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22話、滝のふもとで自作リゾット
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リネットのお店でお茶会をしてから、数日が経っていた。
お茶会後、イヴァンナとエメラルダと私はせっかくだからとリネットの家で一泊し、彼女ら二人は翌日自分の住む町へと旅立った。
私はリネットに世話されるうちに生来のずぼらさが蘇ってきて、更に一泊してしまっていた。
もうこのままリネットのところに居候しちゃおうかな。そんなあまりにも情けない思考に陥った私だったが、忙しそうにお店を切り盛りするリネットを見て旅を再開する決意を固めたのだ。
そして、リネットに別れを告げ旅を再開したのがつい先ほどのことだった。
あての無い一人旅がまた始まった。今度はどこを目指してみようか。それすらまだ考えていない。
ただ、幸いと言うか、今日この時だけは行くべき場所があった。
「リネットの話だと確かこの辺だよね」
旅立つ時にリネットから聞いた話だが、彼女がお店を構える大樹の近くには大きな滝があり、観光スポットとなっているらしい。
徒歩で十分行ける距離とのことなので、ひとまずその滝を目指して私は歩いていた。
周りにはうっそうと茂る木々。柔らかい風に吹かれて、枝葉がさわさわと揺れていた。
大樹を中心にして森林が広がるこの土地だが、意外にも起伏があり微妙に歩きにくい。
リネットによれば大樹の裏手側が谷のようになっていて、そこに滝が流れているとのこと。なので左手側に大樹を置いて、私はぐるっと大樹の周りを回るように歩いていた。
もしかして起伏が激しいのは裏手側の谷が近づいているからなのだろうか? 地形に詳しくない私には何とも言えない。
一瞬箒に乗っちゃえば楽なのになと思ってしまうが、歩いて行ける距離と言われたのだからそこは我慢。ちょっと意地になっちゃってる。
そして歩くこと三十分以上。私はようやくリネットに教えられた滝のふもとに到着していた。
「……遠い。こんなの気軽に歩いて行く距離じゃないよリネット」
目的地にたどり着いたというのに、私は肩で息をしながらここには居ないリネットに恨み言を言うしかなかった。
疲れた。遠かった。起伏が激しいから思ってた以上に大変だった。
特に足への疲労感が凄まじく、私は思わずしゃがみこんだ。
そうして一息をついて、やっと私は落ち着いて滝を眺めはじめた。
とても高い崖の上から、大量の水がしぶきをあげて流れ落ちてくる。
しぶきは太陽光を反射してきらきらと輝き、断続的にさまざまな色を映し出していた。
そしてその滝のずっと奥には大樹が鎮座していた。
緑鮮やかな大樹を背景に、力強い滝の奔流。確かにこれは絶景だ。
しばし私はその光景に見惚れていた。どうやら雄大な自然美は、私のようなずぼらな人間すら魅了するらしい。
疲れも忘れてどれだけ滝を眺めていたか。突然私のお腹が小さくなった。
「……そうか、もうお昼ごろか」
どんな美しい自然も、空腹には敵わない。
現実に引き戻された私は、昼食の準備を始めることにした。
今日のお昼は自作するリゾットだ。
実はリネットから旅に適した食料を分けてもらったうえ、簡単な料理を教えてもらっていた。
なので早速実践。ちょうど滝が流れていることもあって水が汲み放題だし、リゾットを作るのに良い環境だろう。
バッグから取り出したのは、小さいフライパンと筒状のケトルに、お米と粉末状のブイヨン、それに瓶詰のオリーブオイル。お米と粉末ブイヨンは別々の袋に小分けしてある。
フライパンにお米、ブイヨンとオリーブオイル。この四つはリネットから頂いたものだ。
器具と材料を取り出してみて改めて思うが、とても小さめのバッグに入っているとは思えない量だ。
このバッグには魔法がかけてあり、見た目以上に物が入るし品質も結構保たれる。
しかし入れた物の重量ばかりはどうしようもない。リネットから色々分けてもらってありがたくもあるが、バッグがかなり重くなってしまっている。非力な私には辛い。
なので積極的に食料を消費しないといけない。そう思った私は、食べかけのチーズも取り出した。
今回はチーズをいっぱい使ったチーズリゾットを作ってみよう。
まずは魔術で火を起こす。火を生み出す魔術は魔力の調整がやや難しいが、私にしたら慣れたものだ。
簡単に火を起こした後、滝が流れ落ちてできた川にケトルを突っ込み、水を入れる。
そして離れた物を操るテレキネシスの魔術でケトルを火に近づける。テレキネシスは念動力とも言い、見えない手が一本増えた感覚になる魔術だ。
ケトルの水が沸く間にお米の準備をする。
リネットから教えられた作り方によると、リゾットは一度炒めるらしい。私は食べる専門で料理をすることはめったにないのでそんなこと知らなかった。
フライパンにオリーブオイルを入れて、テレキネシスで火の上に固定。オリーブオイルが温まってきたら、お米をくわえて炒めていく。
本当はニンニクも炒めて香りづけするらしい。だがそんな物は持ってないので気にしないことにする。
ちなみになんで最初にお米を炒めるのかは知らない。だってそこまで教えてもらえなかったもん。
お米を炒めるという、自分自身意味が分かってない工程をしているうちに、ケトルのお湯が沸き始めた。粉末状のブイヨンをお湯に入れ、スープの完成。楽だ。
お米も十分炒めたことだし、いよいよここにスープを加えていく。一気にではなく数回に分けて入れないといけないらしい。なぜかは今度リネットに会った時に聞いておこう。
スープを三分の一ほど注ぎ、しばらく待つ。段々煮詰まっていき汁気がなくなってきたら、またフライパンにスープを注ぐ。
それを繰り返していくうちに、硬かったお米が水分を吸って柔らかくなってきたのが目に見えて分かる。おいしそうになってきた。
段々とできつつあるリゾットに、ちょっとテンションが上がってしまう。なんか料理楽しくなってきたかも。
スープを全て注ぎ終え、汁気が少なくなりドロっとしてきたら完成だ。
あ、まだ完成じゃない。今回はここにチーズをたっぷり入れるんだった。
携帯ナイフでチーズの塊を削り、リゾットにたっぷりと加えていく。余熱でチーズが溶けだして来たら、今度こそ完成。魔女リリア特製のチーズリゾットだ。
なお言い換えると普通のチーズリゾットになる。別に何も特製感はないのだ。
自分で自分のために作ったのだから、遠慮せず早速いただくことにした。旅の途中の野外料理なのだから、作法とか気にせずもうフライパンから直にいただきます。
バッグから取り出したフォークでリゾットをすくい、まずは一口。
「……すごく普通」
思っていた以上に普通の味だ。むしろ若干普通より下回ってる気がする。
お米はちょっと芯が残りつつもべちゃっとしていて、たっぷりの溶けたチーズがそれに纏わりついている。
おいしくないという訳ではない。でもおいしいという訳でもない。なんか料理初心者が作りました感ある無難な感じ。実際私は初心者だし。
リネットが作る物やお店で出てくるリゾットとは、やっぱりひと味もふた味も欠けている。
でも自分でがんばって作ったせいか、それでも悪くはないと思えた。私は自分に甘いのだ。
目の前にある壮観な滝を眺めながら、微妙な手作りリゾットを食べていく。
この景色のおかげで料理もひとしおにおいしく感じられる……のだろうか?
なんだか絶妙な気持ちで私はリゾットを食べ続けるのだった。
お茶会後、イヴァンナとエメラルダと私はせっかくだからとリネットの家で一泊し、彼女ら二人は翌日自分の住む町へと旅立った。
私はリネットに世話されるうちに生来のずぼらさが蘇ってきて、更に一泊してしまっていた。
もうこのままリネットのところに居候しちゃおうかな。そんなあまりにも情けない思考に陥った私だったが、忙しそうにお店を切り盛りするリネットを見て旅を再開する決意を固めたのだ。
そして、リネットに別れを告げ旅を再開したのがつい先ほどのことだった。
あての無い一人旅がまた始まった。今度はどこを目指してみようか。それすらまだ考えていない。
ただ、幸いと言うか、今日この時だけは行くべき場所があった。
「リネットの話だと確かこの辺だよね」
旅立つ時にリネットから聞いた話だが、彼女がお店を構える大樹の近くには大きな滝があり、観光スポットとなっているらしい。
徒歩で十分行ける距離とのことなので、ひとまずその滝を目指して私は歩いていた。
周りにはうっそうと茂る木々。柔らかい風に吹かれて、枝葉がさわさわと揺れていた。
大樹を中心にして森林が広がるこの土地だが、意外にも起伏があり微妙に歩きにくい。
リネットによれば大樹の裏手側が谷のようになっていて、そこに滝が流れているとのこと。なので左手側に大樹を置いて、私はぐるっと大樹の周りを回るように歩いていた。
もしかして起伏が激しいのは裏手側の谷が近づいているからなのだろうか? 地形に詳しくない私には何とも言えない。
一瞬箒に乗っちゃえば楽なのになと思ってしまうが、歩いて行ける距離と言われたのだからそこは我慢。ちょっと意地になっちゃってる。
そして歩くこと三十分以上。私はようやくリネットに教えられた滝のふもとに到着していた。
「……遠い。こんなの気軽に歩いて行く距離じゃないよリネット」
目的地にたどり着いたというのに、私は肩で息をしながらここには居ないリネットに恨み言を言うしかなかった。
疲れた。遠かった。起伏が激しいから思ってた以上に大変だった。
特に足への疲労感が凄まじく、私は思わずしゃがみこんだ。
そうして一息をついて、やっと私は落ち着いて滝を眺めはじめた。
