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第47話 腐食
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人口の減少が加速度的に進むこの日本において、数多と存在する他のどの廃墟にも同じように云えることだが、悲しいかな、廃墟を荒らし破壊する者達があとを絶たない。
高校生時代に廃墟の素晴らしさを初めて知った時から、廃墟というものをこよなく愛して止まない僕からすれば、貴重な建物を破壊する行為など言語道断である。
ただ単に破壊的欲求を満たすだけなら、今は電化製品や様々な備品を好きなでけ壊せる店もあるじゃないか。
金を出して破壊衝動を満たすのが嫌なら、解体工事の専門業者にでも勤めれば良いのだ。これなら物を壊しても誰からも忌み嫌われることも無いし、その上賃金までゲットできるのだから一石二鳥だというものだ。
何も貴重な廃墟までわざわざ足を運んで暴れる必要は無いのである。
だから僕は声を大にして言いたい!
廃墟はお大事に!!!!
とはいえ、目の前の壊された燈明神社の一部は恐らく多分、破壊的衝動に駆られた人間の手によるものではないだろう。
いや、この場合「だろう」という表現は相応しくないな。単純に考えて金品目的の盗人の仕業で間違いない。
賽銭箱のあった場所に小銭は一つも転がっておらず、拝殿の中にあったであろう金目の物が一切合切無くなっていたのだから...
淀橋さんの話しに登場した蝋燭立ての置かれていた形跡はあったけれど、肝心の蝋燭立て自体は影も形も見当たらなかった。
もしこの神社に神様が残っていたなら申し訳ないが、僕と未桜は拝殿に土足で足を踏み入れた。
そして僕は一瞬にして木の床の違和感に気付く。
木の床の踏んだ感触は気持ちが悪くなるくらいふにゃふにゃとしていて、危険性が高いことを教えてくれた。
「未桜、気をつけて歩くんだ。この床はかなり腐食が進んでやがる。下手なところを踏んでしまえば床が抜けて怪我するぞ」
「了解、慎重に歩きまっす!」
ここから僕と未桜は「抜き足差し足忍び足」といった具合で、側から見れば盗みに入った泥棒を連想させるような動きになってしまうが仕方ない。
天井を見上げると外の光を通す小さな穴が点々としており、拝殿の中が雨漏りによって傷んでいることが予測出来る。
「こんな酷い状態なら、屋根がいつ落ちてきても不思議じゃないな...」
「ちょっとやだぁ、怖いこと言わないでよぉ~。もう!意地悪なんだからぁ」
その言葉、そっくりそのまま、いや、綺麗な「のし」でも付けて丁重に返してやろうか...
屋根のことだが別段意地悪を言ったつもりはない。
現に屋根を支えているありとあらゆる部材が目に見えて腐食していたのだから...
高校生時代に廃墟の素晴らしさを初めて知った時から、廃墟というものをこよなく愛して止まない僕からすれば、貴重な建物を破壊する行為など言語道断である。
ただ単に破壊的欲求を満たすだけなら、今は電化製品や様々な備品を好きなでけ壊せる店もあるじゃないか。
金を出して破壊衝動を満たすのが嫌なら、解体工事の専門業者にでも勤めれば良いのだ。これなら物を壊しても誰からも忌み嫌われることも無いし、その上賃金までゲットできるのだから一石二鳥だというものだ。
何も貴重な廃墟までわざわざ足を運んで暴れる必要は無いのである。
だから僕は声を大にして言いたい!
廃墟はお大事に!!!!
とはいえ、目の前の壊された燈明神社の一部は恐らく多分、破壊的衝動に駆られた人間の手によるものではないだろう。
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もしこの神社に神様が残っていたなら申し訳ないが、僕と未桜は拝殿に土足で足を踏み入れた。
そして僕は一瞬にして木の床の違和感に気付く。
木の床の踏んだ感触は気持ちが悪くなるくらいふにゃふにゃとしていて、危険性が高いことを教えてくれた。
「未桜、気をつけて歩くんだ。この床はかなり腐食が進んでやがる。下手なところを踏んでしまえば床が抜けて怪我するぞ」
「了解、慎重に歩きまっす!」
ここから僕と未桜は「抜き足差し足忍び足」といった具合で、側から見れば盗みに入った泥棒を連想させるような動きになってしまうが仕方ない。
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