113 / 185
113話、スパイスの買いつけと溶けた鉄のデザート
しおりを挟む
カルディアの町三日目は、二日目と同じく昼間から買い物に出かけていた。
昨日のうちに欲しい物をいくつか買っていたのだが、夕食にスペアリブを食べた事によって、新たに欲しくなった物があるのだ。
それは……スパイス。
昨日食べたスペアリブがとても良い匂いで香ばしく美味しかったので、スパイスを使った料理という物に興味が出たのだ。
そして宿屋に帰ってから、部屋に置かれてあったカルディアの町の紹介を纏めたパンフレットを読んで色々調べてみて、この町は元々スパイスを使った料理が盛んだと知った。
こんな火山地帯に構えた町である。大昔は他の村や町とも交流が難しく、しかも採れる食材の種類に限りがあった。
そうなると料理の種類の幅が狭まってしまうが、それを解決する為に自生している植物から取れるスパイスを積極的に使ってきたらしい。
スパイスは種類が豊富で、どれも匂いが独特だ。匂いが味覚に与える影響は大きく、同じ料理でも使ったスパイスが違えば印象が変わるのだ。
おかげでカルディアの町は今でもスパイス文化があり、積極的に輸入も行って自生スパイス以外のスパイスも日常的に使っているらしい。
スパイス一つで料理の印象が変わる、というのは、旅の合間に自炊する事もある私からすると嬉しい事実だ。
スパイスを手に入れれば、私の野外料理も幅が広がって中々おしゃれな感じになるはずだ。もうモニカに古代魔女料理などと呼ばせない。
そう硬く決意して市場へと赴いた私だったが、いざスパイスを買おうと思うと、その種類に圧倒されてしまう。
私もある程度スパイスを知ってはいるが、やはり知らない物の方が多いらしい。市場のスパイス売り場では、透明な袋に詰められたスパイスがたくさんあり、何が何だか分からない。
「やばい、何買えばいいのか分かんなくなる……」
「いっそのこと一通り買っちゃえば?」
「さすがに邪魔だし使い切れないと思うよ」
何しろ野宿する時しか料理しないので、それこそ料理を日常的に行う人並みに買っても使いきれない。
ここは、ある程度知っているスパイスを使いきれる程度に買いつつ、初めましてのスパイスもいくつか買って挑戦してみるのが良いかも。うん、そうしよう。
「あ、シナモン。シナモンは知ってる」
知っているスパイスをようやく発見したので、ぱっと手に取ってみる。
売られているスパイスはざっと二種類あって、使いやすいように粉末状にされた物と、加工されていない状態の物。私が買うとしたら、基本粉末状だろう。
しかしシナモンをぱっと取ってしまったが……これはどちらかと言うと、デザートなどに使うスパイスではないだろうか。
肉料理とかにも使うと聞いた事はあるけど、私の中ではデザートやお茶に使うイメージだ。シナモンティーとか、ケーキに振りかけたりとか。
シナモンはぴりっと鼻につくような甘い匂いが独特で、一度匂いを嗅いだら記憶にこびりつく感じだ。それだけ匂いが強いので使い過ぎに気をつけないと、料理を台無しにしてしまう可能性もある。
とりあえずシナモンはリリース。私には使いこなせないだろう。
後私が知っているのは……クミンにセージ、バジル、コリアンダーやオレガノ、ナツメグ、ローズマリーなどなどか。
落ち着いて見てみると、これってスパイスだったの? と思える物が結構あった。
特にセージやローズマリーは、私の中ではスパイスというよりハーブという印象。魔法薬に使う事もある植物なのだ。
クミンは肉や魚の匂い消しに良いらしいので、買っておく。セージ、バジル、ローズマリーも使いどころが多そうなので確保。茹でたパスタをこれらハーブ類で和えたら、それだけで美味しいんじゃないだろうか。
他に知らないので気になるスパイスは……これだろうか、ガラムマサラ。
小瓶に入った粉末スパイスで、赤みが強く辛そう。書かれている説明によれば、ミックススパイスなのでこれ一つで色々な料理に使えるとの事。
