15 / 168
第15話 チャーシューメン
しおりを挟む
ラーメン屋でチャーシューメンを食す時、貴方ならどのタイミングでチャーシューを頬張るだろうか?
真っ先に食べる派、中間で食べる派、最後までとっとく派、満遍なく食べる派、そもそも頼まない派、などなど選択肢は多数あるけれど、結局のところ人によって好みは分かれることだろう。
或いはその日の体調や気分で変わるかも知れない。
僕は敢えて声高々に言わせてもらうが、誰に何を言われようともチャーシューは真っ先に食べてしまう「鬼畜」派だ。
いや、勢いで自らを「鬼畜」呼ばわりしてしまったことは置いておくとして、僕がチャーシューをいの一番に片付けてしまう理由は食の効率を考えてのことである。
つまり僕は食事を効率良く済ませるためだけに、下手をすれば、否、下手をしなくても主役の麺を超えるキャパを秘めた美味いチャーシューを先に食べてしまうのだ。
「ぬふぅ!このチャーシュー柔らかくて美味しいねぇ!麺とスープも最高!」
「あぁ、トロトロだな。噛まずとも口の中で勝手に溶けていく感じだ」
未桜がとんこつ味のスープをレンゲで掬って一口呑み、麺を啜りチャーシューまで食べたあと満面の笑みを浮かべて賞賛した。
余計な思考で出遅れた僕も、麺とスープを食したのだが想像を超えた美味しさに驚いている。
さっき道端で出会った幼児の件で未桜を叱ってしまったけれど、このラーメン屋のことを正直なところ僕は舐めていたかも知れない。
僻地の小さな村の一角にある古びたラーメン屋を侮るなかれ、である。
腹がかなり減っていたことも手伝って、僕と未桜はあっという間にチャーシュメン、ライス、餃子を平らげてしまった。
「これなら『食べログ』で五つ星を付けても良いんじゃないか、未桜」
「うん、そうかもぉ。でも、まずは登録されてるかどうかが微妙なんだけどねぇ...」
そう言って未桜がスマホを使い早速検索してみたのだが...
「あちゃ~、やっぱこの店知られてないみたいだよ。なんだか勿体ないなぁ」
「そっか、なら仕方ないな。じゃぁ、明日の昼飯はここで食べて事務所へ帰ることにしよう」
「おっ!良いねぇ、明日は別メニュー食べようっと♪」
僕達は食べ終えた食器をテーブルの隅に寄せて席を立ち、いつの間にか客が数人増えて忙しくしている店主に声をかける。
「ご馳走様でした。すごく美味しかったです。お会計を、ここに丁度置いておきますね」
僕はサイフから金を取り出しカウンターへ置いた。
店を出る前に気掛かりだった古過ぎる漫画雑誌を新しい物になぜ変えないのか訊きたかったけれど、一人で忙しく切り盛りしている店主の姿を見て諦めた。
真っ先に食べる派、中間で食べる派、最後までとっとく派、満遍なく食べる派、そもそも頼まない派、などなど選択肢は多数あるけれど、結局のところ人によって好みは分かれることだろう。
或いはその日の体調や気分で変わるかも知れない。
僕は敢えて声高々に言わせてもらうが、誰に何を言われようともチャーシューは真っ先に食べてしまう「鬼畜」派だ。
いや、勢いで自らを「鬼畜」呼ばわりしてしまったことは置いておくとして、僕がチャーシューをいの一番に片付けてしまう理由は食の効率を考えてのことである。
つまり僕は食事を効率良く済ませるためだけに、下手をすれば、否、下手をしなくても主役の麺を超えるキャパを秘めた美味いチャーシューを先に食べてしまうのだ。
「ぬふぅ!このチャーシュー柔らかくて美味しいねぇ!麺とスープも最高!」
「あぁ、トロトロだな。噛まずとも口の中で勝手に溶けていく感じだ」
未桜がとんこつ味のスープをレンゲで掬って一口呑み、麺を啜りチャーシューまで食べたあと満面の笑みを浮かべて賞賛した。
余計な思考で出遅れた僕も、麺とスープを食したのだが想像を超えた美味しさに驚いている。
さっき道端で出会った幼児の件で未桜を叱ってしまったけれど、このラーメン屋のことを正直なところ僕は舐めていたかも知れない。
僻地の小さな村の一角にある古びたラーメン屋を侮るなかれ、である。
腹がかなり減っていたことも手伝って、僕と未桜はあっという間にチャーシュメン、ライス、餃子を平らげてしまった。
「これなら『食べログ』で五つ星を付けても良いんじゃないか、未桜」
「うん、そうかもぉ。でも、まずは登録されてるかどうかが微妙なんだけどねぇ...」
そう言って未桜がスマホを使い早速検索してみたのだが...
「あちゃ~、やっぱこの店知られてないみたいだよ。なんだか勿体ないなぁ」
「そっか、なら仕方ないな。じゃぁ、明日の昼飯はここで食べて事務所へ帰ることにしよう」
「おっ!良いねぇ、明日は別メニュー食べようっと♪」
僕達は食べ終えた食器をテーブルの隅に寄せて席を立ち、いつの間にか客が数人増えて忙しくしている店主に声をかける。
「ご馳走様でした。すごく美味しかったです。お会計を、ここに丁度置いておきますね」
僕はサイフから金を取り出しカウンターへ置いた。
店を出る前に気掛かりだった古過ぎる漫画雑誌を新しい物になぜ変えないのか訊きたかったけれど、一人で忙しく切り盛りしている店主の姿を見て諦めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
<第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。応援ありがとうございました!>
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる