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プロローグ
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しおりを挟むボクは、スペアらしい。
つまり、将来家を継ぐあの子の代理。
あの子がある程度大きくなるまで、ボクはあの子でいなければいけなかった。
ボクは偽物の跡継ぎとして家に泥を塗らないために、いっぱい勉強をして、常に気高であることを求められていた。
それからあの子は、命を狙われていた。
みんなから見たらあの子であったボクは、これまで何度も死にそうになっていた。怖いことや痛いことをいっぱいされた。
ボクは常に不安や恐怖を抱え、どこか遠くへ逃げてしまいたいと思っていた。
だけど、逃げるわけにはいかなかった。
ボクはあの子のためじゃなくて、唯一ボクを愛してくれるママのために一生懸命だった。
ボクが頑張ればあの子も無事でいられる。あの子が笑えば、ママも笑う。
ボクは、ママの笑顔を守るために、あの子を守ろうと、なんとか自分を奮い立たせて生きていた。
でも、もう無理かもしれない。
だってママは、ボクのことを忘れてしまったから、ボクは、生きる意味を失ってしまった。
ねぇ、だから、
だから、もう、ボクを許して、
ボクを解放して、
ボクを殺して、
ボクのことを気が狂うほど憎んでいるんでしょ、
おとうさん。
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