これは買おう。色々スパイスが入っていて、とりあえず仕上げに使えばどうにかなるのなら、私としては嬉しいスパイスだ。
後気になるのは、この星型のスパイス。スターアニスと言うらしい。これは粉末状の物が存在せず、この形そのままで使い、食べる時には取り出すようだ。
これは単純に形が気に入った。どんな料理に使うかは分からないがそれだけで衝動買いする。
「スパイスはこんな物かな。ハーブ系なら使いやすそうだし、このガラムマサラとか言うミックススパイスを使っておけばどうにかなりそうかも」
「次に野宿する時が楽しみね」
「私としては野宿は避けたいけどね」
やはり寝る時はベッドという文明の利器が欲しい。野宿は体バキバキになる。
スパイスの買いつけは終わったが、まだ昼間を少し回った程度。晩御飯には早すぎる時間帯だ。
「よし、スイーツでも食べてこようか。この町名物のスイーツがあるらしいよ」
「ああ、昨日リリアが読んでたパンフレットに書いてあったやつ? 何だったかしら……あのー、鉄がどうたらの」
「溶けた鉄ね」
「そうそう、それそれ。……え、鉄食べるの? そういえば、前に溶けた鉄が飴みたいで美味しそうとか言ってたけど……え、本気?」
ライラが信じられないとばかりに怯えた目で私を見る。私は当然首を振って否定した。
「なわけないじゃん。ほら、行くよ」
「……じゃあ結局溶けた鉄ってなによ」
頭に疑問符を浮かべるライラを先導するため、私は歩き出した。
件のお店は簡単に見つける事が出来た。昨日パンフレット読みこんだからね。
スイーツ店に入り、テーブル席へ着席。すぐに例の溶けた鉄とやら言うデザートを注文する。
「鉄……鉄……」
いまだに鉄鉄言っているライラだが、当然鉄を食べる訳ではない。溶けた鉄、と言うデザートの正式名称はアヴィ・ラクシェ。
これはこの町の古い言葉、いわば方言であり、アヴィは鉄、ラクシェは溶けた、を意味するらしい。だからこのデザートの愛称が溶けた鉄なのだ。
こんな名前であるのには、もちろん理由がある。ライラには教えてないけど、パンフレットに書いてあったから私は知っているのだ。
やがて件の溶けた鉄、アヴィ・ラクシェが入った皿が運ばれてきた。
白い皿の中心に、黒くツヤのある球体状のチョコが鎮座している。そして、小さなポットを持った店員さんが、そのチョコ目がけて何かの液体をかけ始める。
湯気が立つ黒い液体は、ホットココアだ。温かいので、球体のチョコの表面がゆっくりと溶けていく。
「わっ」
ライラが驚きに声をあげた。溶けたチョコの中から、四角形の白いクッキーが現れたのだ。溶けたチョコとホットココアによって、クッキーは見る間に黒へと染められた。
これが溶けた鉄という名の正体。このデザートは、鉄鉱石をイメージした球体チョコにホットココアをかけ、溶かしながら食べる料理なのだ。
それがまさに鉄鉱石を溶かしているように見えるので、溶けた鉄、という名になったらしい。
チョコの中にある四角いクッキーは、いわば鉄鉱石に混じる石などの不純物なのだろう。
見た目が楽しいこのデザート。さっそく味を確かめるべく、溶けつつあるチョコをフォークで崩しつつ、クッキーと一緒に食べてみる。
「ん……あっま」
見た目から想像できるように、とんでもない甘さだ。チョコ自体もそうだか、かけられたココアも甘ったるい。
クッキーは表面がココアとチョコで濡れていたが、中はサクサクとした食感。甘ったるいチョコクッキーを食べている感じ。
何と言うか、いかにもスイーツって感じの味。甘さの暴力。甘さ控えめのデザートなぞ認めないとばかりの強い意志を感じる。
もくもく食べ始めたライラを見てみると……。
「あっま」
驚きのあまりか、丸くした目でこちらを見つつそう言った。
あっまいよね、これ。
溶けた鉄は、昼間に買ったスパイスの匂いを思わず嗅ぎたくなる程甘ったるいデザートだった。美味しいけどね。
