に買い込んだ花火だけど、どうやら雨でやらなかったらしい。
竹田さんがいれば花火出来たのになぁー。
今の妻とは花火をする気なんてない。
おじじしかいないし誘ってみるか。
私「おい、じーさん、花火見つけたから、一緒にやらないか?」
おじじ「やらん」
私「花火協会を敵に回すことになるぞ」
おじじ「回いてもいい」
私「あと何回花火を見ることができるかわからんのに、ええんか?ええんか?!」
おじじ「やかましぃなぁーけぇ~」
私「せっかく楽しめると思って気を使ってやったに、このダラクソ」
おじじ「冬に花火なんてするもんだないわな」
私「どうせ誰もやらんし、仕方がねぇ俺1人で全部火つけてやるからな!」
と言って、昼間から1人しっけた花火を家の前の道路でやって楽しんだ。
たぶん、日本で正月に花火やってるのは、私だけだろう。
正月休みにおばばに会いに、おじじと施設へ行った。
事務所に行くと竹田さんが1人義務していた。
私「あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします~」
竹田「こちらこそよろしくお願いします」
私「正月勤務お疲れ様ですー、どおですか?」
竹田「今日は保育園が休みなので、子供をババに預けて来ています」
私「正月勤務はよっしー課長とともさんとo谷さんと交代でですもんね」
竹田「何も無くて暇ですよー、インスタ見たりしてます」
私「なんか壊れたりとかも無いですか?」
竹田「今のところは大丈夫ですねぇー」
私「よかったよかった。おばばの所におじじと共に行きますわ」
竹田「いってらっしゃ~い」
おじじとエレベーターに乗りおばばの入所している3階へ。
ちょうど看護師の人が部屋にいた。
髪の赤い看護師。
名札が付いてないから、名前はわからなかったが、ヤンキーの看護師だ。
施設で働き出した時には、あまり会ったことがなかった。
見た目は強烈だけど、私にもおじじにもきちんと挨拶と話はできる人だった。
髪の赤い看護師「おつかれっす」
私「おつかれさんでーすー」
この人と面識あったっけ?って思いながら、髪の赤い看護師はおばばに話しかけた。
髪の赤い看護師「波多野さーん、ご主人とお孫さんがこられましたよー」
おばば「あぁ」
よくわかってなさそうだ。
髪の赤い看護師「朝食はしっかり食べられましたよー」
私「それはよかったー、どんどん弱ってきますよね」
髪の赤い看護師「どうしてもねー、動けないと厳しくなっていきますね。タクティールとかしてますよ」
おじじ「家で、まくれて(こけて)入院して、それからだが」
腕相撲も強かったのに。
畑に行かなくなった途端おばばは認知症になった。
今年は、おじじもおばばと同じこの施設に入所する。
夫婦で施設に入所する人もいるらしい。
おじじみたいにまだハッキリしてれば、家に一時帰宅も可能。
私の両親は県外にいるので、滅多に来れないが私が田舎にいるので安心だ。
しばらくおばばとおじじは通じない話をしつつも一緒に過ごし、家に帰ることにした。
また事務課に行って、竹田さんに挨拶を。
私「竹田さんじゃあ帰るんでー」
竹田「はぁーい、私もあと30分で勤務終わりなんで帰ります。お疲れ様でーす」
私「ほぉーい」
施設からの帰り道。
山を登って下るタイミングで、交差点に差し掛かった。
対向車線にいる白バイ隊員がこっちを見ている。
おじじはシートベルトをしていない。
すれ違いざまに白バイ隊員と目があって、ターンして追いかけてきた。
私「おじし白バイ隊員がシートベルトしとらんから追いかけてきたぞ」
おじじ「あぁ、わしゃー免除だけん」
おじじはその昔、膀胱癌で膀胱を全摘出していて、ストマと言う人工膀胱を付けている。
なので、障害者手帳を持っていてシートベルトは免除されている。
なので、よく白バイ隊員や警察官に停められることが多い。
坂道をくだりきった所で、窓を開けて止まった。
