ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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現在編1

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夕方から会う約束をしていたママからキャンセルの連絡が来た。


こういうことはよくある。


ママにも生活があるから仕方ないよね。




でも本当の家族を優先されるのは、ちょっと落ち込んじゃう。


結局、僕のママじゃないんだなと思う。


まぁそのとおりなんだけど。





気分を切り替えるとして、問題なのは僕の懐事情だ。


響に持っていたお金を全部渡しちゃってすっかり金欠になっちゃった。


ご飯を買うお金もない。


他のママを呼び出してもいいけど、そういう気分でもないなぁ。


ママたちはやっぱり、それぞれ家庭を持って、夕方急に呼び出すのは迷惑になる。


いつまでも可愛い可愛い都合の良い子であるのが華麗なるママ活ライフのコツなのだ。




それに、ただでさえ落ち込んでるのに、また断られたら立ち直れないかも。


今日の僕はいつもよりセンチメンタルみたい。


本物のママに会えれば、僕の気持ちも晴れるのに。






色々落ちている僕は駅前でぼーっと帰宅する人たちを観察することにした。


そうしていればもしかしたら誰か声をかけてくれるかもしれないから。





駅から人がいっぱいでてくる。


パパを探すにもちょうどいい時間だった。




いつもはアプリを使ってるけど、たまにはこういうのも刺激があっていい。


メッセージし合ってからじゃないから、最初から身体の関係を求められることもあるのがダルいけど。


そういう時は駅前だから、大声を出せばたいてい逃げていっちゃう。





パパたちの慌てて逃げる姿って笑える。





たぶん僕は、それが見たいがために釣りをしているところがある。



僕は個人的にパパという存在に恨みがあった。








「き、君、ずっ、ずっと、そこにいるけど、だっ誰かま待ってるの??」



声をかけられて顔をあげると、やけに顔が脂ぎった小太りの男がいた。


この男は、ないな。


はぁはぁ息が荒くて、一瞬で地雷だとわかる。


僕のママ活パパ活はセックスなしが前提だけど、小太りの男は直ぐにでもホテルに行きたそうな気持ち悪い目つきをしていた。


てか、よくその容姿で僕に話しかけられたな。


ちょっと信じられない。



「よ、よかったら、ここここ、これでどう?」



男は指を5本立てて僕に示す。


・・・5千か、5万。


5千だったら舐めてるわ。


靴はやけにいいの履いてるし、鞄もブランド物だからたぶん5万か。


悪くないけど、30分ただ会うだけで5万くれるママは結構いる。


セックスなしでそれだから、仮にありなら5万で済むわけがない。


やっぱり舐めてるだろ。



「僕、そういうんじゃないので」



「で、でも、ずっと、そこに、い、いたでしょ。ももしかして、家出?そ、それなら、僕の家に、き来てもいいいよ」


「ちょっと、やめて下さい!」



小太りの男は無理矢理僕の腕を掴んできた。


手加減はなく、ぎりぎりと男の太い指が食い込む。



かなり痛いし気持ち悪いしで泣きそうだ。



こいつはやっぱり地雷だった。



ベッドの上でも相手の身体のことを考えられないタイプなんだろう。


男と絡むところまで想像して失神しそうになった。


暴力的な男なんてみんな滅んでしまえばいい。




「なにをしているんですか?」



多くの人の注目を集めるために大声をあげようとしたら、その前に背の高い男が近づいてきた。



「な、なんでもないよ。か、彼は、僕の、弟なんだっ」



背の高い男はしゃがみ込んで、僕の顔を覗き込んできた。



金髪に、青い瞳。まるで王子様のような男の人。


その金や青はあまりに綺麗だった。


染めたり、カラコンを入れているわけじゃないみたいだ。



「この人の、弟なんですか?」



僕は王子に聞かれて、首を横に振った。



「お、お前には、関係ないだろ!あっちに行けよ!」



「怯えている男の子を放っておけません。場合によっては警察を呼びますよ」



ずいぶん日本語の上手い外国人だ。


物腰もやわらかで、なんだか良い匂いがする。


本から飛び出て来たかのような存在を前に、僕は呆然としてしまった。


それから王子に言いくるめられて、小太りの男はビッチがという捨て台詞を吐いて逃げていった。



「大丈夫ですか?」



小太りの男がいなくなって、王子は僕に話しかけてきた。


言い合っている時とは違って、優しい笑みを浮かべている。


「あ、ありがとう」


僕は小太りの男のように思わずどもっちゃった。


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