欺瞞の剣

刻夜 煌

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時の剣舞

創造

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「ぐはっ。」
 痛覚をこんなに恨んだことは無い。
 感覚が戻った時には累積された痛みと疲労が一挙に押し寄せてきたのだ。
 躯には大きすぎた感覚の波が僕を襲う。
 意識は遠のいていくものの目的ははっきりしていた。
 「あの端末……をとらな……きゃ。」
 
 そして端末を手に取ったところで意識は途切れた。

目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。
「端末は?!」
 ガバッと布団を跳ね除け、頭を擡げた最初の疑問を問いかける。
 「端末?お前のケータイしかねーぞ?」
 「嘘だろ。」
 手掛かりを失った僕は途方も暮れず、駆け出そうとしていた。
 しかし、
 「痛っ!?」
 傷痕が痛みを顕著に伝えてきた。
 そして、コウの父親に引き留められた。
 「今うちに行っても、警察しかいないぞ。その前に何があったかだけ教えてくれないか?」
 僕は事の顛末を話した。
 剣の事は話さなかった。
 非日常を壊されるのが恐ろしかったという面と、日常に介入する剣の存在を同時に恐ろしくも思っていたからだ。
 僕の能力概念破戒ディストラクトは恐らく剣の持つ異能の中でもかなり強い存在である。今改めて確信した。
僕は目的を達成するためにこの剣を使う。
下らないこの世の全てを書き換える。
僕の為に。
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