白バイ隊員が話しかけてきた。
白バイ隊員「運転手さん助手席の方がシートベルトされてないので止めさせてもらいました。こっちについてきてください」
私「あぁ、わかりました」
空き地に到着。
私「おじじ障害者手帳をだしたまえ」
おじじ「ほい」
白バイ隊員「運転手さん助手席の方がシートベルトされてませんでした」
私「大丈夫です。おじじは障害者なのでシートベルトは免除です。あと私の免許証はこちらです」
と言って障害者手帳と免許証を見せた。
白バイ隊員「失礼しました。お時間とらせて申し訳ありませんでした。気をつけて行ってください」
私「はい、さようならー」
正月休みが終わった。
おじじの趣味は百姓だ。
私は小学校の頃から畑仕事や山仕事を手伝っていた。
中学の頃に、おじじ、おばばが事故で死ぬ夢を見た。
その当時、もっといろいろ手伝いすればよかったと後悔した。
目が覚めたらまだ生きていた。
「よかったー、おじじおばばがまだ生きてる~」って喜んだ。
それまでたいしてやる気のなかった、百姓のやる気が出た。
私「おい、じーさん、畑に行くぞ!」
おじじ「畑行って何するや?」
私「なんか、切るとか耕すとか何かあるだろ」
おじじ「雨だで」
私「カッパがあるだろ!」
おじじ「たいぎなわ(めんどくさい)」
おじじおばばが死んだら後悔すると思いその日から、百姓の手伝いをする為に畑に行くと言い始めた。
中学2年から大学生になるまでの間は、親の仕事の都合で県外へ引っ越した。
春休み、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始は帰ってきて、ひたすら百姓。
草刈機で草刈り、チェーンソーで伐採。
草ボーボーの山をツルリンにしてやった。
耕運機で畑を耕し作物を植える。
梅の剪定や、柿の消毒、栗の消毒に木々の肥やしやりなど。
多くのことをおじじに教わった。
小遣いももわらずに。
高校の次は大学。
おじじおばばのいる田舎には、国立大学か短大しか無く選択肢は一つしかなかった。
えーい!国立大学に行ってやれー!って事で大学を受験し無事行くことになった。
大学生になったタイミングで、おじじ、おばばのいるこの田舎へ戻ってきた。
家から大学に通うと言う人生プランを選択。
あと犬も飼うことにした。
年数が過ぎるとだんだん老いてきて、おじじ、おばばは体が弱くなってきた。
私が電気工事の仕事を就く頃には、畑をやめはじめたので私の長年にわたる百姓は終わりを迎えた。
私自身も悔いのないくらい畑仕事を手伝ったので、もう十分だろう。
おばばはもう認知症が入っていて、私の働いている施設の3階に年末に入所。
おじじも今年入所予定。
施設の職員も私の祖母が施設に入所しているのは知っているので、体調の変化等があればすぐに知らせてくれる。
リハビリのプランとかも事務課に来れば、私がいるので説明しやすいと言うメリットがあった。
今年の願いは、おじじおばばの長生きと竹田さんと何かあればいいなぁーと。
初詣がおわり家に帰った。
やることもないし暇だから、家の片付けをしていた。
押入れに大量に花火を見つけた。
私の兄弟や親戚が夏用に買い込んだ花火だけど、どうやら雨でやらなかったらしい。
竹田さんがいれば花火出来たのになぁー。
今の妻とは花火をする気なんてない。
おじじしかいないし誘ってみるか。
私「おい、じーさん、花火見つけたから、一緒にやらないか?」
おじじ「やらん」
私「花火協会を敵に回すことになるぞ」
おじじ「回いてもいい」
私「あと何回花火を見ることができるかわからんのに、ええんか?ええんか?!」
おじじ「やかましぃなぁーけぇ~」
私「せっかく楽しめると思って気を使ってやったに、このダラクソ」
おじじ「冬に花火なんてするもんだないわな」
私「どうせ誰もやらんし、仕方がねぇ俺1人で全部火つけてやるからな!」
