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しおりを挟む「それにしてもエドワード様。私たちの婚約はこのままでいいのでしょうか……」
この質問に、エドワード様はただ黙ってうつむきました。
まるで、彼の心が他の何処かにあるかのように。
「レイナ……少し」
私は彼に近づき、そっと彼の手に触れると、いつものように逃げるように私から離れました。
「これ以上、私の感情を無視するのですか?」
涙が自然とこぼれてしまいましたが、エドワード様の表情は変わらず、私の心情を察する気配もありませんでした。
「そうですわね、エドワード様。これ以上私を傷つけるなら、わたしは別の道を選びますわ」
彼の表情には何も変化がなかったので、私は決断しました。
彼の元を去り、新たな人生を求めることにしました。
「エドワード様。今のままでは、私たちはただの心が伴わない共同生活者にすぎません。だからこそ、私は新たな道を探すことを決断しました。私たちのこの婚約生活に終止符を打つことで、私たちは前を向いて生きていけるのかもしれませんね……」
そう言って、私はエドワード様のもとを後にしました。心に残るは、彼との絆が何も生むことなく終わった悲しみと、新たな人生への期待でした。
「さようなら、エドワード様。私たちにもたしかに愛が存在したことを、どうか忘れないでくださいね」
【終わり】
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