384 / 396
第四章 絢爛のスクールフェスタ
第384話 覚悟の分断
しおりを挟む
赤い邪法の炎の色を映した魔石が、門から弾け飛んだ勢いで周囲の壁に突き刺さる。光魔法の効果で炎は消えたが、僕のエーテルを吸収した魔石の活動は止まらない。
壁にめり込んだ魔石から、土壁の中に埋まっていた他の魔石へと光が伝播し、無数の赤い光が明滅を始める。
「ちょっ! リーフ! なんかやべぇぞ!」
ヴァナベルが警告を発するのも無理はない。地鳴りが酷くなり、土壁が崩壊を始める。
「さすがに落盤に巻き込まれたら、逃げ場がないよ~」
ヌメリンが地図を広げながら不安げな声を上げる。
「落盤ではありませんわ。良くないことが起こるのは間違いないですけど」
マリーが宵の明星を構えながら、赤く禍々しい光を宿す壁との距離を測っている。
「クレイゴーレムが来る……」
「ええ。横の壁……それと、後方の壁から来ます!」
アルフェの呟きに、気配を探っていたホムが鋭い声を飛ばす。
土と水が混じり合う泥の匂いが一層濃くなったかと思うと、壁がぼこぼこと盛り上がり、赤く禍々しい光で象られたクレイゴーレムの姿が浮かび上がった。
「オォオオォオオオオ……」
低い呻きのような声を上げながら、クレイゴーレムが溶けた泥のような口を開く。泥を滴らせながら壁から抜け出すクレイゴーレムに、別の一体が続いた。
「想像以上にヤベぇな……わらわら出てきやがるぜ」
「にゃははっ! これはちょっと笑うしかないな」
その魔眼の力で、誰よりも状況が見えている分、余裕がないはずのファラが努めて明るい声を出す。
「錬金術式による自働戦闘兵器、クレイゴーレムっちゅーことは、まだまだ出て来ちゃうよねぇ」
反応を続けている魔石から簡易術式を読み取ったメルアが、乾いた笑いを漏らす。
「泥なんてこの地下通路のそこらじゅうにありますし、やりたい放題ですわね。しかも、邪法で私たちを襲うように指示されてるなんて、褒め言葉じゃないですけど、流石の嫌がらせですわぁ!」
マリーが叫び、先手必勝とばかりに狙いを定め、宵の明星のクイックドロウの四連射で後方から湧いたクレイゴーレムの四肢を次々に撃ち抜く。ファイアシューターの簡易術式による四発の火球は、狙い通り両手両脚を吹き飛ばし、クレイゴーレムの巨大な胴体と頭部がぐしゃりと通路に崩れた。
「すげぇ! これなら楽勝じゃねぇか!?」
「一体だけならそうだろうけど~、もう一体がなんかしてくるよぉ~!」
ヌメリンが牽制の斧を投げつけるが、クレイゴーレムの泥の身体にはダメージを与えられない。ズブズブと斧が沈んだかと思うと、そのまま泥に埋もれて見えなくなった。
「なんか来るぞ!」
「熱線だ! 伏せろ!」
大きく開かれたクレイゴーレムの口の奥で、赤色の魔石が鋭い光を放つ。魔石の持つ炎属性を使った熱線攻撃に、僕は叫んだ。
「メルアちゃんシールド!」
いち早く反応したメルアが、武装錬成を応用した鋼の大盾を瞬時に生成し、熱線を受け止める。
「駄目! 防ぎきれない!」
熱線を浴びた鋼の盾が赤熱するのに気づいたアルフェが氷の壁を打ち立てて、盾ごと僕たちを守る。
「ナイス! アルフェちゃん! 頼むよ、マリー!」
「もう一発喰らわせてやりますわぁ!!」
素早く銃身を回してセレクターを切り替えたマリーが、ウォーターシューターの簡易術式で水の弾丸を放ち、熱線を放つクレイゴーレムの口を貫く。
「これでフィニッシュですわ!」
自らにフィジカルブーストを施し、加速したマリーがクレイゴーレムに肉薄してウィンドシューターを打ち込む。至近距離で風の弾丸を浴びたクレイゴーレムはバラバラに弾け飛んだ。