と言って、昼間から1人しっけた花火を家の前の道路でやって楽しんだ。
たぶん、日本で正月に花火やってるのは、私だけだろう。
正月休みにおばばに会いに、おじじと施設へ行った。
事務所に行くと竹田さんが1人義務していた。
私「あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします~」
竹田「こちらこそよろしくお願いします」
私「正月勤務お疲れ様ですー、どおですか?」
竹田「今日は保育園が休みなので、子供をババに預けて来ています」
私「正月勤務はよっしー課長とともさんとo谷さんと交代でですもんね」
竹田「何も無くて暇ですよー、インスタ見たりしてます」
私「なんか壊れたりとかも無いですか?」
竹田「今のところは大丈夫ですねぇー」
私「よかったよかった。おばばの所におじじと共に行きますわ」
竹田「いってらっしゃ~い」
おじじとエレベーターに乗りおばばの入所している3階へ。
ちょうど看護師の人が部屋にいた。
髪の赤い看護師。
名札が付いてないから、名前はわからなかったが、ヤンキーの看護師だ。
施設で働き出した時には、あまり会ったことがなかった。
見た目は強烈だけど、私にもおじじにもきちんと挨拶と話はできる人だった。
髪の赤い看護師「おつかれっす」
私「おつかれさんでーすー」
この人と面識あったっけ?って思いながら、髪の赤い看護師はおばばに話しかけた。
髪の赤い看護師「波多野さーん、ご主人とお孫さんがこられましたよー」
おばば「あぁ」
よくわかってなさそうだ。
髪の赤い看護師「朝食はしっかり食べられましたよー」
私「それはよかったー、どんどん弱ってきますよね」
髪の赤い看護師「どうしてもねー、動けないと厳しくなっていきますね。タクティールとかしてますよ」
おじじ「家で、まくれて(こけて)入院して、それからだが」
腕相撲も強かったのに。
畑に行かなくなった途端おばばは認知症になった。
今年は、おじじもおばばと同じこの施設に入所する。
夫婦で施設に入所する人もいるらしい。
おじじみたいにまだハッキリしてれば、家に一時帰宅も可能。
私の両親は県外にいるので、滅多に来れないが私が田舎にいるので安心だ。
しばらくおばばとおじじは通じない話をしつつも一緒に過ごし、家に帰ることにした。
また事務課に行って、竹田さんに挨拶を。
私「竹田さんじゃあ帰るんでー」
竹田「はぁーい、私もあと30分で勤務終わりなんで帰ります。お疲れ様でーす」
私「ほぉーい」
施設からの帰り道。
山を登って下るタイミングで、交差点に差し掛かった。
対向車線にいる白バイ隊員がこっちを見ている。
おじじはシートベルトをしていない。
すれ違いざまに白バイ隊員と目があって、ターンして追いかけてきた。
私「おじし白バイ隊員がシートベルトしとらんから追いかけてきたぞ」
おじじ「あぁ、わしゃー免除だけん」
おじじはその昔、膀胱癌で膀胱を全摘出していて、ストマと言う人工膀胱を付けている。
なので、障害者手帳を持っていてシートベルトは免除されている。
なので、よく白バイ隊員や警察官に停められることが多い。
坂道をくだりきった所で、窓を開けて止まった。
白バイ隊員が話しかけてきた。
白バイ隊員「運転手さん助手席の方がシートベルトされてないので止めさせてもらいました。こっちについてきてください」
私「あぁ、わかりました」
空き地に到着。
私「おじじ障害者手帳をだしたまえ」
おじじ「ほい」
白バイ隊員「運転手さん助手席の方がシートベルトされてませんでした」
私「大丈夫です。おじじは障害者なのでシートベルトは免除です。あと私の免許証はこちらです」
と言って障害者手帳と免許証を見せた。
白バイ隊員「失礼しました。お時間とらせて申し訳ありませんでした。気をつけて行ってください」
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