ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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指定されたレストランに行くと個室に通された。

約束の相手はもう到着しているみたいだ。






「遅かったな」


「僕も暇じゃないからね」


「女に貢がせるのに忙しいか」


「お金を早く返すためだよ」




僕がママ活でお小遣い稼ぎをするようになったのは、目の前の男のせいでもある。





十年前、ママが僕を忘れたことで、僕は家族から外された。



用済みになった僕は殺されると思っていた。

僕自身も殺されたいと思っていたんだけど、なぜか死ぬのは許されなかった。



なんだかんだあって家を出たものの、常に監視下にあった。


じっとりとした複数の視線がどうにも気持ち悪くて、もうほっといてくれと主張したところで最低の条件を与えられた。





これまで僕を育てるのにかかったお金を返済すれば、解放する。



それが僕が自由になるための条件だ。




馬鹿馬鹿しいけれど、それしか方法はないみたいだから、とりあえず地道にお金を作り出している。



僕は沙織ママから貰ったお金と他のママからのお金をまとめて、目の前の男、響に渡した。




黒いスーツに、黒縁眼鏡。
短めに切り揃えられた黒髪。

地味な色でまとまっているけれど、顔が良いから地味というよりも爽やかな印象を受ける。


まぁ第一印象が地味にしたって、爽やかにしたって、そんなものは仮面に過ぎない。


結構中身は鬼畜なのを知っている。ヤクザ紛いの取り立てをしているのを見たことがあった。


響は僕の従兄弟だ。全く繋がっていないけどね。




「これだけか」



響はお金を軽く数えて言う。


百万近いお金をこれだけだと?


僕が睨みつけると、響は鼻で笑った。



「身体を使えばもっと効率よく稼げるんじゃないか?」


「ママから貰った身体を傷つけたくないし」


「もうとっくに傷だらけだろ」



僕の身体には、一生消えない傷がある。


だけどそれは、ママの笑顔を守るために負った傷だから、僕の誇りだ。


ママが僕の存在を認識していない今、無駄に傷つきたくない。


痛いのは嫌いなんだ。


昔どんなに殴られても、切られても、結局慣れることはなかった。



「俺がパトロンになってやってもいいぞ」



響は僕の全身を舐めるように見て言う。

馬鹿じゃないのかと、今度は僕が鼻で笑ってやった。



「無理。死んだほうがまし」


「酷い言いようだな」


「大嫌いだもん」


「どうしたらお前は俺を好きになる?」



響は僕に近づいて、腰に手を回してきた。


響のことは嫌いだけれど、触れられて吐くほどじゃない。


響は他人に凶暴だけど、一応身内である僕をあんまり殴ったことはなかった。


その分、他の大嫌いな奴らよりも対応が甘くなっちゃう。




それに響は、利用価値がありそうだと前から思ってた。




響は僕を食いたいのを、隠そうとしていなかった。




上手い具合に虜にしておけば、他の奴らからの盾にできるかもしれない。



だからちょっとだけ好きにさせてあげようとじっとしてみる。



響は僕の首に顔を埋めてクンクンと犬みたいに匂いをかいでいた。



「ママを返してよ。そしたらたぶん、好きになるよ」


「無理だな」


「じゃあ僕も無理だ。もう離して」


「それも無理だ」



無理と言いながら、僕の耳に噛みつく響。

手は腰から下に移動していく。



まったく、油断ならない犬だ。



そんなことは許してないし、このまま抱かれるつもりはないから、急所を思いっきり蹴ってやった。
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