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私はいつも通りの朝を迎える
目がまだ眠いと言うがぼやける中でも顔を洗う
顔をさっぱりさせ意識をしっかりとさせた後、部屋着から燕尾服に着替えた
エリオット・アルベルト、それが私の名前である
国では初の女執事であり使用人だ
私はそれを誇りとして胸にして、日々を過ごしている
あのお方さえ、飽きていただけていれば平和なのだが………
コツコツと靴音を鳴らし、扉をノックする
重い音で扉が開く
中に入ると身体を強い力で引き寄せられる
目を少し見開いたが軽く溜息を吐いた
「おはよう御座います、アルガード様」
「………ん」
黒龍様ことアルガード・アフリオン様の背中を優しく叩く
アルガード様は毎朝こうして私を引き寄せては擦り寄ってくる
「さ、離れて下さい」
私がそう言うものの更に強くなる力に困った様に微笑んだ
「甘えたさんですか?」
「ん」
そりゃそうだと言われてしまった
国々の人々からの視線や噂話を目や耳にすれば、いくら私でもこのお方でも辛く、心が悲鳴を上げる
私はアルガード様の本当は優しいことも真っ白な心だと言うことも知っているのだ
だけど彼の力は確かに恐ろしいものかも知れない
全てを灰に、宝石にしてしまうのだから
触れたものだけはですけど
私達、生きた者は少し違うらしいが場合によって異なる
彼はそれを分かっていた
私も勿論承知している
「今日は休みますか?」
そう聞くと、アルガード様は首を横に振り私を抱き締めていた手を離す
私は頷き
「では資料をいくつかお持ちいたしますね」
「ん」
扉を閉め、後ろを振り返る
「何か御用でしたらお聞きいたしますが?」
コツンと靴音を鳴らす
私の隣に並び、クスリと笑う一人の影を私は鋭い目で睨む
「んふふ、そんな目で見ないでよ」
オネェ口調の彼はイルファ・エルベート様
立派な貴族だ
やたら私に構ってくる人でもある
私は資料室に入り、いくつかの資料を選ぶ
そして其の部屋を出ようとした
その時
「彼は」
ピタリと足の動きが止まる
「とても貴方には似合わないわ」
「それは何故でしょうか?」
彼を睨む
彼はニコニコとしていた
刹那
いつの間に私を抱き締めていた
(いつの間に!?)
私は資料を床に落とし、離れようともがく
だが男の力では勝てないところもある
すると今朝と同じ強い力で引き寄せられた
ポスんと身体がアルガード様の匂いに包まれる
「貴様、殺すぞ」
「あらあら、速いわねぇ」
アルガード様は彼を睨み、唸っていた
彼はアルガード様の友人であり敵である
ならば私も同じことで敵として見ているのだ
彼は私を見る
私は彼を睨み返す
「ふふ、またね」
彼は一枚の羽を残してその場から消えた
私は一息ついてアルガード様に擦り寄る
「無事か?」
「はい、助けていただきありがとう御座いました」
一礼をして、離れようとした
が
アルガード様に抱き上げられる
何が何でもと言うアルガード様のことだ
降ろしてはくれないだろう
私は大人しくなる
そして部屋に着くと私をソファに下ろした
「ここにいろ」
有無を言わさない彼の言葉に頷く
そして目の前で資料に目を通す彼を見つめる
そして動こうとしたその時
「動くな」
と制される
私は困ったように微笑み
「仕事が」
「主の命令は?」
彼の目が私を捉える
「っ、絶対です」
私はその目にとらわれないように目を逸らした
それが気に食わなかったのか優しくかつ強引に目を合わされる
「な、にを?」
「俺の目をみろ」
(………深海のような瞳………)
私はじっと彼の目を見た
そして頬を撫でてしまった
「は!?んぅ!?」
その時、強く引き寄せられる
口づけをされたと気づき下がろうとした
けれど
アルガード様は離してくれない
息が出来なくて苦しい
涙目になると、彼は口を離す
「ケホ、」
「可愛い奴だ、俺はお前が好きだと言うた」
その意味は
恋人になれ
とのことだ
けれど
私は首を横に振る
結局は飽きられて終わるのだ
私の本当の姿を見て仕舞えば、終わりだ
「どうしてだ?」
あぁ、今日も
私は静かに目を伏せ
「すみません」
謝るのだ
目がまだ眠いと言うがぼやける中でも顔を洗う
顔をさっぱりさせ意識をしっかりとさせた後、部屋着から燕尾服に着替えた
エリオット・アルベルト、それが私の名前である
国では初の女執事であり使用人だ
私はそれを誇りとして胸にして、日々を過ごしている
あのお方さえ、飽きていただけていれば平和なのだが………
コツコツと靴音を鳴らし、扉をノックする
重い音で扉が開く
中に入ると身体を強い力で引き寄せられる
目を少し見開いたが軽く溜息を吐いた
「おはよう御座います、アルガード様」
「………ん」
黒龍様ことアルガード・アフリオン様の背中を優しく叩く
アルガード様は毎朝こうして私を引き寄せては擦り寄ってくる
「さ、離れて下さい」
私がそう言うものの更に強くなる力に困った様に微笑んだ
「甘えたさんですか?」
「ん」
そりゃそうだと言われてしまった
国々の人々からの視線や噂話を目や耳にすれば、いくら私でもこのお方でも辛く、心が悲鳴を上げる
私はアルガード様の本当は優しいことも真っ白な心だと言うことも知っているのだ
だけど彼の力は確かに恐ろしいものかも知れない
全てを灰に、宝石にしてしまうのだから
触れたものだけはですけど
私達、生きた者は少し違うらしいが場合によって異なる
彼はそれを分かっていた
私も勿論承知している
「今日は休みますか?」
そう聞くと、アルガード様は首を横に振り私を抱き締めていた手を離す
私は頷き
「では資料をいくつかお持ちいたしますね」
「ん」
扉を閉め、後ろを振り返る
「何か御用でしたらお聞きいたしますが?」
コツンと靴音を鳴らす
私の隣に並び、クスリと笑う一人の影を私は鋭い目で睨む
「んふふ、そんな目で見ないでよ」
オネェ口調の彼はイルファ・エルベート様
立派な貴族だ
やたら私に構ってくる人でもある
私は資料室に入り、いくつかの資料を選ぶ
そして其の部屋を出ようとした
その時
「彼は」
ピタリと足の動きが止まる
「とても貴方には似合わないわ」
「それは何故でしょうか?」
彼を睨む
彼はニコニコとしていた
刹那
いつの間に私を抱き締めていた
(いつの間に!?)
私は資料を床に落とし、離れようともがく
だが男の力では勝てないところもある
すると今朝と同じ強い力で引き寄せられた
ポスんと身体がアルガード様の匂いに包まれる
「貴様、殺すぞ」
「あらあら、速いわねぇ」
アルガード様は彼を睨み、唸っていた
彼はアルガード様の友人であり敵である
ならば私も同じことで敵として見ているのだ
彼は私を見る
私は彼を睨み返す
「ふふ、またね」
彼は一枚の羽を残してその場から消えた
私は一息ついてアルガード様に擦り寄る
「無事か?」
「はい、助けていただきありがとう御座いました」
一礼をして、離れようとした
が
アルガード様に抱き上げられる
何が何でもと言うアルガード様のことだ
降ろしてはくれないだろう
私は大人しくなる
そして部屋に着くと私をソファに下ろした
「ここにいろ」
有無を言わさない彼の言葉に頷く
そして目の前で資料に目を通す彼を見つめる
そして動こうとしたその時
「動くな」
と制される
私は困ったように微笑み
「仕事が」
「主の命令は?」
彼の目が私を捉える
「っ、絶対です」
私はその目にとらわれないように目を逸らした
それが気に食わなかったのか優しくかつ強引に目を合わされる
「な、にを?」
「俺の目をみろ」
(………深海のような瞳………)
私はじっと彼の目を見た
そして頬を撫でてしまった
「は!?んぅ!?」
その時、強く引き寄せられる
口づけをされたと気づき下がろうとした
けれど
アルガード様は離してくれない
息が出来なくて苦しい
涙目になると、彼は口を離す
「ケホ、」
「可愛い奴だ、俺はお前が好きだと言うた」
その意味は
恋人になれ
とのことだ
けれど
私は首を横に振る
結局は飽きられて終わるのだ
私の本当の姿を見て仕舞えば、終わりだ
「どうしてだ?」
あぁ、今日も
私は静かに目を伏せ
「すみません」
謝るのだ
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