9 / 27
Яainy, Rainy
Repture*
しおりを挟む
この、穏やかで優しく、甘いひとに、例えば幻滅されてしまったら、どうしよう。
一夜の、思い出でもいいから、触れてほしいし、抱いてほしいと、天音の中の浅ましい女の部分が騒ぐ。
けれど、僅かに残った理性というか何かが、素肌を晒して幻滅されたくないと思っている。
今までの関係に戻れなくなるのも、怖い。
だから、それを、そのまま告げた。
「あ、あの、わたし、凌士さんにお見せできるような身体は」
きっと、凌士さんみたいに素敵なひとだったら、女性経験も豊富だろう。
綺麗なひととも、可愛いひととも、美女とも、色々な、系統の違う美人と付き合ったことがあるはずだ。
それだけでなく、天音に触れる指や、余裕から、凌士さんがこういうことの経験も豊富であろうことも、容易に察せる。
比べられて、幻滅されたくない。
それなら、今まで通り、好かれているという実感が持てるくらいの関係で、いいのではないだろうか。
そう、及び腰になりそうなとき、だった。
凌士さんが、天音の右手を掴んで、凌士さんの胸に触れさせた。
天音は、伝わってくる鼓動に驚いて、凌士さんの顔を凝視してしまった。
凌士さんは、困ったような、少しだけ照れたような、微苦笑を浮べている。
「…大丈夫。 俺だって、君に気に入ってもらえるか、緊張しているから、一緒だ」
何だか、その表情と言葉が意外で、印象的で。
緊張しているのも、不安なのも、気恥ずかしいのも、天音だけじゃないのだと思えたら、一気に気が楽になって。
天音は、緊張を少しだけ解くことができたし、続けてほしいの意を込めて、凌士さんの唇にキスすることができた。
ちゅっと口づけて、離れる。
間近に凌士さんを見つめると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
「…天音、可愛い」
愛しげに天音を抱き寄せながら、瞼に、頬に、耳に、口づけてくれる。
そうしていたかと思うと、凌士さんは天音のシャツの釦を、一つ、二つと外していった。
どんどんと、自分の心臓の音が、大きくなっていくのがわかる。
このシャツの下には、何も身につけていないのだ。
シャツの前を開けば、全てが露わになってしまう。
シャツを、そっと、捲られたのがわかった。
天音は、ぎゅっと目を瞑ってその瞬間を待つ。
「…きれいだよ」
穏やかな声が聞こえた。
お世辞かもしれない。
天音は、どちらかと言えばスレンダーな方ではなく、かといって凹凸の激しい体型というわけでもない。
見苦しくはないと思うのだが、自分では多少むっちりしていると思う。
麗人は天音の身体のそのむっちり感を気に入っていたようだが、同じように凌士さんに気に入ってもらえるかどうかは、わからないのだ。
そう、不安に思っていたから、お世辞であってもその言葉には気が抜けるくらいに安堵した。
気が緩んで、目を開けると、凌士さんがパジャマを脱いだところで、引き締まった上半身が目に映って、天音は反射的に釘付けになる。
パジャマを脱いで、首を緩く振るようにした後、天音を見た凌士さんと目が合ってしまって、天音は真っ赤になった。
びっくりするくらいの、色香だった。
というか、モデルもびっくりの、この上半身は何だ!
それを見てしまったら、自分の身体を晒しているのが急に恥ずかしくなって、天音は腕で胸を隠すように抱きしめ、太腿を擦り合わせた。
天音としては隠したつもりだったのだ。
だから、天音の行動が逆に胸を強調し、誘うように腰を振ったような誤解をさせるものだとは、気づかなかった。
凌士さんが、天音を見て、すっと目を細めたのも、とてつもない色香で天音は目眩がしそうになる。
胸にちょうど手が当たっているから、心臓の動きがすごいことも、掌に伝わってきて、汗まで吹き出しそうだ。
凌士さんの手が、また、そっと天音の手に触れた。
「…隠されたら、触れない」
そんな風に、言われたら。 天音は凌士さんの促すままに、再度手を広げた。
そのまま、天音の手がぱたりとベッドに落ちると、凌士さんは微笑む。
天音の太腿のあたりに跨がるようにしながら、凌士さんは天音の胸の膨らみに触れた。
「んっ…」
小さく、天音は震える。 凌士さんは、天音の二つの膨らみを下から持ち上げて優しく柔らかく捏ねるようにしながら、揉み込む。
胸なんて、胸の先が気持ちいいだけだと、思っていたのに。
肌に触れられるのも気持ちよくて、震えてしまう。
でも、やっぱり、胸の先に、触れてほしい。
愛撫を欲して、胸の先がツンと立ち上がってしまっているのだ。 触れてほしいと、ふるっと震えたようにも見えて、胸の先が疼いて仕方がなくて、天音は凌士さんを呼んだ。
「…凌士、さん」
天音が呼ぶのを、待っていたのだろうか。
凌士さんは微笑んで、そっと親指の腹で胸の先に触れた。
「ひぁっ…!」
焦らされた、ためだろうか。
予期した以上の快感が走って、天音はビクと震え、声を上げた。
あ、変な声、上げちゃった。
どう思っただろう、と心配になって、凌士さんを見ると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
その表情が、これまたすごく好みで、天音は苦しくなる。
