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彼女のと私のはじまり
9、保健室にて②
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「そういえば誰か人を呼んでたみたいだけど、何か用でもあったの?」
「あっ!」
そう言われてハッとする。ついついフィンに体調の事を聞かれ本来の目的を忘れるところだった。
「あの、私ちょっと今の時間が知りたくて……」
「時間?えーと、今は14時を少し過ぎたところだよ」
「14時……。もうそんな時間なんですね」
リリーが階段から落ちたのはケイトの授業が始まる前だったので、計算するとかれこれ3時間はたっていることになる。
「後1時間くらいで今日の授業は終わるし、確か殿下が迎えに来るんでしょ?もう少しここで休んでたらいいんじゃない?」
良かったねと言わんばかりに話すフィンにリリーは少々気まずくなる。確かに迎えに来るのがマリアであったなら有難く受ける提案だが、クラウスとなると話は別だ。
「いえ、 殿下はそう言って下さいましたが申し訳ないのでやっぱり私の方からお会いしようかと……」
本当は余計なトラブルに巻き込まれたくないからだが、フィンにわざわざ話すことでもないしこれで大丈夫だろう。それにまだ授業が終わっていないという事はクラウスもここには向かってないはずだから、すれ違う心配もない。
授業が終わる前に目が覚めて良かったと安堵するリリーとは違い、フィンの眉間にはシワがよる。
「君の気持ちも分かるけど、危ない目にあったばかりなのだから迎えを待った方がいいと思うな」
「それは……そうなんですけど……」
少し咎めるようなフィンの口調に段々と声が小さくなっていってしまう。
でも、とリリーが口を開く前にフィンが被せるように話し出す。
「犯人もまだ捕まってないんだ。解決もしていない以上ここで君が1人になるのは危険だと思うけど」
再度釘を刺すように言われ、最もな意見にリリーは思わず下を向いてしまう。
「俺も君がまた危険な目に会うのは色々と困るんだ。……だからここに居てくれる?」
口説かれているような甘い言い方にリリーは思わず顔を上げるが、フィンの顔を見て固まった。先程まで優しく話していた彼と、今リリーの目の前で微笑んでいる彼は、同じように笑っているばずなのにリリーを見る目は氷のように冷たい。
「せ、先生、あの……」
まるで憎い相手を見るかのようで、声が震える。フィンの目を見ていられなくなって、俯きながら何か返事を返そうと思うがなかなか言葉が出てこない。
(私の行動が軽率だから怒ってる……?いや、でもあの目は怒っているというよりも嫌いな相手を見るような──)
「イーストンさん?」
「は、はい!すみません!」
「いや、そんなに勢いよく謝らなくてもいいけど……」
苦笑いで言われ、リリーは恐る恐るフィンの表情を確認する。
(あれ?戻ってる……?)
