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第1幕 企業研修編
第5章 世界を変えてきた者は④
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そして、特別課外研修の最終日――、高校生達の発表が控えた朝は、どこか浮足立った空気が会場を満たしていた。
企業ロゴがあしらわれたバナーと、幾つもの提携団体の名が並ぶパネルが設置された壇上。
小さなスタートアップの研修室が、今日はまるで本物のビジネスプレゼン会場のように装飾されていた。
そこには――、
スーツ姿の企業の役員や投資家、NPO代表、行政関係者、そしてこの企画に関わる教育関係者達が、静かに席に着いていた。
彼らの前で、選抜された高校一年生のチームがプレゼンを行う。
それは単なる“学校の発表会”ではない。
若者達の未来と、社会の可能性とが、正面から問われる日だった。
舞台袖では、侑斗が最後のスライドを確認していた。
今日は学生服ではなく、大人達と同じくスーツ姿。
侑斗は、いつものように完璧な微笑を浮かべながら壇上に立った。
いつもの温厚な彼らしい、子供の夢や希望を堂々と掲げる演説――。
その姿はまさしく“財閥家の御曹司”だった。
一方で、サルヴァトーレもまた、その日本では目を引く外見を活かし、さながら若き大統領演説かのようにプレゼンテーションを行う。
どちらも、違いはあれど、高校生とは思えない大胆な発想や詳細なデータ分析に基づく戦略企画に、会場に来ていた関係者達も、互いに笑顔で顔を見合わせたり、顎に指を添えて投影されている資料を真剣に見ていた。
そして、発表が終わりを迎えた頃、侑斗が演説している時のことだった。
「――どんな子供にも必要なのは“未来を選べる環境”です。
僕達もまもなく大人になる。だからこそ、子供の可能性を誰よりも信じています。そして――」
侑斗の発表が終わると、盛大な拍手が送られ、質問の時間が関係者達に設けられた。
「ご清聴ありがとうございました。それでは、ご質問のある方は挙手をお願いいたします」
司会の声に、しばしの静寂が落ちる。
関係者達は資料に目を落としながら互いの顔色を伺い、やがて、スーツ姿の中年男性が静かに手を挙げた。
彼は地元で教育関連事業を展開する企業の役員だった。
マイクを手にすると、彼はにこやかに侑斗達に問いかける。
「素晴らしい発表でした。
特に、発達障害やグレーゾーンとされる子供達へのアプローチに可能性を感じます。
ですが、率直に申し上げて、“全ての子供に対応する”というのは、あまりに理想論では?
現場ではコストと効率性が重要視される。
個別対応を徹底するには、たださえ少ない教育者の負担が増えすぎるのではないですか?」
会場が、すこしだけざわついた。
建設的な意見にも聞こえるが、それは同時に「現実を見ろ」という、子供たちへの半ば無意識な牽制でもあった。
侑斗は一瞬、口を閉じる。
大企業の御曹司である彼にとっても、一理あると思った。
理想論がまかり通る世の中じゃないことは、侑斗が一番よく分かっていた。
だが、その時だった。
企業ロゴがあしらわれたバナーと、幾つもの提携団体の名が並ぶパネルが設置された壇上。
小さなスタートアップの研修室が、今日はまるで本物のビジネスプレゼン会場のように装飾されていた。
そこには――、
スーツ姿の企業の役員や投資家、NPO代表、行政関係者、そしてこの企画に関わる教育関係者達が、静かに席に着いていた。
彼らの前で、選抜された高校一年生のチームがプレゼンを行う。
それは単なる“学校の発表会”ではない。
若者達の未来と、社会の可能性とが、正面から問われる日だった。
舞台袖では、侑斗が最後のスライドを確認していた。
今日は学生服ではなく、大人達と同じくスーツ姿。
侑斗は、いつものように完璧な微笑を浮かべながら壇上に立った。
いつもの温厚な彼らしい、子供の夢や希望を堂々と掲げる演説――。
その姿はまさしく“財閥家の御曹司”だった。
一方で、サルヴァトーレもまた、その日本では目を引く外見を活かし、さながら若き大統領演説かのようにプレゼンテーションを行う。
どちらも、違いはあれど、高校生とは思えない大胆な発想や詳細なデータ分析に基づく戦略企画に、会場に来ていた関係者達も、互いに笑顔で顔を見合わせたり、顎に指を添えて投影されている資料を真剣に見ていた。
そして、発表が終わりを迎えた頃、侑斗が演説している時のことだった。
「――どんな子供にも必要なのは“未来を選べる環境”です。
僕達もまもなく大人になる。だからこそ、子供の可能性を誰よりも信じています。そして――」
侑斗の発表が終わると、盛大な拍手が送られ、質問の時間が関係者達に設けられた。
「ご清聴ありがとうございました。それでは、ご質問のある方は挙手をお願いいたします」
司会の声に、しばしの静寂が落ちる。
関係者達は資料に目を落としながら互いの顔色を伺い、やがて、スーツ姿の中年男性が静かに手を挙げた。
彼は地元で教育関連事業を展開する企業の役員だった。
マイクを手にすると、彼はにこやかに侑斗達に問いかける。
「素晴らしい発表でした。
特に、発達障害やグレーゾーンとされる子供達へのアプローチに可能性を感じます。
ですが、率直に申し上げて、“全ての子供に対応する”というのは、あまりに理想論では?
現場ではコストと効率性が重要視される。
個別対応を徹底するには、たださえ少ない教育者の負担が増えすぎるのではないですか?」
会場が、すこしだけざわついた。
建設的な意見にも聞こえるが、それは同時に「現実を見ろ」という、子供たちへの半ば無意識な牽制でもあった。
侑斗は一瞬、口を閉じる。
大企業の御曹司である彼にとっても、一理あると思った。
理想論がまかり通る世の中じゃないことは、侑斗が一番よく分かっていた。
だが、その時だった。
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