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現実のセドリック①
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外に出たセドリックは足早に歩いていく。
アデリアーナであれば、予知夢とは若干時間がズレていると分かっただろう。
ただ完全にセドリックとパナピーアが出会えないほどのズレとは言えず、二人の出会いが回避されるかは微妙だった。
ホールではアデリアーナがセドリックとパナピーアが出会ってしまっていたら……と心配していたが、それをセドリックが知るはずもなく。
彼はホールに続く渡り廊下に差し掛かっている。
周囲を見回していた訳でもなく、ただ普通に歩いていただけなのだが……視界にチラチラとパステルピンクが映る。
やっぱりあの目立つ髪色に気が付かず通り抜けるのは無理があるようだ。
やがてパステルピンクの塊は、女性がしゃがんでいる姿だと判明する。
ここまで来るとパナピーアのほうでもセドリックの気配を感じ取っていた。
二人には分からないかもしれないが、このシュチュエーションはアデリアーナの予知夢とまったく同じだ。
アデリアーナが不在で邪魔できない以上、あの夢の中で起きた出来事は再現されてもおかしくない。
条件はすべて整っているのだから……。
ただアデリアーナの起こした小さな改変は、確実に未来を変えていたらしい。
「おっかしいなぁー? どこ行っちゃったんだろう?」
パナピーアは今、必死で子猫を探していた。
彼女がこの場を通り掛かった時に、微かに聞こえていた子猫の鳴き声も先ほどからまったく聞こえなくなっている。
「子猫ちゃんいないのぉ~?」
務めて何でもないような声を出しているが、彼女は苛立っていた。
それは彼女に前世の記憶があり、子猫は重要なカギの役目を持っていると知っていたからだ。
居ないと困るんだけどぉ~。
早くしないとセドリックが来ちゃうのにぃ。
なんで見つかんないのよ!
パナピーアは誰かが通りかかるのに気が付いて、文句は心の中だけで我慢した。
そして接近者にワザと『知らないフリ』をしたいらしく、セドリックの気配を感じていながらそれでも猫を探し続けている。
もちろん彼に声を掛けてもらうためだ。
この矛盾した彼女の態度は、セドリックにとって大変都合が良かった。
ホールに急いで行きたい気持ちが一番だけれど、面倒な事に巻き込まれたくない気持ちも強い。
もしできる事なら、このまま話しかけられずに通り抜けたいと思っている彼は、彼女に騙される気満々だったのだ。
だからセドリックはパナピーアの横を何の躊躇いもなく素通りしようとする。
「え⁉︎ は⁉︎ なんで?」
パナピーアは彼を二度見した。
ひと言も声を掛けないどころか、視線さえ寄越さないセドリックを信じられないとばかりに見ているが……事実は変わらない。
「あ……あの!」
危機感を持ったパナピーアは、無意識のうちに彼を呼び止めていた。
ゆっくりと、仕方なさそうに振り返るセドリック。
彼は一瞬『呼ばれて迷惑』だという顔をしたが、すぐに笑顔に戻る。
実は、ゲーム内でもこの世界でもセドリックの不機嫌顔はレアだった。
将来アデリアーナに代わり公爵を継ぐために養子となった彼は、その期待に応えるため普段は相当に気を張っている。
だからこそいつも微笑を湛えていて、滅多な事では表情を崩さない。
だから一瞬だけ笑顔が無くなっていた事をパナピーアは気のせいだと思ったようだ。
「何か?」
「え? あ~と、そのぉ……」
思わず呼び止めたは良いがその先は考えていなかったパナピーア。
どうしようと困っていた彼女が、視線を感じて顔を上げた。
目の前には見た事もないような美少年が笑顔を湛えて立っている。
それは予想を超えた美しさだった。
「素敵……」
アデリアーナであれば、予知夢とは若干時間がズレていると分かっただろう。
ただ完全にセドリックとパナピーアが出会えないほどのズレとは言えず、二人の出会いが回避されるかは微妙だった。
ホールではアデリアーナがセドリックとパナピーアが出会ってしまっていたら……と心配していたが、それをセドリックが知るはずもなく。
彼はホールに続く渡り廊下に差し掛かっている。
周囲を見回していた訳でもなく、ただ普通に歩いていただけなのだが……視界にチラチラとパステルピンクが映る。
やっぱりあの目立つ髪色に気が付かず通り抜けるのは無理があるようだ。
やがてパステルピンクの塊は、女性がしゃがんでいる姿だと判明する。
ここまで来るとパナピーアのほうでもセドリックの気配を感じ取っていた。
二人には分からないかもしれないが、このシュチュエーションはアデリアーナの予知夢とまったく同じだ。
アデリアーナが不在で邪魔できない以上、あの夢の中で起きた出来事は再現されてもおかしくない。
条件はすべて整っているのだから……。
ただアデリアーナの起こした小さな改変は、確実に未来を変えていたらしい。
「おっかしいなぁー? どこ行っちゃったんだろう?」
パナピーアは今、必死で子猫を探していた。
彼女がこの場を通り掛かった時に、微かに聞こえていた子猫の鳴き声も先ほどからまったく聞こえなくなっている。
「子猫ちゃんいないのぉ~?」
務めて何でもないような声を出しているが、彼女は苛立っていた。
それは彼女に前世の記憶があり、子猫は重要なカギの役目を持っていると知っていたからだ。
居ないと困るんだけどぉ~。
早くしないとセドリックが来ちゃうのにぃ。
なんで見つかんないのよ!
パナピーアは誰かが通りかかるのに気が付いて、文句は心の中だけで我慢した。
そして接近者にワザと『知らないフリ』をしたいらしく、セドリックの気配を感じていながらそれでも猫を探し続けている。
もちろん彼に声を掛けてもらうためだ。
この矛盾した彼女の態度は、セドリックにとって大変都合が良かった。
ホールに急いで行きたい気持ちが一番だけれど、面倒な事に巻き込まれたくない気持ちも強い。
もしできる事なら、このまま話しかけられずに通り抜けたいと思っている彼は、彼女に騙される気満々だったのだ。
だからセドリックはパナピーアの横を何の躊躇いもなく素通りしようとする。
「え⁉︎ は⁉︎ なんで?」
パナピーアは彼を二度見した。
ひと言も声を掛けないどころか、視線さえ寄越さないセドリックを信じられないとばかりに見ているが……事実は変わらない。
「あ……あの!」
危機感を持ったパナピーアは、無意識のうちに彼を呼び止めていた。
ゆっくりと、仕方なさそうに振り返るセドリック。
彼は一瞬『呼ばれて迷惑』だという顔をしたが、すぐに笑顔に戻る。
実は、ゲーム内でもこの世界でもセドリックの不機嫌顔はレアだった。
将来アデリアーナに代わり公爵を継ぐために養子となった彼は、その期待に応えるため普段は相当に気を張っている。
だからこそいつも微笑を湛えていて、滅多な事では表情を崩さない。
だから一瞬だけ笑顔が無くなっていた事をパナピーアは気のせいだと思ったようだ。
「何か?」
「え? あ~と、そのぉ……」
思わず呼び止めたは良いがその先は考えていなかったパナピーア。
どうしようと困っていた彼女が、視線を感じて顔を上げた。
目の前には見た事もないような美少年が笑顔を湛えて立っている。
それは予想を超えた美しさだった。
「素敵……」
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