「ファラ様、ヴァナベル!」
ホムが武装錬成で強化した回し蹴りで、クレイゴーレムの両脚を二体連続で薙ぎ払う。
「頭部の魔石を狙って下さい!」
僕との記憶を共有しているホムがクレイゴーレムの弱点を伝えると、ファラとヴァナベルが殆ど同時に動いた。
「任せろ!」
脚を吹き飛ばされたおかげで、クレイゴーレムの天井まで届くほどの頭部が狙いやすくなっている。二体のクレイゴーレムの頭部に埋め込まれた魔石を、ファラとヴァナベルが破壊すると、クレイゴーレムはその形を保てずに崩れた。
「にゃはっ! 弱点がわかって助かるぜ!」
「だな! ……ん? 待てよ。魔石が弱点っていうか動力になってるってことは……壁に埋まってる魔石全部が動力になる可能性があるってことか?」
「ヤダ~! 幾つあるの~!?」
ファラとヴァナベルの言葉を受けて、ヌメリンが途方に暮れたような声を上げる。それもそのはずで、壁に埋まっている魔石から今この瞬間にも、次々とクレイゴーレムが迫り出してくる予兆がこの地下通路の至るところで進んでいるのだ。
「リーフ、さっきのクレイゴーレムも……」
「ああ、魔石が無事な限り、何度でも復活する。この土の空間は、そのためにわざと埋め戻したんじゃないかとさえ思えるね」
人魔大戦の頃の人類が考えた罠としてはかなりのレベルのものだ。マリーが四肢を撃ち抜いたことで、自重で崩れはじめていたクレイゴーレムも、地面に流れた泥を集めて再生を始めている。
赤々と燃えるような光を宿した魔石が、一つ目の目玉のようにぎょろぎょろと土の中で動いている。だが、その魔石は次の瞬間、マリーの宵の明星によって撃ち抜かれた。
「要するに、頭を狙うのが効率的というわけですわね」
「そうだね。それにそれほど絶望的な状況というわけでもない。僕のエーテルをさっきの光魔法の発動で吸い上げたからと言って、小さい魔石にはクレイゴーレムを動かせるほどの力はない。少なくとも手のひらよりも大きな大型の魔石でないとあの巨体を動かすことはできないね」
だからといって希望があるかどうかと言えば、難しい。この狭い空間では、クレイゴーレムを一掃するような魔法は使えない。炎魔法を無闇に使えば、皆にダメージを与える可能性がある。そうでなくても、地下空間にある酸素を枯渇させれば、ここに留まることさえ難しくなる。
「地道に倒すしかないっちゃないけど……。これ、結構な量あるよね~」
「今蠢いているものだけで、少なくとも十体はいるようです」
メルアの呟きに、ホムが冷静に返す。壁の中からクレイゴーレムが出現するまで、あと幾ばくもないだろう。先手必勝で魔石を狙い続けるのは、あまり上手い手とは言えない。僕以外の皆にとっては、魔力は有限なのだ。まして、魔力切れを起こすほどの激しい戦いの後なのだから、この場所での魔力切れば絶対に避けたい。
「……魔族の邪法で動いているなら、デモンズアイみたいに使役者を倒せば止められる……?」
「そうだね。いずれにしても、ここで足止めを喰らってる場合じゃない。それこそイグニスの思う壺だ」
アルフェの問いかけに頷きながら、僕は必死に考えを巡らせる。
「マリー先輩、メルア先輩! 後方から数体!」
ヴァナベルが耳をぴんと尖らせ、後衛のマリーとメルアに知らせる。
「やばっ! 一体しか見えてないんですけどぉ~!」
メルアの悲鳴のような声と、不気味な地鳴りが重なり、ヴァナベルが察知していた光景が目の前に現れた。
「援護致します!」
「ワタシも!」
三メートルを越えた巨大なクレイゴーレムが後方の退路を断つように並び立つ。
