26 / 51
想わぬ展開
しおりを挟む
いや待て加賀美司!怒りに任せて行動するのは簡単だけど、剣士たる者は常に冷静でなければらないと反省したばかりではないか!
辛うじて自分にそう言い聞かせる。
「ふ~…そんな挑発には乗りませんよ。あなたの思い通りに動いて差し上げるのは時間の無駄というものです。では、お引き取りを」
よーし!冷静になって言えたぞ。
この無礼者は今度こそ帰ってくれるだろう。
「噂を聴いて喜び勇みつつ、単なる腕試しで来てみたのだが…残念だよ。加賀美司」
お、いいぞいいぞ。この場を立ち去る感が出て来ている。相変わらず呼び捨てにされるのは腹が立つけれど。
このままの流れなら本当にこの場から居なくなってもらえそう。
「何だ。単なる腕試しなら俺が相手になってやるぞ」
のわっ!?どこからともなく師匠の声が聴こえた。
また余計なことをしてくれちゃいそうだな…
「誰だ!?姿を見せろ!」
冷泉という殿方がその声のする方へ呼びかけると、木刀を片手に持った師匠が、門の裏からもったいぶるようにゆっくり姿を現した。早く出てくれば良いのに…
「小僧、そこの加賀美司は独自で師範こそしているが、まだまだ俺を超えられない弟子だ。つまり俺と勝負して勝てば、我が弟子より強いことの証明になるぞ。どうだ、一勝負やってみるか?」
「やる」
師匠の悦に入った長台詞に対して、冷泉は顔色一つ変えずにたったの二文字で即答した。
流石の師匠もこれには一瞬固まったように見えたがすぐに口を開く。
「フッ、よかろう。だが外で試合をしては目立つ故、場所を道場に移すぞ。俺の後ろをついて来い」
「わかった」
思わぬ方向へことが進み、わたしは師匠と得体の知れない殿方の試合を是非とも見たくなった。
「師匠!わたしも着替えて道場に行きます。立会人も居た方が良いでしょうからそれまで待っていて貰えないでしょうか?」
「うむ、それもそうだな。では急いで着替えて来るがいい」
「はい!」
こうしてわたしは着替えのために部屋へと向かい、師匠と冷泉の二人は道場へ歩いて向かった。
部屋へ入り道着に着替えながらふと想う。
よく考えれば師匠がわたし以外の誰かと闘うところを見るのって、小さい頃に盗賊達から救ってもらった時以来ではないだろうか…
実際に対峙して試合をするのと、師匠と第三者の試合を客観的に観るのとでは学べることが違うかも知れない。
着替えが終わり道場に着くと、真琴さんが神妙な面持ちで入り口に立っていた。
「真琴さんも二人の試合を観に来たんですね」
「あ、はい。奏様が司様以外の方と試合をするのは初めてだから心配で…」
「フフフ、それは無用な心配というものですよ真琴さん。人格はともかくとして、師匠は間違いなく日本で最強の剣士ですから」
余り師匠を褒めたくはないけど素直にそう想っている。
辛うじて自分にそう言い聞かせる。
「ふ~…そんな挑発には乗りませんよ。あなたの思い通りに動いて差し上げるのは時間の無駄というものです。では、お引き取りを」
よーし!冷静になって言えたぞ。
この無礼者は今度こそ帰ってくれるだろう。
「噂を聴いて喜び勇みつつ、単なる腕試しで来てみたのだが…残念だよ。加賀美司」
お、いいぞいいぞ。この場を立ち去る感が出て来ている。相変わらず呼び捨てにされるのは腹が立つけれど。
このままの流れなら本当にこの場から居なくなってもらえそう。
「何だ。単なる腕試しなら俺が相手になってやるぞ」
のわっ!?どこからともなく師匠の声が聴こえた。
また余計なことをしてくれちゃいそうだな…
「誰だ!?姿を見せろ!」
冷泉という殿方がその声のする方へ呼びかけると、木刀を片手に持った師匠が、門の裏からもったいぶるようにゆっくり姿を現した。早く出てくれば良いのに…
「小僧、そこの加賀美司は独自で師範こそしているが、まだまだ俺を超えられない弟子だ。つまり俺と勝負して勝てば、我が弟子より強いことの証明になるぞ。どうだ、一勝負やってみるか?」
「やる」
師匠の悦に入った長台詞に対して、冷泉は顔色一つ変えずにたったの二文字で即答した。
流石の師匠もこれには一瞬固まったように見えたがすぐに口を開く。
「フッ、よかろう。だが外で試合をしては目立つ故、場所を道場に移すぞ。俺の後ろをついて来い」
「わかった」
思わぬ方向へことが進み、わたしは師匠と得体の知れない殿方の試合を是非とも見たくなった。
「師匠!わたしも着替えて道場に行きます。立会人も居た方が良いでしょうからそれまで待っていて貰えないでしょうか?」
「うむ、それもそうだな。では急いで着替えて来るがいい」
「はい!」
こうしてわたしは着替えのために部屋へと向かい、師匠と冷泉の二人は道場へ歩いて向かった。
部屋へ入り道着に着替えながらふと想う。
よく考えれば師匠がわたし以外の誰かと闘うところを見るのって、小さい頃に盗賊達から救ってもらった時以来ではないだろうか…
実際に対峙して試合をするのと、師匠と第三者の試合を客観的に観るのとでは学べることが違うかも知れない。
着替えが終わり道場に着くと、真琴さんが神妙な面持ちで入り口に立っていた。
「真琴さんも二人の試合を観に来たんですね」
「あ、はい。奏様が司様以外の方と試合をするのは初めてだから心配で…」
「フフフ、それは無用な心配というものですよ真琴さん。人格はともかくとして、師匠は間違いなく日本で最強の剣士ですから」
余り師匠を褒めたくはないけど素直にそう想っている。
0
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
黄泉がえり陽炎姫は最恐魔王に溺愛される
彪雅にこ
恋愛
「ああ、私、とうとう死んでしまうのね…」
侯爵令嬢フェリシアは、命の危機に瀕していた──。
王太子の婚約者だったフェリシアは、何者かの手にかかり、生死の境を彷徨い黄泉へと渡りかける。奇跡の生還を果たしたものの、毒の後遺症で子を成せなくなったと診断され、婚約は破棄に。陽炎姫と呼ばれる日陰の存在となっていた。
まるで邸を追い出されるかのように隣国の好色伯爵の元へ嫁がされる途中で馬車が暴漢に襲われ、再び命の危険に晒されたフェリシアを救ったのは、悪魔のような山羊の頭蓋骨の面を被った魔王だった。
人々から最恐と怖れられる魔王は、なぜフェリシアを助けたのか…?
そして、フェリシアを黄泉へと送ろうとした人物とは?
至宝と称えられながらも表舞台から陽炎のように消えた侯爵令嬢と、その強大すぎる魔力と特異な容姿により魔王と恐れられる公爵の、恋と成長の物語。
表紙は友人の丸インコさんが描いてくださいました!感謝♡
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日7時•19時に更新予定です。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる