欺瞞の剣

刻夜 煌

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時の剣舞

「概念破戒」

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虚無歪曲ディストーション!」
 その声は、『あらゆるもの』を打ち消した。
 止められた時間すらも。
 澪は絶望に暮れていた。
 もはや立つことすらもままならないほどに。
 「悪いが悲嘆にくれるのは後にしてくれ。」
  彼は言うと剣を翳し、それを俺に向けた。
 「状況は解るな?」
  「概念破戒ディストラクトォォ!」
  僕は無意識の内にあの剣を顕現させた。
  いつもとは違い黯焔を湛えていたのは僕の方だった。
 「殺す。一人残らず、殲滅してやる。
 来いよ、そのチンケでありがちなゴミ異能を真正面から叩き潰してやる」
 「……。」
 過時は異能を使わず、文字通り真正面から突っ込んできた。
 「舐め腐ってんのか!?クソ野郎が!」
 「……」
 「なんか言ったらどうだ?」
 また、時が止まった。
 でもな、時間なんてゴミは彼方へ消えてしまえ。
 止められても、戻せないんだよ。
 「なぁ、絶対時間って知ってるか?」
 「……?」
 困惑しているようだ。
 「絶対時間って言うのは全宇宙に於いて一様に流れるものっていう性質の定義なんだけどな、時間には実体がない、詰まりは時間って言うのは概念なんだ。」
 「!?」
 気がついたらしい。
 この勝負は冷静になれば見えていた。
 僕の勝ちだ。
 
「僕の幼馴染みを殺した罰は天罰なんて目じゃねぇぞ。
 世界時計は斯くも壊れるブロークン・クロック
 時間の概念を破壊した。
 
 時は止まった。
 僕の番だ。

 「去ね、過時。お前の時間は終わりだ。」
 そう言って、手元の剣を翳すと絶望の心地を感じた。
 これで終わり、全部終わり。
 「なぁ、楽しいだろう。過時君よぉ!
 痛みを感じるはずの自らの肉体が赤黒く染まっていく様を見ていてどう思うか?絶望?恐怖?こんな時に叫ぶのは誰の名前だ?!ママか?恋人か?それとも神か?いずれにしろ、ここで死ぬんだよ!」

 ずぶり。
 肉を切り裂く感覚が手に伝わる。
 その瞬間から僕はもう、引き返せなくなっていたんだ。
  
そう、僕から
 
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