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片割れは傍らに在り(下)
第八話
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悪鬼は一呼吸置くと口を開く。
「邪魔しないで。
大人はみんな自分勝手。
だから大嫌い……」
悪鬼の少女は寂しそうにそう嘆く。
過去に何があったのかは知らない。
けれど彼女の嘆きに真尋が同情してしまうのではと利音は彼をチラリと目をやる。
実際真尋の心は痛んだ。
だけど彼女は人を殺めた。
利音の言った言葉の意味が今少しだけ響いている。
どんな理由があろうと人に害成す妖を許してはいけないと。
真尋の覚悟を決めた顔を見て利音は視線を悪鬼へと戻した。
すると悪鬼の目はこちらを捉える。
「邪魔をするなら殺してしまえばいいの」
その瞬間悪鬼が消えた。
何処へ行ったと考える間も無く真尋の目の前に迫っていた。
「……っ!!」
「真尋」
「真尋君!!」
鋭い爪で迫ってくる悪鬼を錫杖で受け止めるが、反対の手が真尋の顔を狙う。
「くっ……」
かろうじて後ろへ退くが頬に掠り傷を負ってしまった。
「縛」
「……!?」
その隙に利音が束縛術で悪鬼の動きを封じようとするもすり抜けてしまう。
そのすり抜けた先には竜樹が待ち受けていた。
「木々よ、我に力を与えよ」
そう唱えると木がいくつも地面から伸び出て悪鬼を上から潰そうと襲うが、それもすり抜けて行く。
悪鬼は空中へ跳ぶと手を上へ翳し白く丸い発光体を発現させる。
それは渦を巻くように大きくなり、悪鬼はそれを竜樹の術の木を目掛けて放った。
「くそっ!!」
木を粉々に吹っ飛ばされた竜樹。
だが悪鬼の後ろには真尋が羽団扇を構えていた。
「風ノ刃」
「ぐっ……」
風の刃を放つと悪鬼は油断していたのか、手足や体へダメージを受け、刃で斬られたような傷を負う。
「チョロチョロと目障りな……」
ダメージを負わされたのが逆鱗に触れたようで、悪鬼の目は真っ赤に染まった。
地面は割れ、利音と竜樹は立っていられず膝を着く。
割れた地面から出てきた血塗れた手。
それはいくつも在り、手の隙間からまた現れあっと言う間に空中にいた真尋の足を捕らえ引き摺り降ろされる。
「真尋!!」
そしてその手の奥からどろどろとした目が凹んだように真っ黒なおどろおどろしい
人の頭が呻き声を上げ真尋に迫る。
「邪魔しないで。
大人はみんな自分勝手。
だから大嫌い……」
悪鬼の少女は寂しそうにそう嘆く。
過去に何があったのかは知らない。
けれど彼女の嘆きに真尋が同情してしまうのではと利音は彼をチラリと目をやる。
実際真尋の心は痛んだ。
だけど彼女は人を殺めた。
利音の言った言葉の意味が今少しだけ響いている。
どんな理由があろうと人に害成す妖を許してはいけないと。
真尋の覚悟を決めた顔を見て利音は視線を悪鬼へと戻した。
すると悪鬼の目はこちらを捉える。
「邪魔をするなら殺してしまえばいいの」
その瞬間悪鬼が消えた。
何処へ行ったと考える間も無く真尋の目の前に迫っていた。
「……っ!!」
「真尋」
「真尋君!!」
鋭い爪で迫ってくる悪鬼を錫杖で受け止めるが、反対の手が真尋の顔を狙う。
「くっ……」
かろうじて後ろへ退くが頬に掠り傷を負ってしまった。
「縛」
「……!?」
その隙に利音が束縛術で悪鬼の動きを封じようとするもすり抜けてしまう。
そのすり抜けた先には竜樹が待ち受けていた。
「木々よ、我に力を与えよ」
そう唱えると木がいくつも地面から伸び出て悪鬼を上から潰そうと襲うが、それもすり抜けて行く。
悪鬼は空中へ跳ぶと手を上へ翳し白く丸い発光体を発現させる。
それは渦を巻くように大きくなり、悪鬼はそれを竜樹の術の木を目掛けて放った。
「くそっ!!」
木を粉々に吹っ飛ばされた竜樹。
だが悪鬼の後ろには真尋が羽団扇を構えていた。
「風ノ刃」
「ぐっ……」
風の刃を放つと悪鬼は油断していたのか、手足や体へダメージを受け、刃で斬られたような傷を負う。
「チョロチョロと目障りな……」
ダメージを負わされたのが逆鱗に触れたようで、悪鬼の目は真っ赤に染まった。
地面は割れ、利音と竜樹は立っていられず膝を着く。
割れた地面から出てきた血塗れた手。
それはいくつも在り、手の隙間からまた現れあっと言う間に空中にいた真尋の足を捕らえ引き摺り降ろされる。
「真尋!!」
そしてその手の奥からどろどろとした目が凹んだように真っ黒なおどろおどろしい
人の頭が呻き声を上げ真尋に迫る。
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