「駄目ですわ!」
躊躇なく後衛の援護に回ろうとするホムとアルフェを、マリーの鋭い声が制した。
「メルア!」
「わかってるって! 武装錬成!」
マリーの合図でメルアが武装錬成の魔法を行使する。その用途に僕は想わず自分の目を疑った。
「メルア先輩、どうして……」
メルアは、クレイゴーレムに対してではなく、助けに向かおうとするホムとアルフェの進路を塞ぐために武装錬成で鋼鉄の壁を造り上げたのだ。
「危険です!」
「そんなの百も承知ですわぁ! でも、こんなところで足止め喰らってる場合じゃないんですの!」
「そーそー! 時間もエーテルも余裕ないよ。それこそイグニスの思うツボじゃん!」
壁に隔てられていて、マリーとメルアの様子は見えないが、戦闘音と声だけは聞き取ることが出来る。
「ここは私たちが食い止めますわ! ですから、エステアを――」
「無茶だ! そんなの先輩たちを見捨てていくもんじゃねぇか!」
マリーの言葉に真っ先に反対したのはヴァナベルだった。
「負けるつもりなんてハナからありませんわぁ! 私、このクレイゴーレムの攻撃手段はもう見切りましたの。接近での打撃か遠距離からの熱線のみ。だったら、間接攻撃を主体とする私たちが有利ですわぁ!」
「そーゆーわけだから、ししょー! うちにもたまには先輩らしいところを見させてよね!」
マリーとメルアの考えを聞いて、これ以上迷う時間はないと判断した。
「二人を信じる。だから、進もう」
僕はアーケシウスで先陣を切る。目指すは門扉の向こう、エステアとイグニスがいるはずの大闘技場の地下だ。
「進むって決めたから、もうここでは戦わない……。もうこれ以上、ワタシたちの邪魔をしないで」
アルフェが静かに呟き、無詠唱で辺りの壁を凍らせる。クレイゴーレムを倒せないまでも、せめて足止めだけでもというアルフェの強い意思を感じた。
壁にめり込んだ魔石から、土壁の中に埋まっていた他の魔石へと光が伝播し、無数の赤い光が明滅を始める。
「ちょっ! リーフ! なんかやべぇぞ!」
ヴァナベルが警告を発するのも無理はない。地鳴りが酷くなり、土壁が崩壊を始める。
「さすがに落盤に巻き込まれたら、逃げ場がないよ~」
ヌメリンが地図を広げながら不安げな声を上げる。
「落盤ではありませんわ。良くないことが起こるのは間違いないですけど」
マリーが宵の明星を構えながら、赤く禍々しい光を宿す壁との距離を測っている。
「クレイゴーレムが来る……」
「ええ。横の壁……それと、後方の壁から来ます!」
アルフェの呟きに、気配を探っていたホムが鋭い声を飛ばす。
土と水が混じり合う泥の匂いが一層濃くなったかと思うと、壁がぼこぼこと盛り上がり、赤く禍々しい光で象られたクレイゴーレムの姿が浮かび上がった。
「オォオオォオオオオ……」
低い呻きのような声を上げながら、クレイゴーレムが溶けた泥のような口を開く。泥を滴らせながら壁から抜け出すクレイゴーレムに、別の一体が続いた。
「想像以上にヤベぇな……わらわら出てきやがるぜ」
「にゃははっ! これはちょっと笑うしかないな」
その魔眼の力で、誰よりも状況が見えている分、余裕がないはずのファラが努めて明るい声を出す。
「錬金術式による自働戦闘兵器、クレイゴーレムっちゅーことは、まだまだ出て来ちゃうよねぇ」
反応を続けている魔石から簡易術式を読み取ったメルアが、乾いた笑いを漏らす。
「泥なんてこの地下通路のそこらじゅうにありますし、やりたい放題ですわね。しかも、邪法で私たちを襲うように指示されてるなんて、褒め言葉じゃないですけど、流石の嫌がらせですわぁ!」
マリーが叫び、先手必勝とばかりに狙いを定め、宵の明星のクイックドロウの四連射で後方から湧いたクレイゴーレムの四肢を次々に撃ち抜く。ファイアシューターの簡易術式による四発の火球は、狙い通り両手両脚を吹き飛ばし、クレイゴーレムの巨大な胴体と頭部がぐしゃりと通路に崩れた。
「すげぇ! これなら楽勝じゃねぇか!?」
「一体だけならそうだろうけど~、もう一体がなんかしてくるよぉ~!」
ヌメリンが牽制の斧を投げつけるが、クレイゴーレムの泥の身体にはダメージを与えられない。ズブズブと斧が沈んだかと思うと、そのまま泥に埋もれて見えなくなった。
「なんか来るぞ!」
「熱線だ! 伏せろ!」
大きく開かれたクレイゴーレムの口の奥で、赤色の魔石が鋭い光を放つ。魔石の持つ炎属性を使った熱線攻撃に、僕は叫んだ。
「メルアちゃんシールド!」
いち早く反応したメルアが、武装錬成を応用した鋼の大盾を瞬時に生成し、熱線を受け止める。
「駄目! 防ぎきれない!」
熱線を浴びた鋼の盾が赤熱するのに気づいたアルフェが氷の壁を打ち立てて、盾ごと僕たちを守る。
「ナイス! アルフェちゃん! 頼むよ、マリー!」
「もう一発喰らわせてやりますわぁ!!」
素早く銃身を回してセレクターを切り替えたマリーが、ウォーターシューターの簡易術式で水の弾丸を放ち、熱線を放つクレイゴーレムの口を貫く。
「これでフィニッシュですわ!」
自らにフィジカルブーストを施し、加速したマリーがクレイゴーレムに肉薄してウィンドシューターを打ち込む。至近距離で風の弾丸を浴びたクレイゴーレムはバラバラに弾け飛んだ。
「ファラ様、ヴァナベル!」
ホムが武装錬成で強化した回し蹴りで、クレイゴーレムの両脚を二体連続で薙ぎ払う。
「頭部の魔石を狙って下さい!」
僕との記憶を共有しているホムがクレイゴーレムの弱点を伝えると、ファラとヴァナベルが殆ど同時に動いた。
「任せろ!」
脚を吹き飛ばされたおかげで、クレイゴーレムの天井まで届くほどの頭部が狙いやすくなっている。二体のクレイゴーレムの頭部に埋め込まれた魔石を、ファラとヴァナベルが破壊すると、クレイゴーレムはその形を保てずに崩れた。
「にゃはっ! 弱点がわかって助かるぜ!」
「だな! ……ん? 待てよ。魔石が弱点っていうか動力になってるってことは……壁に埋まってる魔石全部が動力になる可能性があるってことか?」
「ヤダ~! 幾つあるの~!?」
ファラとヴァナベルの言葉を受けて、ヌメリンが途方に暮れたような声を上げる。それもそのはずで、壁に埋まっている魔石から今この瞬間にも、次々とクレイゴーレムが迫り出してくる予兆がこの地下通路の至るところで進んでいるのだ。
「リーフ、さっきのクレイゴーレムも……」
「ああ、魔石が無事な限り、何度でも復活する。この土の空間は、そのためにわざと埋め戻したんじゃないかとさえ思えるね」
人魔大戦の頃の人類が考えた罠としてはかなりのレベルのものだ。マリーが四肢を撃ち抜いたことで、自重で崩れはじめていたクレイゴーレムも、地面に流れた泥を集めて再生を始めている。
赤々と燃えるような光を宿した魔石が、一つ目の目玉のようにぎょろぎょろと土の中で動いている。だが、その魔石は次の瞬間、マリーの宵の明星によって撃ち抜かれた。
「要するに、頭を狙うのが効率的というわけですわね」
「そうだね。それにそれほど絶望的な状況というわけでもない。僕のエーテルをさっきの光魔法の発動で吸い上げたからと言って、小さい魔石にはクレイゴーレムを動かせるほどの力はない。少なくとも手のひらよりも大きな大型の魔石でないとあの巨体を動かすことはできないね」
