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おまけ
最果ての修道院①
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パナピーアが『最果ての修道院』に送られて一年。
規律も環境も厳しいこの地で彼女もようやく生活に慣れ始めていた。
ゲームの記憶はあってもそれ以外の前世を覚えていない彼女だが、この世界ではずっと一般市民として生きてきたおかげで、ここの生活はそれほど苦ではない。
ただ、この修道院に来て、とんでもない事実を知る。
それは……。
「パナピーアはまだマシだったのよ。私なんて散々色んな事やって、もう取り返しが付かなくなった後に覚醒って……最悪よ?」
黒髪の妖艶な美女、元公爵令嬢のアクアが言えば。
「それも災難だったけど、私みたいに子供の時に思い出したのに、何の世界かまったく分からなかったってのも困りものだったわ。おかげで誰を攻略すれば良いのかすら分からなかったんだから……」
ラベンダー色の髪にワインレッドの瞳をしたスレンダー美少女、元男爵令嬢のメロディーがしかめっ面で肩をすくめた。
「でも入学式の一日だけでここまで送られてきた子は、あなたが初めてだけどね。ふふふ」
そう言って笑うのは、煌めく金髪に金の瞳で妖精のような美少女フィリンティア。
彼女は元聖女なんだそうだ。
もう分かると思うが、この世界は多くの乙女ゲームに出てくる国が一つの大陸にひしめき合う世界らしい。
そこでさまざまなゲームの内容に沿った歴史が繰り広げられていく。
「でも、パナピーアはまだ大した事やってなくて、しかも未遂でしょう? なぜこんな所に入れられたのかしらね?」
好奇心旺盛なメロディーが嬉々として尋ねてきた。
そんなのはそれこそパナピーアのほうが知りたい話だ。
そこへ呆れ顔のフィリンティアが口を出す。
「だってあなた『パナピーア』なんでしょう? なら仕方無いんじゃない?」
「どういう事? あたしの事何か知ってるの?」
「え? あなた本当に『パナピーア』の事知らないの? わたしてっきり知っていると思ってた……」
パナピーアとメロディーがきょとんとする中、フィリンティアは驚き、アクアは目を見張って話に混ざって来た。
「えーと、あなたがお亡くなりになった時、もしかして『パナピーアの学園編』しかリリースされて無かったのではなくて?」
「ままま、まさか⁉︎ 続編があるとか?」
「あれは結構人気出た作品だったから、一年後にはパートIIが出たのよ?」
当たり前のようにフィリンティアが言う。
「そんなのあたし知らないわよ⁉︎」
「あぁ~。そうでしたのね。私あなたはその続編のために、ここで品行方正に暮らしているのだと、ずーっとそう思っていましたの」
「わたしもそう思ってた」
アクアとフィリンティアにそう言われ、パナピーアは金魚のように口をパクパクしている。
それを見てメロディーは我慢できずに自分で質問する事にした。
「ねぇ、パナピーアの続編て? 今度は何なの? またヒロイン? どこの国? 攻略対象者は?」
「待ってくださいな。そんなに慌てなくてもお話いたしますわよ?」
そう言って彼女が話したのは、隣国の第二王子が魔物に襲われ深傷を負い、国境付近まで山菜取りに行ったパナピーアが聖魔法で彼を助ける物語だった。
しかも乙女ゲームモノに在りがちな恋愛を楽しむだけではなく、戦闘して怪我したり、事故や暗殺などトラブルてんこ盛り。
波瀾万丈なストーリーを経てやっとエンティングを迎えるらしい。
「パナピーア、良かったじゃない! 私、断然あなたを応援するわ!」
メロディーは瞳にハートのハイライトを乗せてはしゃいでいる。
「え? あたし、そんなのやるの⁉︎ えー。あたし悪役令嬢がアデリアーナで、これはゲームの世界間違いないって思って、調子に乗って色々やってここに来たじゃない? で、なんか馬鹿なことしちゃったなぁ~って思ってたから……。ぜんぜん嬉しくないんだけど……」
パナピーアはこの修道院に来て初めて自分の素直な気持ちを打ち明けた。
するとほかの三人も思うところがあったらしい。
何となく罰が悪そうにお互いを見合って、やがてアクアがまた口を開く。
「そうでしたのね……。でもあなたがここに送られてくる原因となったゲーム、あれも学園編のあとの四作目でしたのよ? 気が付いていなかったとは思いませんでしたわ」
「え? 四作目⁉︎ そんなの知らないわ。だからぜんぜんゲームの通りにいかなかったのね⁉︎」
パナピーアは思わず立ち上がって愕然とする。
そしてまぁまぁと宥められる。
「四作目は異例のゲームで、攻略対象者がバットエンド回避するのがウリだったのよ」
「そうでしたわね。ゲームのスタートも一年早く始まって、最速で入学式。バッドエンドなら三年間でしたかしら?」
「そうそう! 何とかして攻略されないように逃げ回ったり、罠を仕掛けたり、他の攻略対象者に誘導したりするのよね? わたし、あれが一番楽しかったからすっごい覚えてるわ」
アクアは気を使って話しているらしいが、フィリンティアは当時を思い出したのか、瞳が輝いている。
「一作目と違う事が多かったと思うのですが……本当に気が付きませんでしたの?」
「そそそ、そんなぁ~。じゃあ、あたしがやった事って……」
だからバッドエンドなのに、行き先が最果ての修道院なのだと教えられ、ガックリと肩を落としたパナピーア。
すると三人が、もう一度チャンスが有るのだから大丈夫と慰めてくれる。
現金なもので、パナピーアはちょっぴり元気が出た。
「そうよね。あたし今度こそ頑張って、ゲームが始まる前に回避しちゃおうかな?」
「「…………」」
妙な間が空いた。
気まずい空気の中、パナピーアとメロディーが置いてけぼりとなるのだった。
規律も環境も厳しいこの地で彼女もようやく生活に慣れ始めていた。
ゲームの記憶はあってもそれ以外の前世を覚えていない彼女だが、この世界ではずっと一般市民として生きてきたおかげで、ここの生活はそれほど苦ではない。
ただ、この修道院に来て、とんでもない事実を知る。
それは……。
「パナピーアはまだマシだったのよ。私なんて散々色んな事やって、もう取り返しが付かなくなった後に覚醒って……最悪よ?」
黒髪の妖艶な美女、元公爵令嬢のアクアが言えば。
「それも災難だったけど、私みたいに子供の時に思い出したのに、何の世界かまったく分からなかったってのも困りものだったわ。おかげで誰を攻略すれば良いのかすら分からなかったんだから……」
ラベンダー色の髪にワインレッドの瞳をしたスレンダー美少女、元男爵令嬢のメロディーがしかめっ面で肩をすくめた。
「でも入学式の一日だけでここまで送られてきた子は、あなたが初めてだけどね。ふふふ」
そう言って笑うのは、煌めく金髪に金の瞳で妖精のような美少女フィリンティア。
彼女は元聖女なんだそうだ。
もう分かると思うが、この世界は多くの乙女ゲームに出てくる国が一つの大陸にひしめき合う世界らしい。
そこでさまざまなゲームの内容に沿った歴史が繰り広げられていく。
「でも、パナピーアはまだ大した事やってなくて、しかも未遂でしょう? なぜこんな所に入れられたのかしらね?」
好奇心旺盛なメロディーが嬉々として尋ねてきた。
そんなのはそれこそパナピーアのほうが知りたい話だ。
そこへ呆れ顔のフィリンティアが口を出す。
「だってあなた『パナピーア』なんでしょう? なら仕方無いんじゃない?」
「どういう事? あたしの事何か知ってるの?」
「え? あなた本当に『パナピーア』の事知らないの? わたしてっきり知っていると思ってた……」
パナピーアとメロディーがきょとんとする中、フィリンティアは驚き、アクアは目を見張って話に混ざって来た。
「えーと、あなたがお亡くなりになった時、もしかして『パナピーアの学園編』しかリリースされて無かったのではなくて?」
「ままま、まさか⁉︎ 続編があるとか?」
「あれは結構人気出た作品だったから、一年後にはパートIIが出たのよ?」
当たり前のようにフィリンティアが言う。
「そんなのあたし知らないわよ⁉︎」
「あぁ~。そうでしたのね。私あなたはその続編のために、ここで品行方正に暮らしているのだと、ずーっとそう思っていましたの」
「わたしもそう思ってた」
アクアとフィリンティアにそう言われ、パナピーアは金魚のように口をパクパクしている。
それを見てメロディーは我慢できずに自分で質問する事にした。
「ねぇ、パナピーアの続編て? 今度は何なの? またヒロイン? どこの国? 攻略対象者は?」
「待ってくださいな。そんなに慌てなくてもお話いたしますわよ?」
そう言って彼女が話したのは、隣国の第二王子が魔物に襲われ深傷を負い、国境付近まで山菜取りに行ったパナピーアが聖魔法で彼を助ける物語だった。
しかも乙女ゲームモノに在りがちな恋愛を楽しむだけではなく、戦闘して怪我したり、事故や暗殺などトラブルてんこ盛り。
波瀾万丈なストーリーを経てやっとエンティングを迎えるらしい。
「パナピーア、良かったじゃない! 私、断然あなたを応援するわ!」
メロディーは瞳にハートのハイライトを乗せてはしゃいでいる。
「え? あたし、そんなのやるの⁉︎ えー。あたし悪役令嬢がアデリアーナで、これはゲームの世界間違いないって思って、調子に乗って色々やってここに来たじゃない? で、なんか馬鹿なことしちゃったなぁ~って思ってたから……。ぜんぜん嬉しくないんだけど……」
パナピーアはこの修道院に来て初めて自分の素直な気持ちを打ち明けた。
するとほかの三人も思うところがあったらしい。
何となく罰が悪そうにお互いを見合って、やがてアクアがまた口を開く。
「そうでしたのね……。でもあなたがここに送られてくる原因となったゲーム、あれも学園編のあとの四作目でしたのよ? 気が付いていなかったとは思いませんでしたわ」
「え? 四作目⁉︎ そんなの知らないわ。だからぜんぜんゲームの通りにいかなかったのね⁉︎」
パナピーアは思わず立ち上がって愕然とする。
そしてまぁまぁと宥められる。
「四作目は異例のゲームで、攻略対象者がバットエンド回避するのがウリだったのよ」
「そうでしたわね。ゲームのスタートも一年早く始まって、最速で入学式。バッドエンドなら三年間でしたかしら?」
「そうそう! 何とかして攻略されないように逃げ回ったり、罠を仕掛けたり、他の攻略対象者に誘導したりするのよね? わたし、あれが一番楽しかったからすっごい覚えてるわ」
アクアは気を使って話しているらしいが、フィリンティアは当時を思い出したのか、瞳が輝いている。
「一作目と違う事が多かったと思うのですが……本当に気が付きませんでしたの?」
「そそそ、そんなぁ~。じゃあ、あたしがやった事って……」
だからバッドエンドなのに、行き先が最果ての修道院なのだと教えられ、ガックリと肩を落としたパナピーア。
すると三人が、もう一度チャンスが有るのだから大丈夫と慰めてくれる。
現金なもので、パナピーアはちょっぴり元気が出た。
「そうよね。あたし今度こそ頑張って、ゲームが始まる前に回避しちゃおうかな?」
「「…………」」
妙な間が空いた。
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