とても高い崖の上から、大量の水がしぶきをあげて流れ落ちてくる。
しぶきは太陽光を反射してきらきらと輝き、断続的にさまざまな色を映し出していた。
そしてその滝のずっと奥には大樹が鎮座していた。
緑鮮やかな大樹を背景に、力強い滝の奔流。確かにこれは絶景だ。
しばし私はその光景に見惚れていた。どうやら雄大な自然美は、私のようなずぼらな人間すら魅了するらしい。
疲れも忘れてどれだけ滝を眺めていたか。突然私のお腹が小さくなった。
「……そうか、もうお昼ごろか」
どんな美しい自然も、空腹には敵わない。
現実に引き戻された私は、昼食の準備を始めることにした。
今日のお昼は自作するリゾットだ。
実はリネットから旅に適した食料を分けてもらったうえ、簡単な料理を教えてもらっていた。
なので早速実践。ちょうど滝が流れていることもあって水が汲み放題だし、リゾットを作るのに良い環境だろう。
バッグから取り出したのは、小さいフライパンと筒状のケトルに、お米と粉末状のブイヨン、それに瓶詰のオリーブオイル。お米と粉末ブイヨンは別々の袋に小分けしてある。
フライパンにお米、ブイヨンとオリーブオイル。この四つはリネットから頂いたものだ。
器具と材料を取り出してみて改めて思うが、とても小さめのバッグに入っているとは思えない量だ。
このバッグには魔法がかけてあり、見た目以上に物が入るし品質も結構保たれる。
しかし入れた物の重量ばかりはどうしようもない。リネットから色々分けてもらってありがたくもあるが、バッグがかなり重くなってしまっている。非力な私には辛い。
なので積極的に食料を消費しないといけない。そう思った私は、食べかけのチーズも取り出した。
今回はチーズをいっぱい使ったチーズリゾットを作ってみよう。
まずは魔術で火を起こす。火を生み出す魔術は魔力の調整がやや難しいが、私にしたら慣れたものだ。
簡単に火を起こした後、滝が流れ落ちてできた川にケトルを突っ込み、水を入れる。
そして離れた物を操るテレキネシスの魔術でケトルを火に近づける。テレキネシスは念動力とも言い、見えない手が一本増えた感覚になる魔術だ。
ケトルの水が沸く間にお米の準備をする。
リネットから教えられた作り方によると、リゾットは一度炒めるらしい。私は食べる専門で料理をすることはめったにないのでそんなこと知らなかった。
フライパンにオリーブオイルを入れて、テレキネシスで火の上に固定。オリーブオイルが温まってきたら、お米をくわえて炒めていく。
本当はニンニクも炒めて香りづけするらしい。だがそんな物は持ってないので気にしないことにする。
ちなみになんで最初にお米を炒めるのかは知らない。だってそこまで教えてもらえなかったもん。
お米を炒めるという、自分自身意味が分かってない工程をしているうちに、ケトルのお湯が沸き始めた。粉末状のブイヨンをお湯に入れ、スープの完成。楽だ。
お米も十分炒めたことだし、いよいよここにスープを加えていく。一気にではなく数回に分けて入れないといけないらしい。なぜかは今度リネットに会った時に聞いておこう。
スープを三分の一ほど注ぎ、しばらく待つ。段々煮詰まっていき汁気がなくなってきたら、またフライパンにスープを注ぐ。
それを繰り返していくうちに、硬かったお米が水分を吸って柔らかくなってきたのが目に見えて分かる。おいしそうになってきた。
段々とできつつあるリゾットに、ちょっとテンションが上がってしまう。なんか料理楽しくなってきたかも。
スープを全て注ぎ終え、汁気が少なくなりドロっとしてきたら完成だ。
あ、まだ完成じゃない。今回はここにチーズをたっぷり入れるんだった。
携帯ナイフでチーズの塊を削り、リゾットにたっぷりと加えていく。余熱でチーズが溶けだして来たら、今度こそ完成。魔女リリア特製のチーズリゾットだ。
なお言い換えると普通のチーズリゾットになる。別に何も特製感はないのだ。
自分で自分のために作ったのだから、遠慮せず早速いただくことにした。旅の途中の野外料理なのだから、作法とか気にせずもうフライパンから直にいただきます。
バッグから取り出したフォークでリゾットをすくい、まずは一口。
「……すごく普通」
思っていた以上に普通の味だ。むしろ若干普通より下回ってる気がする。
お米はちょっと芯が残りつつもべちゃっとしていて、たっぷりの溶けたチーズがそれに纏わりついている。
おいしくないという訳ではない。でもおいしいという訳でもない。なんか料理初心者が作りました感ある無難な感じ。実際私は初心者だし。
リネットが作る物やお店で出てくるリゾットとは、やっぱりひと味もふた味も欠けている。
でも自分でがんばって作ったせいか、それでも悪くはないと思えた。私は自分に甘いのだ。
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