昨日のうちに欲しい物をいくつか買っていたのだが、夕食にスペアリブを食べた事によって、新たに欲しくなった物があるのだ。
それは……スパイス。
昨日食べたスペアリブがとても良い匂いで香ばしく美味しかったので、スパイスを使った料理という物に興味が出たのだ。
そして宿屋に帰ってから、部屋に置かれてあったカルディアの町の紹介を纏めたパンフレットを読んで色々調べてみて、この町は元々スパイスを使った料理が盛んだと知った。
こんな火山地帯に構えた町である。大昔は他の村や町とも交流が難しく、しかも採れる食材の種類に限りがあった。
そうなると料理の種類の幅が狭まってしまうが、それを解決する為に自生している植物から取れるスパイスを積極的に使ってきたらしい。
スパイスは種類が豊富で、どれも匂いが独特だ。匂いが味覚に与える影響は大きく、同じ料理でも使ったスパイスが違えば印象が変わるのだ。
おかげでカルディアの町は今でもスパイス文化があり、積極的に輸入も行って自生スパイス以外のスパイスも日常的に使っているらしい。
スパイス一つで料理の印象が変わる、というのは、旅の合間に自炊する事もある私からすると嬉しい事実だ。
スパイスを手に入れれば、私の野外料理も幅が広がって中々おしゃれな感じになるはずだ。もうモニカに古代魔女料理などと呼ばせない。
そう硬く決意して市場へと赴いた私だったが、いざスパイスを買おうと思うと、その種類に圧倒されてしまう。
私もある程度スパイスを知ってはいるが、やはり知らない物の方が多いらしい。市場のスパイス売り場では、透明な袋に詰められたスパイスがたくさんあり、何が何だか分からない。
「やばい、何買えばいいのか分かんなくなる……」
「いっそのこと一通り買っちゃえば?」
「さすがに邪魔だし使い切れないと思うよ」
何しろ野宿する時しか料理しないので、それこそ料理を日常的に行う人並みに買っても使いきれない。
ここは、ある程度知っているスパイスを使いきれる程度に買いつつ、初めましてのスパイスもいくつか買って挑戦してみるのが良いかも。うん、そうしよう。
「あ、シナモン。シナモンは知ってる」
知っているスパイスをようやく発見したので、ぱっと手に取ってみる。
売られているスパイスはざっと二種類あって、使いやすいように粉末状にされた物と、加工されていない状態の物。私が買うとしたら、基本粉末状だろう。
しかしシナモンをぱっと取ってしまったが……これはどちらかと言うと、デザートなどに使うスパイスではないだろうか。
肉料理とかにも使うと聞いた事はあるけど、私の中ではデザートやお茶に使うイメージだ。シナモンティーとか、ケーキに振りかけたりとか。
シナモンはぴりっと鼻につくような甘い匂いが独特で、一度匂いを嗅いだら記憶にこびりつく感じだ。それだけ匂いが強いので使い過ぎに気をつけないと、料理を台無しにしてしまう可能性もある。
とりあえずシナモンはリリース。私には使いこなせないだろう。
後私が知っているのは……クミンにセージ、バジル、コリアンダーやオレガノ、ナツメグ、ローズマリーなどなどか。
落ち着いて見てみると、これってスパイスだったの? と思える物が結構あった。
特にセージやローズマリーは、私の中ではスパイスというよりハーブという印象。魔法薬に使う事もある植物なのだ。
クミンは肉や魚の匂い消しに良いらしいので、買っておく。セージ、バジル、ローズマリーも使いどころが多そうなので確保。茹でたパスタをこれらハーブ類で和えたら、それだけで美味しいんじゃないだろうか。
他に知らないので気になるスパイスは……これだろうか、ガラムマサラ。
小瓶に入った粉末スパイスで、赤みが強く辛そう。書かれている説明によれば、ミックススパイスなのでこれ一つで色々な料理に使えるとの事。
これは買おう。色々スパイスが入っていて、とりあえず仕上げに使えばどうにかなるのなら、私としては嬉しいスパイスだ。