身体は熱いし、何だか汗ばんできた気もするし、恥ずかしいけど気持ちよくて、恥ずかしいけど幸せだ。
一夜の、思い出でもいいから、触れてほしいし、抱いてほしいと、天音の中の浅ましい女の部分が騒ぐ。
けれど、僅かに残った理性というか何かが、素肌を晒して幻滅されたくないと思っている。
今までの関係に戻れなくなるのも、怖い。
だから、それを、そのまま告げた。
「あ、あの、わたし、凌士さんにお見せできるような身体は」
きっと、凌士さんみたいに素敵なひとだったら、女性経験も豊富だろう。
綺麗なひととも、可愛いひととも、美女とも、色々な、系統の違う美人と付き合ったことがあるはずだ。
それだけでなく、天音に触れる指や、余裕から、凌士さんがこういうことの経験も豊富であろうことも、容易に察せる。
比べられて、幻滅されたくない。
それなら、今まで通り、好かれているという実感が持てるくらいの関係で、いいのではないだろうか。
そう、及び腰になりそうなとき、だった。
凌士さんが、天音の右手を掴んで、凌士さんの胸に触れさせた。
天音は、伝わってくる鼓動に驚いて、凌士さんの顔を凝視してしまった。
凌士さんは、困ったような、少しだけ照れたような、微苦笑を浮べている。
「…大丈夫。 俺だって、君に気に入ってもらえるか、緊張しているから、一緒だ」
何だか、その表情と言葉が意外で、印象的で。
緊張しているのも、不安なのも、気恥ずかしいのも、天音だけじゃないのだと思えたら、一気に気が楽になって。
天音は、緊張を少しだけ解くことができたし、続けてほしいの意を込めて、凌士さんの唇にキスすることができた。
ちゅっと口づけて、離れる。
間近に凌士さんを見つめると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
「…天音、可愛い」
愛しげに天音を抱き寄せながら、瞼に、頬に、耳に、口づけてくれる。
そうしていたかと思うと、凌士さんは天音のシャツの釦を、一つ、二つと外していった。
どんどんと、自分の心臓の音が、大きくなっていくのがわかる。
このシャツの下には、何も身につけていないのだ。
シャツの前を開けば、全てが露わになってしまう。
シャツを、そっと、捲られたのがわかった。
天音は、ぎゅっと目を瞑ってその瞬間を待つ。
「…きれいだよ」
穏やかな声が聞こえた。
お世辞かもしれない。
天音は、どちらかと言えばスレンダーな方ではなく、かといって凹凸の激しい体型というわけでもない。
見苦しくはないと思うのだが、自分では多少むっちりしていると思う。
麗人は天音の身体のそのむっちり感を気に入っていたようだが、同じように凌士さんに気に入ってもらえるかどうかは、わからないのだ。
そう、不安に思っていたから、お世辞であってもその言葉には気が抜けるくらいに安堵した。
気が緩んで、目を開けると、凌士さんがパジャマを脱いだところで、引き締まった上半身が目に映って、天音は反射的に釘付けになる。
パジャマを脱いで、首を緩く振るようにした後、天音を見た凌士さんと目が合ってしまって、天音は真っ赤になった。
びっくりするくらいの、色香だった。
というか、モデルもびっくりの、この上半身は何だ!
それを見てしまったら、自分の身体を晒しているのが急に恥ずかしくなって、天音は腕で胸を隠すように抱きしめ、太腿を擦り合わせた。
天音としては隠したつもりだったのだ。
だから、天音の行動が逆に胸を強調し、誘うように腰を振ったような誤解をさせるものだとは、気づかなかった。
凌士さんが、天音を見て、すっと目を細めたのも、とてつもない色香で天音は目眩がしそうになる。
胸にちょうど手が当たっているから、心臓の動きがすごいことも、掌に伝わってきて、汗まで吹き出しそうだ。
凌士さんの手が、また、そっと天音の手に触れた。
「…隠されたら、触れない」
そんな風に、言われたら。 天音は凌士さんの促すままに、再度手を広げた。
そのまま、天音の手がぱたりとベッドに落ちると、凌士さんは微笑む。
天音の太腿のあたりに跨がるようにしながら、凌士さんは天音の胸の膨らみに触れた。
「んっ…」
小さく、天音は震える。 凌士さんは、天音の二つの膨らみを下から持ち上げて優しく柔らかく捏ねるようにしながら、揉み込む。
胸なんて、胸の先が気持ちいいだけだと、思っていたのに。
肌に触れられるのも気持ちよくて、震えてしまう。
でも、やっぱり、胸の先に、触れてほしい。
愛撫を欲して、胸の先がツンと立ち上がってしまっているのだ。 触れてほしいと、ふるっと震えたようにも見えて、胸の先が疼いて仕方がなくて、天音は凌士さんを呼んだ。
「…凌士、さん」
天音が呼ぶのを、待っていたのだろうか。
凌士さんは微笑んで、そっと親指の腹で胸の先に触れた。
「ひぁっ…!」
焦らされた、ためだろうか。
予期した以上の快感が走って、天音はビクと震え、声を上げた。
あ、変な声、上げちゃった。
どう思っただろう、と心配になって、凌士さんを見ると、凌士さんは嬉しそうに微笑んでいた。
その表情が、これまたすごく好みで、天音は苦しくなる。
身体は熱いし、何だか汗ばんできた気もするし、恥ずかしいけど気持ちよくて、恥ずかしいけど幸せだ。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる