漆黒の獣は吠える

蒼葉縁

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しばらく走ると街が見えた
街の中に入ると私はコルバを起こし,自分は人の姿になる
コルバは息を呑む
私の姿がそんなに醜いのか顔を背けていた
(めちゃくちゃ綺麗なんだが?)
コルバの思いなど知らず私はコルバを見つめる
「何をしている」
コルバはやけに静かだ
私はそんな事を気にして聞くと
「この街、俺の故郷」
と答えた
「そうか」
だからコルバは静かなのか
「ならばこの町で別れるか」
そもそもの話
私は旅をするだけだ
「え!?」
お前は必要ではない
お前はこの街に来れてよかった
「さよならだ」
私は黒いコートをなびかせて街へと消える
「え、待っ」
コルバは手を伸ばした
街の目がコルバに向けられる
「コルバ様!」
街の人は皆、お前を待っていた
「よくぞお戻りで!」
何故分かったか、それは街の顔を見ればわかる
「皆の衆………待て待て」
お前が王子だと言うことも知っていた
身なりからして王子だろうと
私はほんの手助けをしただけだ
あとはお前が生き残っただけ
私は街の果物や食物を買いながら静かに微笑んだ
あらかたの物を買い揃え私は街から出ようとする
が一つの視線を感じた
「何だ、お前か」
私はまた溜息を吐く
「………」
黙っている
「コルバ」
を見つめて
私は歩き出そうとした
「待ってくれ!」
コルバが叫ぶ
「何だ」
私は静かに問う
コルバはまた黙り
「俺も連れて行ってくれ」
(しつこいな)
「断る」
私の目を見てコルバはまた言った
「俺は、応じたと分かったのはいつだ?」
(何だ)
「最初の身なりで分かった」
コルバは目を見開いて吃驚していた
いや、分かるだろう
「ならば何故」
コルバよ
「お前が必死に私の目を見た時分かった
 お前が帰りたいことも私と共に旅をしたいと言ったことも」
お前の必死さは分からなければこの街にすら来なかった
「だったら何故、連れて行ってくれない」
(何故なら)
「シルバーデッド・バロン」
(私の家系は魔法使いだからだ)
コルバは分かったように目を見開いた
「分かったなら帰れ」
私は歩き出す事を進める
不意に抱き締められた
「っ!?」
食物の入った袋が落ちる
「この行先が俺にとって良くなくても俺はお前と行きたい」
(コルバ………)
「それがたとえ死だとしてもか?」
私の問いにコルバは頷く
やれやれと私は溜息を吐き食物の袋を持つ
「お前の街にしばらく滞在しよう」
歩いてきた道を進む
「本当か!?」
コルバは嬉しそうにしている
私は鼻で笑い、頷いた
「本当だ」
コルバは明らかに嬉しそうにしている
私は街へと戻ると皆が私に頭を下げた
「王子を救ってくださりありがとう」
(私は救ってなどいない)
「いや、コルバが生きたいと願ったからだ」
私の言葉に皆は嬉しそうにしていた
王が来る
私はそちらに目を向けた
「この国の王、ヨルだ」
王はギロリと私を睨む
「………」
私も負けじとその目を見つめる
「お前、病があるな」
私の言葉に王は吃驚して
「!?」
目を見開いた
「その病治してやろう」
私は片手を王に翳すと左に手を滑らせる
王はそれだけで治った病に吃驚していた
「ほぉ」
王は嬉しそうにしている
「ふん」
私はフイッと顔を背け、自分の寝床を探す
「この屋敷に来い」
王は手招く
「分かった」
私は王の方へと歩く
そして
ベットに転がり目を閉じた
「起きてる?」
「あぁ」
私は起き上がりコルバを見る
コルバは嬉しそうにして私の方へ来た
「これから宜しくね!バロン」
「あぁ、宜しくなレイン」
私は一人の仲間ができた
私はしばらく滞在して街を二人で出る
これから仲間達が増えるとも知らずに
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