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11.レイス
衝撃のお知らせから二日経ったけれど、皆死んだような顔で過ごしている。
リグレット先生のお料理教室のおかげで、食事の質はよくなったというのに全然楽しめない。
私の方も悩みすぎて、脳が休ませろと有給休暇届を叩きつけてきた。休むな働け。
「うわぁぁぁん~! このままずっと時が止まってしまえばいいのにぃぃ……!」
クラリス、涙のじゃがいも掘り。
三人娘の中で一番落ち込んでいるようなのだが、機動力も一番高い。悲しみが原動力になっているのかもしれない。
アントワネットは時折俯いたまま動かなくなってしまうし、メロディもずっと何かを考えているようだった。
せっかくこの子たちとも仲良くなれたのに、もうすぐお別れというのも悲しい。
溜め息をついていると、
「シスターリグレット! あなたに面会したいという方がいらっしゃいますよ!」
またっすかと、下がるテンション。
リグレットをあれほど疎んでいた男爵家の人間とは思えないので、またイレネーか。
前回のあれで駄目だったのかと脱力するも、私を呼びに来たおばちゃん修道女の様子がおかしい。やけに慌てているというか。
その謎は面会室にて判明した。
中に入ると、眼鏡をかけた銀髪の青年が私を見て嬉しそうに目を細める。私の同伴でついて来たおばちゃん修道女が「はぅ……」と吐息交じりの声を漏らした。
見事年上の女性のハートを射止めた青年に、私の頭の中は真っ白になってしまった。
ときめいたとかでは断じてなく。
「初めまして、リグレット嬢。僕の名はグライン公爵家の次男、レイスと申します」
存じているとも。何せゲーム本編でよく見た顔だ。なんたって公爵子息の弟なのだから。
第二子とはいえ、伯爵子息のイレネーよりも格上の人間となる。
「実はイレネー様から、あなたと対面したとお聞きしました。僕ともお話していただいてもよろしいでしょうか?」
「……このような私でよろしければ」
緊張のなか、レイスの向かい側の席に座る。
目がバッチリ合ってニッコリ笑顔を送られて、私はゲッソリ苦笑い。
何を隠そうこのレイスというキャラ、公爵子息ルートにて死ぬ人である。
リグレット先生のお料理教室のおかげで、食事の質はよくなったというのに全然楽しめない。
私の方も悩みすぎて、脳が休ませろと有給休暇届を叩きつけてきた。休むな働け。
「うわぁぁぁん~! このままずっと時が止まってしまえばいいのにぃぃ……!」
クラリス、涙のじゃがいも掘り。
三人娘の中で一番落ち込んでいるようなのだが、機動力も一番高い。悲しみが原動力になっているのかもしれない。
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せっかくこの子たちとも仲良くなれたのに、もうすぐお別れというのも悲しい。
溜め息をついていると、
「シスターリグレット! あなたに面会したいという方がいらっしゃいますよ!」
またっすかと、下がるテンション。
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前回のあれで駄目だったのかと脱力するも、私を呼びに来たおばちゃん修道女の様子がおかしい。やけに慌てているというか。
その謎は面会室にて判明した。
中に入ると、眼鏡をかけた銀髪の青年が私を見て嬉しそうに目を細める。私の同伴でついて来たおばちゃん修道女が「はぅ……」と吐息交じりの声を漏らした。
見事年上の女性のハートを射止めた青年に、私の頭の中は真っ白になってしまった。
ときめいたとかでは断じてなく。
「初めまして、リグレット嬢。僕の名はグライン公爵家の次男、レイスと申します」
存じているとも。何せゲーム本編でよく見た顔だ。なんたって公爵子息の弟なのだから。
第二子とはいえ、伯爵子息のイレネーよりも格上の人間となる。
「実はイレネー様から、あなたと対面したとお聞きしました。僕ともお話していただいてもよろしいでしょうか?」
「……このような私でよろしければ」
緊張のなか、レイスの向かい側の席に座る。
目がバッチリ合ってニッコリ笑顔を送られて、私はゲッソリ苦笑い。
何を隠そうこのレイスというキャラ、公爵子息ルートにて死ぬ人である。
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