後気になるのは、この星型のスパイス。スターアニスと言うらしい。これは粉末状の物が存在せず、この形そのままで使い、食べる時には取り出すようだ。
これは単純に形が気に入った。どんな料理に使うかは分からないがそれだけで衝動買いする。
「スパイスはこんな物かな。ハーブ系なら使いやすそうだし、このガラムマサラとか言うミックススパイスを使っておけばどうにかなりそうかも」
「次に野宿する時が楽しみね」
「私としては野宿は避けたいけどね」
やはり寝る時はベッドという文明の利器が欲しい。野宿は体バキバキになる。
スパイスの買いつけは終わったが、まだ昼間を少し回った程度。晩御飯には早すぎる時間帯だ。
「よし、スイーツでも食べてこようか。この町名物のスイーツがあるらしいよ」
「ああ、昨日リリアが読んでたパンフレットに書いてあったやつ? 何だったかしら……あのー、鉄がどうたらの」
「溶けた鉄ね」
「そうそう、それそれ。……え、鉄食べるの? そういえば、前に溶けた鉄が飴みたいで美味しそうとか言ってたけど……え、本気?」
ライラが信じられないとばかりに怯えた目で私を見る。私は当然首を振って否定した。
「なわけないじゃん。ほら、行くよ」
「……じゃあ結局溶けた鉄ってなによ」
頭に疑問符を浮かべるライラを先導するため、私は歩き出した。
件のお店は簡単に見つける事が出来た。昨日パンフレット読みこんだからね。
スイーツ店に入り、テーブル席へ着席。すぐに例の溶けた鉄とやら言うデザートを注文する。
「鉄……鉄……」
いまだに鉄鉄言っているライラだが、当然鉄を食べる訳ではない。溶けた鉄、と言うデザートの正式名称はアヴィ・ラクシェ。
これはこの町の古い言葉、いわば方言であり、アヴィは鉄、ラクシェは溶けた、を意味するらしい。だからこのデザートの愛称が溶けた鉄なのだ。
こんな名前であるのには、もちろん理由がある。ライラには教えてないけど、パンフレットに書いてあったから私は知っているのだ。
やがて件の溶けた鉄、アヴィ・ラクシェが入った皿が運ばれてきた。
白い皿の中心に、黒くツヤのある球体状のチョコが鎮座している。そして、小さなポットを持った店員さんが、そのチョコ目がけて何かの液体をかけ始める。
湯気が立つ黒い液体は、ホットココアだ。温かいので、球体のチョコの表面がゆっくりと溶けていく。
「わっ」
ライラが驚きに声をあげた。溶けたチョコの中から、四角形の白いクッキーが現れたのだ。溶けたチョコとホットココアによって、クッキーは見る間に黒へと染められた。
これが溶けた鉄という名の正体。このデザートは、鉄鉱石をイメージした球体チョコにホットココアをかけ、溶かしながら食べる料理なのだ。
それがまさに鉄鉱石を溶かしているように見えるので、溶けた鉄、という名になったらしい。
チョコの中にある四角いクッキーは、いわば鉄鉱石に混じる石などの不純物なのだろう。
見た目が楽しいこのデザート。さっそく味を確かめるべく、溶けつつあるチョコをフォークで崩しつつ、クッキーと一緒に食べてみる。
「ん……あっま」
見た目から想像できるように、とんでもない甘さだ。チョコ自体もそうだか、かけられたココアも甘ったるい。
クッキーは表面がココアとチョコで濡れていたが、中はサクサクとした食感。甘ったるいチョコクッキーを食べている感じ。
何と言うか、いかにもスイーツって感じの味。甘さの暴力。甘さ控えめのデザートなぞ認めないとばかりの強い意志を感じる。
もくもく食べ始めたライラを見てみると……。
「あっま」
驚きのあまりか、丸くした目でこちらを見つつそう言った。
あっまいよね、これ。
溶けた鉄は、昼間に買ったスパイスの匂いを思わず嗅ぎたくなる程甘ったるいデザートだった。美味しいけどね。
0
あなたにおすすめの小説
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる