2 / 7
I
しおりを挟む
*********
~ Ⅰ ~
*********
「人の成長とは恐ろしい」
すっかり太腿まで伸びた銀髪を三つ編みにして後ろに流す
爪を切りそろえ、制服姿に手袋と腰に鞭をつける
コツコツと部屋を後にして、紅茶を淹れ始めた
「おや、この茶葉は主のお気に入りですからすぐ無くなりますね」
カランと茶葉の缶を置き、ティーカップと作り立てのチョコチップスコーンとコーンスープを運ぶ
コンコンとノックをして中に入ると主はまだ寝ていた
近くには課題の書類が置いてある
「昨夜も遅かったのですね」
溜息を押し殺し、カーテンを開く
明るい日差しが主を照らす
「主様、お目覚めのお時間でございます」
私は一礼をする
「んん、もう六時か」
主は欠伸をして私をじっと見た
「無月、君は相変わらずだね」
そう言うのは褒め言葉
「有難きお言葉です」
主は私の側にある紅茶とスコーンを見て微笑んだ
「よく分かっているじゃないか、それに今日はコーンか」
「はい、左様でございます」
私はテーブルの椅子を引き主を座らせ、目の前に静かに置く
主は黙々と食べて手を合わせる
「ご馳走様」
私は綺麗になった食器たちを片付け、テーブルと椅子を消す
主が着替えのしているうちに私は昨夜の課題の書類など必要なものを揃えたものが入っているスクールバッグを片手に二つ持ち、主の履く靴を選ぶ
(今日は確か体力関係のものがありました………)
いつもの革靴をしまい、運動靴を出す
そして
今日の天気の匂いを感じ取り、安心する
「待たせたか?」
「いえ、滅相もございません」
おや、私とした事が主の説明をしていなかったです
主の御名前はルイ・ヴィルデージ様
正しくは瑠衣・ヴィルデージ様
私の主であり、唯一の家族にしてくださったお方だ
主の家庭は貴族の位置にあり、とても素晴らしい
剣術を始め武道が非常に素晴らしく、誇らしい成績を持つ
私は勿論全て出来ます
これくらい執事であれば完璧だ
主の家族は騎士団長の奥様と王の旦那様、そして第一皇子様と第二皇子様のお方達とそして第三皇子の主、その下に私が付けられる
「無月」
不意に呼ばれ、足を止めると主は私を見つめていた
「如何なさいましたか?」
私はにこりと微笑み主を見つめ返す
主はそっと私の頬に手を伸ばし、つまんだ
「ひゃの、いひゃいのでひゅが」
少し困ったように眉を顰め、主を見ると主は溜息を吐く
「僕は君を信頼してるんだ、君も堂々としたらどうだい?」
「!………」
主の言葉に目を見開き、動きを止める
その行動に確信を持った主は私の頬から手を離すと思いっきり蹴られた
「っ!?」
咄嗟の行動だが私からしては遅く、防御して尚且つ主の足が怪我しないように最善の注意を払う
「流石だね」
「有難きお言葉」
私はにこりと微笑み、主の後ろに立つ
その姿勢に主は満足して歩き出す
暫くして教室につき、私は主の椅子を引いた
そして主が座ると私は立ったまま教室の後ろに立つ
「流石だね貴族様は違うなー!!」
ピクリと動く
「あんな化け物従わせていい御身分だな!」
一人の馬鹿の言葉に乗ったクラスの皆
「どーせ金で物言わせているんだろ」
青筋が立つ
主は黙々と本をお読みになられている
それを見て気を悪くしたクラスの皆
主から本を取り上げ、その本を踏む
クシャクシャになり破れた本は無惨な姿
主はそれを静かに見つめ
「気が済んだかい?」
そう言ったのだ
私はにこりと微笑み、前を向く
が
次の一言に私は青筋を深く立てることとなる
「テメェみてぇなクソ餓鬼はさっさとお家に帰りな?」
その刹那
教室に激しい鞭のなる音が響き渡る
コツン………
やけに革靴がなる音が響く
そして
その音はやがてとある人物の前で止まる
「申し訳ございません、今何と仰いましたか?」
その人物は先ほどまで意気揚々と暴言を吐いた男子生徒
そして
主は満足気にそれを見つめる
床には鞭の打たれた傷のある床
傷どころか切れている
「ひ、」
「私を化け物と仰しゃるのも大いに結構、暴言など慣れております」
「ですが」
カツンと靴音を鳴らす
主の近くへ行き、無惨な本をサッと元に戻して主に微笑み、渡す
主は頷きそれを受け取る
「主様のことを悪く言うことは言語道断、死をもって償うこと」
男子生徒の目の前に行き鞭を構える
「それが嫌と言うのなら、獅子の餌にしてくれる!」
ギロリと睨むと皆が息を呑む
怖い
恐い
カタカタと震える
正しく
その言葉が正しい
今の彼らにとって
彼女もとい無月は最強で最恐な人なのだ
それを従える彼も彼でこの人より強いのだと
そして
彼らにとって二人は自分達よりもっと上の人だと思い知ったのだ
ー
授業もスムーズに進み、放課後となる
失態を犯した馬鹿共は我先にと帰って行った
「無月」
主は静かに歩き出す
私はそれに合うように歩き始める
「今朝の事は僕は大目に見てあげるよ」
溜息混じりの言葉に申し訳なさそうに反省した
「寛大なお心に感謝いたします」
頭を下げると主は首を振る
「だが、君の行動は僕にとってとても嬉しかったよ」
主は頬笑み、私の頭を撫でる
「左様で御座いますか」
それが心地よく目を細めた
屋敷に戻ると主は自室へと向かう
私は私でおやつなどの準備を始めるため、キッチンへと向かったのだった
本日のおやつ
主の好きな
レモンタルト
そして
すっきりとしたストレートティー
~ Ⅰ ~
*********
「人の成長とは恐ろしい」
すっかり太腿まで伸びた銀髪を三つ編みにして後ろに流す
爪を切りそろえ、制服姿に手袋と腰に鞭をつける
コツコツと部屋を後にして、紅茶を淹れ始めた
「おや、この茶葉は主のお気に入りですからすぐ無くなりますね」
カランと茶葉の缶を置き、ティーカップと作り立てのチョコチップスコーンとコーンスープを運ぶ
コンコンとノックをして中に入ると主はまだ寝ていた
近くには課題の書類が置いてある
「昨夜も遅かったのですね」
溜息を押し殺し、カーテンを開く
明るい日差しが主を照らす
「主様、お目覚めのお時間でございます」
私は一礼をする
「んん、もう六時か」
主は欠伸をして私をじっと見た
「無月、君は相変わらずだね」
そう言うのは褒め言葉
「有難きお言葉です」
主は私の側にある紅茶とスコーンを見て微笑んだ
「よく分かっているじゃないか、それに今日はコーンか」
「はい、左様でございます」
私はテーブルの椅子を引き主を座らせ、目の前に静かに置く
主は黙々と食べて手を合わせる
「ご馳走様」
私は綺麗になった食器たちを片付け、テーブルと椅子を消す
主が着替えのしているうちに私は昨夜の課題の書類など必要なものを揃えたものが入っているスクールバッグを片手に二つ持ち、主の履く靴を選ぶ
(今日は確か体力関係のものがありました………)
いつもの革靴をしまい、運動靴を出す
そして
今日の天気の匂いを感じ取り、安心する
「待たせたか?」
「いえ、滅相もございません」
おや、私とした事が主の説明をしていなかったです
主の御名前はルイ・ヴィルデージ様
正しくは瑠衣・ヴィルデージ様
私の主であり、唯一の家族にしてくださったお方だ
主の家庭は貴族の位置にあり、とても素晴らしい
剣術を始め武道が非常に素晴らしく、誇らしい成績を持つ
私は勿論全て出来ます
これくらい執事であれば完璧だ
主の家族は騎士団長の奥様と王の旦那様、そして第一皇子様と第二皇子様のお方達とそして第三皇子の主、その下に私が付けられる
「無月」
不意に呼ばれ、足を止めると主は私を見つめていた
「如何なさいましたか?」
私はにこりと微笑み主を見つめ返す
主はそっと私の頬に手を伸ばし、つまんだ
「ひゃの、いひゃいのでひゅが」
少し困ったように眉を顰め、主を見ると主は溜息を吐く
「僕は君を信頼してるんだ、君も堂々としたらどうだい?」
「!………」
主の言葉に目を見開き、動きを止める
その行動に確信を持った主は私の頬から手を離すと思いっきり蹴られた
「っ!?」
咄嗟の行動だが私からしては遅く、防御して尚且つ主の足が怪我しないように最善の注意を払う
「流石だね」
「有難きお言葉」
私はにこりと微笑み、主の後ろに立つ
その姿勢に主は満足して歩き出す
暫くして教室につき、私は主の椅子を引いた
そして主が座ると私は立ったまま教室の後ろに立つ
「流石だね貴族様は違うなー!!」
ピクリと動く
「あんな化け物従わせていい御身分だな!」
一人の馬鹿の言葉に乗ったクラスの皆
「どーせ金で物言わせているんだろ」
青筋が立つ
主は黙々と本をお読みになられている
それを見て気を悪くしたクラスの皆
主から本を取り上げ、その本を踏む
クシャクシャになり破れた本は無惨な姿
主はそれを静かに見つめ
「気が済んだかい?」
そう言ったのだ
私はにこりと微笑み、前を向く
が
次の一言に私は青筋を深く立てることとなる
「テメェみてぇなクソ餓鬼はさっさとお家に帰りな?」
その刹那
教室に激しい鞭のなる音が響き渡る
コツン………
やけに革靴がなる音が響く
そして
その音はやがてとある人物の前で止まる
「申し訳ございません、今何と仰いましたか?」
その人物は先ほどまで意気揚々と暴言を吐いた男子生徒
そして
主は満足気にそれを見つめる
床には鞭の打たれた傷のある床
傷どころか切れている
「ひ、」
「私を化け物と仰しゃるのも大いに結構、暴言など慣れております」
「ですが」
カツンと靴音を鳴らす
主の近くへ行き、無惨な本をサッと元に戻して主に微笑み、渡す
主は頷きそれを受け取る
「主様のことを悪く言うことは言語道断、死をもって償うこと」
男子生徒の目の前に行き鞭を構える
「それが嫌と言うのなら、獅子の餌にしてくれる!」
ギロリと睨むと皆が息を呑む
怖い
恐い
カタカタと震える
正しく
その言葉が正しい
今の彼らにとって
彼女もとい無月は最強で最恐な人なのだ
それを従える彼も彼でこの人より強いのだと
そして
彼らにとって二人は自分達よりもっと上の人だと思い知ったのだ
ー
授業もスムーズに進み、放課後となる
失態を犯した馬鹿共は我先にと帰って行った
「無月」
主は静かに歩き出す
私はそれに合うように歩き始める
「今朝の事は僕は大目に見てあげるよ」
溜息混じりの言葉に申し訳なさそうに反省した
「寛大なお心に感謝いたします」
頭を下げると主は首を振る
「だが、君の行動は僕にとってとても嬉しかったよ」
主は頬笑み、私の頭を撫でる
「左様で御座いますか」
それが心地よく目を細めた
屋敷に戻ると主は自室へと向かう
私は私でおやつなどの準備を始めるため、キッチンへと向かったのだった
本日のおやつ
主の好きな
レモンタルト
そして
すっきりとしたストレートティー
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる