セカンドライフを異世界で

くるくる

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17話 休日

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 雨はまだ止まない。今日で3日目、雨足が強かったのはギルドから濡れて帰った日だけだったが、昨日、そして今日も、しとしと降り続いている。急ぎの用がない雨の日はいい休日だ。

  昨日は静かな雨音をBGMにして、大好きなミルクティーを飲みながら本を読む。
という絵に描いたような穏やかな休日を過ごした。シザーは武器の手入れや、溜まっていた皮の鞣しをしていた。加工作業が好きらしく、その大きな手で繊細な作業を難なくこなしていた。シザーが持ってきた暖炉の前の大きな毛皮の敷物も、自分で鞣したらしい。
  前から作ろうと思っていた守りのペンダントも作ってくれた。初めて会った日に教えてもらったものだ。まだひと月も経っていないのに随分前の事みたいだ。(この世界に曜日はない。ひと月30日、1年は12ヶ月)

  そして私は今日は裁縫。今までも暇を見つけては色々縫っていた。追加分のキャミやショーツ、それにバスタオル。

  ここでは程度の違いはあるが風魔法が使える人は多く、濡れた体や髪も手拭いでササッと拭くだけで後は魔法、というやり方が主流の様で、バスタオルは無かった。大きめの手拭いはあるが、ペラペラなのですぐに湿ってしまい、髪の長い私には不便だった。そこで生地を探して見つけたのがロポフという草の実から出来る布だった。色はパステルイエローが主だが他の色もあるらしい。服を作る時に使う生地だが手触りがコットンに似ていて、厚さも十分、多少の伸縮性もある優れものだ。価格もお手頃だったので多めに買って数枚作った。実際に使ったシザーとロイさんには好評だ。

  今はそのロポフの生地を使ってワンピースを作っている。街の女の子の服を参考にして、派手すぎず、地味すぎずを目標にしていた。暖炉の前の毛皮に座って無心に縫っているのを、シザーがすぐ傍で片膝を立てて頬杖付きながら見ていた。

 「出来た!」
  立ち上がって体に当ててみる。
 「…短くないか?」
  隣から多少不満げな声が漏れる。
 「そんな事ないと思うけど…来てみるから待ってて」
  そう言ってから寝室へ向かった。

  作ったのはキャミソールワンピ。同じ布でリボンを作って胸の下で絞れるようにしてある。丈は膝丈なんだけど、これで短い?同じ年頃の街の女の子もこのくらいの丈が多いように見えたんだけど…と考えながらも着替える。
  中には襟と袖にギャザーを入れたカットソー。これは前に買った違う布で作ったもので、色はオフホワイトだ。靴はさすがに自分で作れないので古着屋で見つけた物だ。

  全身着替え終わって姿見に映してみる。うん、悪くないと思うんだけどな。

  リビングに戻ってシザーに見せる。
 「…どう?」
 「似合うぜ、お前は何を着ても似合う」
  即答だ。手放しに褒められると照れる。
 「ありがと」
 「だが足が見える」
  私の膝下を見て言う。確かに冒険者服は下にスパッツ(みたいなもの)だし、いつもの服もロングスカートだから足は出してないけど…。
 「街の女の子達もこのくらいだったよ?これなら目立たないでしょ?」
 「他の女の事は知らねえが、お前は何を着ても可愛いから目立つ。それに俺以外の男に足を見せるのは気に入らねえ」
  足と言っても膝下ですが…。恋人の欲目に半ば呆れながらも嬉しいのだから、バカップル全開、である。
 「なら、1人で出掛ける時は着ないから。でもせっかく作ったし、シザーと一緒の時ならいいでしょ?」
  シザーの前に膝をついて反応を窺う。
 「…1人で出掛ける時?」
  細められた目に不機嫌な色が覗く。
 「え、ほ、ほら、サラさんとポピーとお風呂に行く時とか」
 「それ行くのは夜だろ?誰が1人で行かせるって言った?俺も行く」
 「え、だって、一緒に夕食食べてからお風呂だよ?」
 「ロイを連れてく、飯は別でもいい。が、行き帰りは1人はダメだ。…分かったな?」
  過保護、と言う言葉が頭をよぎるが言わないでおこう。頷いて返すと溜息を吐く。
 「…ならいい」

  お許しが出てホッとしていると、膝立ちのまま腰を引き寄せられる。

 「触る分には短い方が良いな…手が入りやすい」
  スカートの中に手を入れ、両手でお尻を撫でる。
 「あ、ん、そのためじゃない」
 「そうか?ボタンもないから脱がせやすいぜ」
  肩ひもを下げてカットソーを捲るだけで胸が露わになる。胸の下のリボンも解かれてストンとワンピースが落ちる。ショーツも紐1本で剥ぎ取られてもうほとんど全裸だ。
 「あ、あ、やだぁ…」
  雨で薄暗いとはいえ、まだ日も沈んでいないリビングで脱がされて羞恥心が膨らむ。せめてワンピースを上げようと手を伸ばすが、抱きすくめられて胸の先端を吸われ、急な刺激に声が漏れる。
 「ひゃう!」
  そのまま口に含んで舌で転がし、潰し、甘噛みされる。
 「んんっ、ひ、ぁあん」
  イキそうになるがそこで刺激が止まる。今度は蜜が垂れ始めている入口から指が入り、すぐに水音が響きだす。
 「ん!あ、っは、あ」
  でも敏感なトコには触れてくれない。イキそうでイケない。それを何度も繰り返されて、溢れた蜜が太腿とシザーの手をぐっしょりと濡らす。奥が疼いて切なくて泣きたくなる。足がガクガクと震えて座り込みそうになるのを、シザーの首にしがみついて堪える。
 「あ、あッ、ぅん…シザぁ…」
  懇願するように呼ぶ。
 「…どうしてほしい?言ってみろ」
  妖艶に光る獣の瞳に見据えられて降参の言葉をささやく。
 「イキたい…シザーので、イキたいの…お願い」
  聞いた瞬間、ニヤッとして凶器のようにそそり立つ自分のモノをさらけ出す。
 「いい子だ…来い、そうだ。そこから自分でしてみろ」
  言われるがままにシザーに跨り、自ら腰を落とす。
 「んンっ、あ、あ!っあ!…ぁはああ!」
  モノを奥までのみ込んだとき、欲していた絶頂に達してビクン!と背を仰け反らせる。
 「っう、くぁ…」
  蜜壺が締め付けられた快感で呻くシザー。私は一気に力が抜け、クタリとシザーに身体を預ける。
 「っは…くッ、へばってんじゃねえ…ナツメ。これからだろ?」
  そう言って毛皮の上に私を組み敷いた。











 夕刻、雨はようやく上がり、寝室がオレンジ色に染まっていた。

  心地よい微睡みから目覚めると、シザーの腕の中で彼に見つめられていた。
 「…目が覚めたか?」
 「ん…」
  声をかけられるがまだ眠い。もぞもぞと動いてシザーにすり寄る。体がジャストフィットする位置があるのだ。そこにハマるとあっという間に眠れる。
 「そろそろ起きねえと夜眠れなくなるぞ」
  そう言いながらも、優しく頭を撫でながら長い指で私の髪を梳かす。

  体を重ねた後はいつも眠くなって起きていられず、しばらくしてから目が覚める。そして決まって私の体はシザーに洗われた後だ。

 「…チッ、来やがった。ナツメ、ロイが来るぞ」
  面倒そうに言われて一気に目が覚める。
 「え!ホント!?ど、どうしよう!」
  慌ててベッドに起き上がり、毛布で身体を隠しながら服を探す。何せ私はまだ全裸なのだ。
 「ククッ、そんなに慌てんな。大丈夫だ、どうせロイにはバレる」
  それって全然大丈夫じゃない!っと否定するより先に服、服を着なきゃ!
 「ほら、服。俺が先に行ってるから、ゆっくり着て来い」
  1人でアワアワしているとシザーが落ち着いて言う。それを見て少し落ち着いたと思ったら、まだ何も着ないうちにロイさんが来てしまった。ノックもなくドアが開いた音がする。
 「ナッちゃ~ん!ご飯食べさせて!」
 「…うるせえ奴だな、全く」
  ドアの方を見て悪態をつくと私を振り返る。
 「…ナツメ」
  優しく呼んでキスする。こんな事してる場合じゃないと思いつつも、甘いキスにうっとりしてしまう。
 「ゆっくり来い」
  私の頬を撫でながらそう言い残すと、シャツを着ながら寝室を出た。何やら騒いでいるが聞き流しておこう。なるべく聞かないようにしながら身なりを整えた。











 3人で夕食を食べていた。メニューは天ぷらだ。キノコに野菜、ガトリー(ワカサギ似)、鳥。主食はもちろんご飯だ。ああ、醤油が欲しい…。

 「ナッちゃんのご飯が食べたくてさ~、我慢できなくて来ちゃった!これも美味しい!特にこのとりてん?が最高だね!ナッちゃんを1人占めしてる奴の顔が見て見たいよ!」
 「…うるせえ奴だな、ナツメは俺のだって何度言えば理解できるんだ?」
 「僕の女神様に昼間っから襲い掛かるなんて!」
 「誰が襲い掛かったよ、合意の上に決まってんだろ」
 「何それ、やる前に許可取ったの!?」
 「んなもん要るかよ、抱けば分かるんだよ、そんなもん」
 「どうやってさ!?」

  …うぅ~、もうダメ!!

 「ストップ!も、もう、は、恥かしくて、聞いてられない!」
  大声でそう叫んで寝室に逃げ込んだ。鏡で見なくても顔が真っ赤なのが分かる。後ろ手でドアを押さえてほとぼりが覚めるのを待つ。

  …あれ?すっごく静かになっちゃった。言い過ぎたかな…?怒ったわけじゃないんだけどな。どうしよう、と思っていると控えめにドアをノックする音がした。

 「ナ、ナッちゃん、ゴメンネ?つい…その、言いすぎちゃった」
 「ナツメ、怒ってるわけじゃねえだろ?顔出してくれねえか?…俺も悪かった」

  …そっとドアを開けて出る。まだ赤い顔を見られたくなくて、俯いたまま話す。

 「怒ってないよ、でも、さっきみたいな話は恥ずかし過ぎるよ…。他の人に聞かれてたら私だって怒るかもよ?」
  上目使いに2人を見ると、ホッとしたように顔を見合わせている。
 「ゴメンネ?気を付けるから。…でも嫌われてなくて良かった」
 「こんな事で嫌いになんかならないよ?恥ずかしかっただけ。…だって、ロイさんも私にとって大切な人だから」
  前にロイさんは言ってくれたが、私は伝えたことがなかった。だからこの機会にと思ったのだが…

「…!!ナッちゃん!ありがとう!さすが僕の女神様!」
  言った途端、いきなり抱きしめられた。
 「きゃあ!ちょ、ロイさん!」
 「…ロイ、てめえ…離しやがれ!」
 「ちょっとくらいいいじゃないか!あ~、やっぱり小さくて柔らかくて可愛いな~。僕の女神様!」
 「や、やわ…!」
  やっと戻りつつあった顔がまた赤みを増す。
 「…調子に乗ると本気で怒るぞ。離せ!」
  腕を引かれてシザーの傍に戻ってホッとする。
 「チェッ、ほっぺにキスしようと思ってたのに」
 「ロイ…お前な…」
  シザーは怒りを通り越して呆れている。

  ロイさん、反省してないね…。

  静かに終わるはずだった休日は、こうして騒々しく幕を閉じたのだった…。
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