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河童の手のミイラ(下)
第十一話
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がしゃどくろまでもう少し、と言うところで妖が複数現れた。
大きな口だけの顔をした着物を来た女性のような妖や、上半身は人間で下半身は蛇の妖など二人に襲い掛かってくる。
「この身守り給え、急急如律令!!」
栗郷が札を取り出し呪文を唱えると襲って来た妖は二人に届く前に防御結界の障壁に弾き飛ばされた。
「ここは俺がやる。
アンタはがしゃどくろを止めろ」
「分かった」
利音はここを栗郷に任せ、先へと進む。
そして遠くから見ていたがしゃどくろの足元へやって来た。
巨大ながしゃどくろは目の前にすると遠くから見るよりも大きい。
下手したら手のひらで握り潰されそうだ。
利音の存在に気付いたがしゃどくろは邪魔だと、まるで蝿を追い払うかのように手を振りかざしてきた。
「縛!!」
だが、利音の身体に届く前にがしゃどくろの腕を拘束する。
「ここから先に行けると思うなよ」
奇声を上げ威嚇するがしゃどくろに全く怯むことも無く迎え撃った___
この後天明道から追加で派遣された人々が到着する頃に、たった一人でがしゃどくろを倒してしまい、利音の名はあっという間に天明道に轟く。
しかし、この戦闘で樹璃は命を落としてしまった。
明るく優しい彼女には恋人がいた。
いずれは結婚したいとも思っていたが、その夢は無惨にも散ってしまった。
彼女の死を知った葛西は絶望し、どうしても彼女を失った事を受け入れられず、一年後に天明道を辞めた。
辞めてからはなんとか彼女の死を受け入れようとしてみた。
しかし何度考えても、どうして彼女が死ななければならなかったのかと思うようになり、彼女を見捨てた利音達へ恨みを抱き、復讐に走った。
天明道は詳細を教えてはくれなかったので三上、更には消息不明の利音へ辿り着くまで何年も費やしたのだ。
「お前らがさっさと樹璃を病院に連れていけば助かった筈だ!!
なのに救急車さえ呼ばなかった!!」
悲痛な想いを二人にぶつける。
だが、利音も栗郷も表情を崩さない。
「ああ、坂下さんか。
樹璃樹璃言うから分かんなかったわ」
二人とも苗字の坂下しか覚えていなかったので樹璃と言われてもすぐに思い出せなかった。
利音に至ってはあの出来事を覚えてはいるものの、三上克之と坂下樹璃の名前はすっかり忘れていた。
大きな口だけの顔をした着物を来た女性のような妖や、上半身は人間で下半身は蛇の妖など二人に襲い掛かってくる。
「この身守り給え、急急如律令!!」
栗郷が札を取り出し呪文を唱えると襲って来た妖は二人に届く前に防御結界の障壁に弾き飛ばされた。
「ここは俺がやる。
アンタはがしゃどくろを止めろ」
「分かった」
利音はここを栗郷に任せ、先へと進む。
そして遠くから見ていたがしゃどくろの足元へやって来た。
巨大ながしゃどくろは目の前にすると遠くから見るよりも大きい。
下手したら手のひらで握り潰されそうだ。
利音の存在に気付いたがしゃどくろは邪魔だと、まるで蝿を追い払うかのように手を振りかざしてきた。
「縛!!」
だが、利音の身体に届く前にがしゃどくろの腕を拘束する。
「ここから先に行けると思うなよ」
奇声を上げ威嚇するがしゃどくろに全く怯むことも無く迎え撃った___
この後天明道から追加で派遣された人々が到着する頃に、たった一人でがしゃどくろを倒してしまい、利音の名はあっという間に天明道に轟く。
しかし、この戦闘で樹璃は命を落としてしまった。
明るく優しい彼女には恋人がいた。
いずれは結婚したいとも思っていたが、その夢は無惨にも散ってしまった。
彼女の死を知った葛西は絶望し、どうしても彼女を失った事を受け入れられず、一年後に天明道を辞めた。
辞めてからはなんとか彼女の死を受け入れようとしてみた。
しかし何度考えても、どうして彼女が死ななければならなかったのかと思うようになり、彼女を見捨てた利音達へ恨みを抱き、復讐に走った。
天明道は詳細を教えてはくれなかったので三上、更には消息不明の利音へ辿り着くまで何年も費やしたのだ。
「お前らがさっさと樹璃を病院に連れていけば助かった筈だ!!
なのに救急車さえ呼ばなかった!!」
悲痛な想いを二人にぶつける。
だが、利音も栗郷も表情を崩さない。
「ああ、坂下さんか。
樹璃樹璃言うから分かんなかったわ」
二人とも苗字の坂下しか覚えていなかったので樹璃と言われてもすぐに思い出せなかった。
利音に至ってはあの出来事を覚えてはいるものの、三上克之と坂下樹璃の名前はすっかり忘れていた。
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