そこにはあの氷のような目は嘘だったかのようにこちらを見ているフィンが居た。
「イーストンさん?本当にどうしたの?」
「いえ……」
さっきまでの表情などなかったかのように話され、見間違えのような気さえしてくる。確かにそこまで嫌われるほどフィンと接点があった訳でもないし、一瞬のことではあったのでリリーの勘違いとした方が納得できる。
過剰に反応してしまった事に申し訳なく思いながらリリーは先程の問に答えた。
「さっきは軽はずみな発言をしてしまってすみません……。友人にさらに心配をかける訳にもいけないですし、ここで待ってます」
さっきまでは周りから誤解を受けないようにと過敏になって焦っていたが、改めて今の状況を他人の口から聞くといかに自分が軽率だったか実感する。細かい事を何も知らされてない今、何に気をつければいいかも分からないのでは同じ目に会う確率も高い。
「そう、それなら良かった。殿下が来たらまた声をかけるからそれまでゆっくりお休み」
「はい、ありがとうございます」
もう一度ベッドに潜り目をつぶる。
改めて考えるとわかるような事を何故行おうとしたのかと自分の行動に違和感を感じながら──
「あっ!」
そう言われてハッとする。ついついフィンに体調の事を聞かれ本来の目的を忘れるところだった。
「あの、私ちょっと今の時間が知りたくて……」
「時間?えーと、今は14時を少し過ぎたところだよ」
「14時……。もうそんな時間なんですね」
リリーが階段から落ちたのはケイトの授業が始まる前だったので、計算するとかれこれ3時間はたっていることになる。
「後1時間くらいで今日の授業は終わるし、確か殿下が迎えに来るんでしょ?もう少しここで休んでたらいいんじゃない?」
良かったねと言わんばかりに話すフィンにリリーは少々気まずくなる。確かに迎えに来るのがマリアであったなら有難く受ける提案だが、クラウスとなると話は別だ。
「いえ、 殿下はそう言って下さいましたが申し訳ないのでやっぱり私の方からお会いしようかと……」
本当は余計なトラブルに巻き込まれたくないからだが、フィンにわざわざ話すことでもないしこれで大丈夫だろう。それにまだ授業が終わっていないという事はクラウスもここには向かってないはずだから、すれ違う心配もない。
授業が終わる前に目が覚めて良かったと安堵するリリーとは違い、フィンの眉間にはシワがよる。
「君の気持ちも分かるけど、危ない目にあったばかりなのだから迎えを待った方がいいと思うな」
「それは……そうなんですけど……」
少し咎めるようなフィンの口調に段々と声が小さくなっていってしまう。
でも、とリリーが口を開く前にフィンが被せるように話し出す。
「犯人もまだ捕まってないんだ。解決もしていない以上ここで君が1人になるのは危険だと思うけど」
再度釘を刺すように言われ、最もな意見にリリーは思わず下を向いてしまう。
「俺も君がまた危険な目に会うのは色々と困るんだ。……だからここに居てくれる?」
口説かれているような甘い言い方にリリーは思わず顔を上げるが、フィンの顔を見て固まった。先程まで優しく話していた彼と、今リリーの目の前で微笑んでいる彼は、同じように笑っているばずなのにリリーを見る目は氷のように冷たい。
「せ、先生、あの……」
まるで憎い相手を見るかのようで、声が震える。フィンの目を見ていられなくなって、俯きながら何か返事を返そうと思うがなかなか言葉が出てこない。
(私の行動が軽率だから怒ってる……?いや、でもあの目は怒っているというよりも嫌いな相手を見るような──)
「イーストンさん?」
「は、はい!すみません!」
「いや、そんなに勢いよく謝らなくてもいいけど……」
苦笑いで言われ、リリーは恐る恐るフィンの表情を確認する。
(あれ?戻ってる……?)
そこにはあの氷のような目は嘘だったかのようにこちらを見ているフィンが居た。
「イーストンさん?本当にどうしたの?」
「いえ……」
さっきまでの表情などなかったかのように話され、見間違えのような気さえしてくる。確かにそこまで嫌われるほどフィンと接点があった訳でもないし、一瞬のことではあったのでリリーの勘違いとした方が納得できる。
過剰に反応してしまった事に申し訳なく思いながらリリーは先程の問に答えた。
「さっきは軽はずみな発言をしてしまってすみません……。友人にさらに心配をかける訳にもいけないですし、ここで待ってます」
さっきまでは周りから誤解を受けないようにと過敏になって焦っていたが、改めて今の状況を他人の口から聞くといかに自分が軽率だったか実感する。細かい事を何も知らされてない今、何に気をつければいいかも分からないのでは同じ目に会う確率も高い。
「そう、それなら良かった。殿下が来たらまた声をかけるからそれまでゆっくりお休み」
「はい、ありがとうございます」
もう一度ベッドに潜り目をつぶる。
改めて考えるとわかるような事を何故行おうとしたのかと自分の行動に違和感を感じながら──
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