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35.問い詰め
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レオポルティーナが中庭でフェルディナントとヨハンの濡れ場を見てしまってから、あっという間に時間が経ち、次の閨の日になった。いつもならやっと夫に抱いてもらえるかもとなけなしの希望を持つのだが、今回は途轍もなく気が重い。今日はどうしてもフェルディナントとヨハンの関係について正直に言ってもらうつもりだからだ。
内扉から夫婦の寝室に入って来たフェルディナントは、いつも同様、上気していて陰茎が勃起しているのが寝間着のズボンの上からも分かる。
「ティーナ、どうしたの?早く四つん這いになって。早くしないとまたできないよ」
いつもなら夫が寝室に入って来るとすぐに挿入できるように、レオポルティーナは寝台の上で四つん這いになって後背位の体勢を取る。でも今晩は、彼女は寝台の上に座って俯いたままじっとしていた。
「……それよりも……話があるの」
「先に閨を頑張ってからでもいい?」
「大事なことなの」
「閨より大事なの? こんな話してるから僕のアソコ、もうおさまってきちゃったよ」
フェルディナントが部屋に入って来た時には、寝間着のズボンの前がちょこんと盛り上がっていたのに、もうすっかり平らになっていた。また閨がうまくいかなそうでフェルディナントはイライラしてとげとげしい口調になってしまった。でもレオポルティーナの沈んだ様子を見た途端、罪悪感が襲ってきた。
「……ごめん、ティーナ。言い過ぎた。ティーナの相談ならいつでも聞くよ」
「相談じゃないの」
「じゃあ何?」
「どうして私を抱けないのか、正直に言って」
それを聞いた途端、フェルディナントは明らかに狼狽した。
「え?! そ、それは……ごめん、でもティーナが魅力ないとか、そういうことじゃないんだ。僕の問題なんだ」
「そうよね。フェル兄様は私じゃなくても誰でも女性を抱けないんでしょう?」
「だ、抱けるよ。教会の閨の実践も合格したって知ってるでしょう?」
「それは強い媚薬を使ったからなのよね?それを閨の度に私が妊娠するまで使ったら、兄様が廃人になっちゃうわよね」
「それは……そうだけど……」
「それで閨の前に兄様の部屋で誰かに昂らせてもらってるでしょう?」
「えっ?! そ、そ、そんなこと……じ、自分で……扱いてるだけだよ」
「この部屋まで喘ぎ声が聞こえたわ。兄様の声だけじゃなくてヨハンの声も」
「えっ?! そ、そんな訳……」
「そんな訳あるでしょう?」
レオポルティーナは、フェルディナントが止める間もなく素早く立ち上がり、内扉をバッと開けた。ヨハンが横になっているフェルディナントの寝台の寝具は乱れていて彼の服が床に散乱しており、彼が裸でいることは誰の目にも明らかだった。侍従が主人の部屋の寝台で裸で休んでいることなどあり得ない。だがヨハンはフェルディナントの閨のことを考えたくなくて反応が遅れ、扉が開く前に身を隠せなかった。
「ヨハン、こっちに来て頂戴」
2人とも固まってしまって動かないので、レオポルティーナはもう一度話しかけた。するとヨハンは寝台からはね起きて局部を隠しながら、床に散らばる服を集めて慌てて着た。
「お願い! 正直に言って! 私を……これ以上傷つけないで!」
「ティーナ……ごめん。確かに僕とヨハンは愛し合ってる。この感情は、ただの幼馴染としての友情でも、主人と侍従としての敬愛でもない。でも君を傷つけるつもりもなかった……」
レオポルティーナの目から涙が溢れ始め、声は鼻声になった。レオポルティーナはしゃくり上げて肩で大きく息をし始めた。
「どうして? どうして……げ、結婚する前に、教えて……ぐれ……ながったの?!……ぞ、ぞのまま、結婚じた、とじでも……貴方達のことを知っでたらっ……あ、あ、愛ざれるがもっで……うっ……ひっく……む、無駄な期待、じなぐ……で……よがっだのに…ひ、ひどい…ひっ、ひっ、ひっく……」
レオポルティーナの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。彼女は2人にそんな顔を見せたくないので、両手で顔を覆った。
「ざ、最初から……ひっく……政略結婚、だっで……じ、知ってたら……ひっ、ひっく……期待しな……がっだ……」
「お、奥様! 申し訳ありません! フェルディナント様のせいではございません!」
ヨハンは幼馴染としてでなく、使用人として丁寧な言葉遣いで必死にフェルディナントを擁護した。上半身を90度に曲げるどころではなく、頭が脚に付く勢いでヨハンはレオポルティーナに頭を下げた。
「いや、ヨハンのせいじゃないよ。僕のせいだ。僕がティーナに正直に打ち明ける勇気がなかったから……」
「違います、私のせいです。私が奥様に嫉妬してひどい態度をとったからです。本当に申し訳ありません!」
「……もう! 止めて!」
レオポルティーナは、庇いあう2人を目の前にしてますます惨めになった。彼女の泣き声だけが寝室に響く。フェルディナントとヨハンは俯いたまま無言で突っ立っていた。
内扉から夫婦の寝室に入って来たフェルディナントは、いつも同様、上気していて陰茎が勃起しているのが寝間着のズボンの上からも分かる。
「ティーナ、どうしたの?早く四つん這いになって。早くしないとまたできないよ」
いつもなら夫が寝室に入って来るとすぐに挿入できるように、レオポルティーナは寝台の上で四つん這いになって後背位の体勢を取る。でも今晩は、彼女は寝台の上に座って俯いたままじっとしていた。
「……それよりも……話があるの」
「先に閨を頑張ってからでもいい?」
「大事なことなの」
「閨より大事なの? こんな話してるから僕のアソコ、もうおさまってきちゃったよ」
フェルディナントが部屋に入って来た時には、寝間着のズボンの前がちょこんと盛り上がっていたのに、もうすっかり平らになっていた。また閨がうまくいかなそうでフェルディナントはイライラしてとげとげしい口調になってしまった。でもレオポルティーナの沈んだ様子を見た途端、罪悪感が襲ってきた。
「……ごめん、ティーナ。言い過ぎた。ティーナの相談ならいつでも聞くよ」
「相談じゃないの」
「じゃあ何?」
「どうして私を抱けないのか、正直に言って」
それを聞いた途端、フェルディナントは明らかに狼狽した。
「え?! そ、それは……ごめん、でもティーナが魅力ないとか、そういうことじゃないんだ。僕の問題なんだ」
「そうよね。フェル兄様は私じゃなくても誰でも女性を抱けないんでしょう?」
「だ、抱けるよ。教会の閨の実践も合格したって知ってるでしょう?」
「それは強い媚薬を使ったからなのよね?それを閨の度に私が妊娠するまで使ったら、兄様が廃人になっちゃうわよね」
「それは……そうだけど……」
「それで閨の前に兄様の部屋で誰かに昂らせてもらってるでしょう?」
「えっ?! そ、そ、そんなこと……じ、自分で……扱いてるだけだよ」
「この部屋まで喘ぎ声が聞こえたわ。兄様の声だけじゃなくてヨハンの声も」
「えっ?! そ、そんな訳……」
「そんな訳あるでしょう?」
レオポルティーナは、フェルディナントが止める間もなく素早く立ち上がり、内扉をバッと開けた。ヨハンが横になっているフェルディナントの寝台の寝具は乱れていて彼の服が床に散乱しており、彼が裸でいることは誰の目にも明らかだった。侍従が主人の部屋の寝台で裸で休んでいることなどあり得ない。だがヨハンはフェルディナントの閨のことを考えたくなくて反応が遅れ、扉が開く前に身を隠せなかった。
「ヨハン、こっちに来て頂戴」
2人とも固まってしまって動かないので、レオポルティーナはもう一度話しかけた。するとヨハンは寝台からはね起きて局部を隠しながら、床に散らばる服を集めて慌てて着た。
「お願い! 正直に言って! 私を……これ以上傷つけないで!」
「ティーナ……ごめん。確かに僕とヨハンは愛し合ってる。この感情は、ただの幼馴染としての友情でも、主人と侍従としての敬愛でもない。でも君を傷つけるつもりもなかった……」
レオポルティーナの目から涙が溢れ始め、声は鼻声になった。レオポルティーナはしゃくり上げて肩で大きく息をし始めた。
「どうして? どうして……げ、結婚する前に、教えて……ぐれ……ながったの?!……ぞ、ぞのまま、結婚じた、とじでも……貴方達のことを知っでたらっ……あ、あ、愛ざれるがもっで……うっ……ひっく……む、無駄な期待、じなぐ……で……よがっだのに…ひ、ひどい…ひっ、ひっ、ひっく……」
レオポルティーナの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。彼女は2人にそんな顔を見せたくないので、両手で顔を覆った。
「ざ、最初から……ひっく……政略結婚、だっで……じ、知ってたら……ひっ、ひっく……期待しな……がっだ……」
「お、奥様! 申し訳ありません! フェルディナント様のせいではございません!」
ヨハンは幼馴染としてでなく、使用人として丁寧な言葉遣いで必死にフェルディナントを擁護した。上半身を90度に曲げるどころではなく、頭が脚に付く勢いでヨハンはレオポルティーナに頭を下げた。
「いや、ヨハンのせいじゃないよ。僕のせいだ。僕がティーナに正直に打ち明ける勇気がなかったから……」
「違います、私のせいです。私が奥様に嫉妬してひどい態度をとったからです。本当に申し訳ありません!」
「……もう! 止めて!」
レオポルティーナは、庇いあう2人を目の前にしてますます惨めになった。彼女の泣き声だけが寝室に響く。フェルディナントとヨハンは俯いたまま無言で突っ立っていた。
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