だからといって希望があるかどうかと言えば、難しい。この狭い空間では、クレイゴーレムを一掃するような魔法は使えない。炎魔法を無闇に使えば、皆にダメージを与える可能性がある。そうでなくても、地下空間にある酸素を枯渇させれば、ここに留まることさえ難しくなる。
「地道に倒すしかないっちゃないけど……。これ、結構な量あるよね~」
「今蠢いているものだけで、少なくとも十体はいるようです」
メルアの呟きに、ホムが冷静に返す。壁の中からクレイゴーレムが出現するまで、あと幾ばくもないだろう。先手必勝で魔石を狙い続けるのは、あまり上手い手とは言えない。僕以外の皆にとっては、魔力は有限なのだ。まして、魔力切れを起こすほどの激しい戦いの後なのだから、この場所での魔力切れば絶対に避けたい。
「……魔族の邪法で動いているなら、デモンズアイみたいに使役者を倒せば止められる……?」
「そうだね。いずれにしても、ここで足止めを喰らってる場合じゃない。それこそイグニスの思う壺だ」
アルフェの問いかけに頷きながら、僕は必死に考えを巡らせる。
「マリー先輩、メルア先輩! 後方から数体!」
ヴァナベルが耳をぴんと尖らせ、後衛のマリーとメルアに知らせる。
「やばっ! 一体しか見えてないんですけどぉ~!」
メルアの悲鳴のような声と、不気味な地鳴りが重なり、ヴァナベルが察知していた光景が目の前に現れた。
「援護致します!」
「ワタシも!」
三メートルを越えた巨大なクレイゴーレムが後方の退路を断つように並び立つ。
「駄目ですわ!」
躊躇なく後衛の援護に回ろうとするホムとアルフェを、マリーの鋭い声が制した。
「メルア!」
「わかってるって! 武装錬成!」
マリーの合図でメルアが武装錬成の魔法を行使する。その用途に僕は想わず自分の目を疑った。
「メルア先輩、どうして……」
メルアは、クレイゴーレムに対してではなく、助けに向かおうとするホムとアルフェの進路を塞ぐために武装錬成で鋼鉄の壁を造り上げたのだ。
「危険です!」
「そんなの百も承知ですわぁ! でも、こんなところで足止め喰らってる場合じゃないんですの!」
「そーそー! 時間もエーテルも余裕ないよ。それこそイグニスの思うツボじゃん!」
壁に隔てられていて、マリーとメルアの様子は見えないが、戦闘音と声だけは聞き取ることが出来る。
「ここは私たちが食い止めますわ! ですから、エステアを――」
「無茶だ! そんなの先輩たちを見捨てていくもんじゃねぇか!」
マリーの言葉に真っ先に反対したのはヴァナベルだった。
「負けるつもりなんてハナからありませんわぁ! 私、このクレイゴーレムの攻撃手段はもう見切りましたの。接近での打撃か遠距離からの熱線のみ。だったら、間接攻撃を主体とする私たちが有利ですわぁ!」
「そーゆーわけだから、ししょー! うちにもたまには先輩らしいところを見させてよね!」
マリーとメルアの考えを聞いて、これ以上迷う時間はないと判断した。
「二人を信じる。だから、進もう」
僕はアーケシウスで先陣を切る。目指すは門扉の向こう、エステアとイグニスがいるはずの大闘技場の地下だ。
「進むって決めたから、もうここでは戦わない……。もうこれ以上、ワタシたちの邪魔をしないで」
アルフェが静かに呟き、無詠唱で辺りの壁を凍らせる。クレイゴーレムを倒せないまでも、せめて足止めだけでもというアルフェの強い意思を感じた。
0
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる