【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵

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本編

27.おじい様参上①

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「お前ら、わざとやってんだろ」



 デニスの声で我に帰る。

 地面に胡座あぐらをかいているデニスがこちらを睨んでいて、その横にはブリトニーが仁王立ちしていた。

 私たちは空気の読めない人扱いされたらしく、それはちょっと納得がいかない。

 そんな微妙な空気の中、どこからともなく拍手が響く。

 驚いて振り返れば、おじい様がこちらへ向かって歩いてきていた。



 ななな、なぜここに!



 驚き過ぎて動けない私におじい様が声をかける。



「これで決まりだな」

「え?」



 何のことか分からない。

 それは私だけではないようで、ほかの三人も怪訝な表情をしている。



「ブラッドリーだよ。昨日相手をした時も思ったが、デニスとやって勝ったのだ。大手おおでを振ってお前の婚約者と名乗れるだろう?」

「あ……」



 おじい様はもしかして、この決闘デュエルをわざと止めないで見ていた?



「二人とも、気が済んだか?」

「おじい様!」

「グランデ卿……失礼致しました」

「かまわん。ワシが止めるなと言ったのだ」



 それを聞いた二人は『やっぱり』という顔で周囲を見渡した。

 審判を務めた騎士が頷き、よく見れば他にも辺境伯領の騎士たちがチラホラ見える。

 何のことはない。

 結局はみんな、おじい様の手の平の上だったのだろう。

 私は安心と拍子抜けで力が抜けていくような気がした。
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