天狗と骨董屋

吉良鳥一

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緋色の罪

第十二話

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 何処だ__?
 何処にいる__?

 真尋は空から椿を追った。
 目視では彼女の姿を確認出来ないが、微かに感じる妖気を全力で探し、段々近付いているのが感じられた。

 いた__!!

  錫杖を出現させると黒い妖気を纏わせたに向かい術を放った。

「焼き払え、炎舞!!」

 真尋の放った天狗火は蛇のように長く伸び、それに体当たりするようにぶつかった。
 不意討ちで攻撃され、河川敷へと突き落とされると黒い妖気は散るように消え、うずくまる椿の姿が現れた。

「……人では無いと思ってましたがその姿、天狗ですか」

「俺は人ですよ。
妖では無いです」

「……?」

 河川敷に落ちた椿の前に降り立った真尋。
 天狗かと問われ、妖では無いと答えるがどう見ても人とは言えない姿に椿は困惑し、眉を顰める。

 「それより、復讐なんて止めてください。
今からでもまだ間に合います。
お願いします椿さん」

 真尋の必死な説得にも彼女は首を縦には振らなかった。
 それどころか、嘲笑うかのように言葉を投げ掛ける。

「愚かですね」

「??」

「人など守るに値しないと言うのに、
貴方も人に毒されて……
その内身を滅ぼしますよ」

「何言って……」

 ゆっくりと立ち上がる椿の目には殺気が感じられ真尋は身構えた。

「分からないのならそれで構いません。
消えて頂くだけです」

「……っ!!」

 木の根が真尋を後ろの地面から襲い、かろうじて避けるが、今度は前からも来て頬を掠め血が飛んだ。
 このままでは殺られると一旦上空に退避するが、木の根は執拗に追って来る。

 その攻撃を躱しながら、彼女に対抗するように真尋は黒い大きな羽団扇を出し、大きく扇いだ。

風ノ刃かざのは

 扇いだ羽団扇の風が刃となり、木の根を切り裂いていく。
 そして切られた根が椿の周りへ無惨に落とされ、枯れるように消滅した。
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