ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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「アンリ君、美味しい?」


「うん。すっごく美味しいよ。沙織ママのハンバーグは、世界で1番美味しいと思う」


「そう?嬉しいな。頑張って作ってきたかいがあったわ」


沙織ママは言って、僕の口元をそっと撫でる。

どうやらデミグラスソースが付いていたみたいだ。

沙織ママは僕に触れた指を自分の口でペロリと舐めていた。


そんな沙織ママは、色っぽいと思う。

だけど、そういう仕草はあんまり好きじゃない。



沙織ママとはそろそろ潮時かもしれない。


最近、僕との関係を進めたがってるのをひしひしと感じていた。

でも僕は、沙織ママと深い関係になることを望んでいない。

僕が求めてるのはあくまで母性なのだ。


そもそもセックスなしの契約だったはずなのにどうしたものか。


「アンリ君、今日はホテルで膝枕をしてあげようか?」


「ごめん。夜は予定があるんだ」


「他のママに会うの?」


急に沙織ママの顔が歪む。

ほんとに勘弁してほしい。

僕のママなら、すべてを優しく受け入れるべきなんだ。



「夜は、兄に会うんだよ」


「お兄さん?兄弟なんていたんだね」


「うん。久しぶりに会うんだ」


「そっか。アンリ君のお兄さんならイケメンなんだろうなぁ」


「そうでもないよ。いつも怖い顔をしてる」


「ふーん。今度会わせてよ。お兄さんのぶんのお小遣いも払うから」



沙織ママは新たな獲物の匂いを嗅ぎつけたのか、目をギラギラさせていた。

いい加減、面倒くさい。

やっぱりこの女は切ろう。


そうと決めたら僕は早い。

女に見えないように机の下で、女の連絡先を消した。


「じゃあこれ、今回のお小遣いね」


「ありがとうママ。助かる」


最後だからと、最高の笑顔を浮かべてあげる。

すると女の顔はおもしろいくらいにとろけた。

過去の女に振り分けたものの、女の人の幸せそうな顔を見るのは好きだな。




憂鬱な夜の約束の前に、僕の心は少しだけ癒された。
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