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167話、お昼はクロエと一緒にチーズホットドッグ
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偶然クロエと出会った私達は、一緒に魔術遺産の虹色洞窟を探索した後、せっかくだから一緒にお昼ごはんを食べようとなった。
クロエは実地調査をする時は結構雑に食事を済ませるタイプなので、パンや保存がきくソーセージ類くらいしか持っていない。
「多めに持ってきてるから、どうせなら皆のお昼に使って」
そう言われて提供されたパンとソーセージを、私はそのままベアトリスに渡す。
「はい、お願い」
「はいはい」
食材を渡されたベアトリスは、もう当然といったようにお昼ごはんの準備に取りかかりだした。
「ベアトリスと一緒に旅するようになってから、野外での食事は全部ベアトリス任せなんだよね」
「……リリア横着してる」
「しょ、しょうがないじゃん。ベアトリスの方が料理上手なんだもん」
クロエの指摘に反論しつつ、私は魔術で火を起こしてたき火を作り、ケトルでお湯を沸かしだした。
「それに私はこうしてお茶を用意するから、適材適所ってやつだよ」
言い訳するようにいそいそとお茶を用意し始める私だった。
今日は久しぶりに紅茶でも作ろう。茶葉を用意してお湯が沸くのを待っている間、ベアトリスの様子を伺ってみた。
クロエから渡されたパンとソーセージで何を作るつもりだろうか。
どうやら、ベアトリスが作ろうとしているのは結構王道の料理らしい。
ベアトリスは慣れた手つきでパンに切れ込みを入れ、そこにソーセージを入れていく。
あれはどう見てもホットドッグだ。野外で簡単に食事するとなると、これほど楽でおいしい料理もそんなにない。
パンにソーセージを挟んだシンプルホットドッグが完成すると、ベアトリスは今度は自分の小型クーラーボックスからチーズを取りだした。あれは昨日マカロニアンドチーズを作った時に余ったチーズだ。
「残しておいてもしょうがないのよね」
旅最中の野外料理では、あまり食材を余らせたくないというのが本音だ。変に余っても荷物になって邪魔だし、日が経てば品質も味も落ちる。できれば次の町までの道程でうまく使い切りたいところ。
だから多少強引にでも食材を使おうとすることは結構ある。今日のベアトリスもそうらしく、余ったチーズを四つ分のホットドッグにこれでもかと乗せていった。
「チーズ多っ」
「チーズはどれだけ乗せてもおいしいから大丈夫よ」
私の指摘も何のその。むしろ最初からチーズたっぷりのホットドッグを作りたかったとばかりの態度だった。
この前のバーベキューでモニカは肉満載の夢ホットドッグを作っていたが、それに対するベアトリスの夢ホットドッグがこのチーズ山盛り状態なのかもしれない。
私もチーズ好きだから全然いいけどね。
「リリア、このホットドッグたき火で軽く炙ってちょうだい」
「え? 私が?」
「テレキネシスとやらで浮かせられるでしょ? そっちのが楽じゃない」
ベアトリスは楽だろうけど、魔術を使っている私はそこまで楽ではない……。
けど、料理を準備してくれてるベアトリスに文句を言える訳もなく、私は従順にテレキネシスで四つのホットドッグをたき火上に静止させ、ジリジリ炙っていった。
「おお……リリアが原始的魔女料理の第一人者から便利な雑用魔女にランクダウンしている……」
「うるさいよ」
なんだかクロエの中で私の地位が一気に落ちた気がする。魔女の魔術どころか、その魔女そのものが野外料理で便利に扱われるとは思ってなかったんだろうな。
今の私、はたからみると調理器具扱いだもんな……。勝手に火を用意して焼いてくれる調理器具魔女だ。自分で言ってて悲しい。
しかしそんな悲しさもおいしそうな料理を前にしたら何の問題にもならない。火で炙ることでパンにはちょうどいい焦げ目が付き、更に山盛りのチーズがとろりととろけて良い感じ。
「それくらいで十分よ。そろそろ食べましょ」
「あ、待って。今紅茶淹れる」
ようやくお湯が沸いたので、ささっと茶葉を入れてしばらく蒸らす。その間にパンもいい具合に熱が落ちついて食べやすくなるはずだ。
良い感じに色づいて香りが立ってきたところで、それぞれのコップに茶葉が入らないよう注意しながら紅茶をそそいだ。
「はい、いいよ。ごはん食べよう」
紅茶も準備して、皆で焼いたホットドッグを手にして頂きます。
ぱくりとチーズ山盛りのホットドッグを食べる。良い感じにチーズが伸びるのがたまらない。
焼いたことでソーセージからも油が浮き出て、香ばしいパンに実に合っている。チーズのまろやかさと塩気によって、ケチャップやマスタードが無くても十分おいしい。
そしてホットドッグの味が残っている内に紅茶をぐびっと飲むと、紅茶独特の爽やかな匂いが鼻腔を包み、ちょっとした渋みで口内がすっきりする。
「やっぱりチーズは乗せれば乗せるほどおいしいわ」
なんて、ベアトリスはまるでモニカのようなことを言っていた。モニカもきっとパンに肉を乗せれば乗せるほどおいしいと言うだろう。
でも確かにおいしい。チーズってずるいよね。なんでこんなにおいしいんだろう。肉とかと合わせると更においしさが増すし……凄まじいよ。
いつか機会があったらチーズ祭りとかしたいな。チーズフォンデュで色んな食材をチーズでコーティングして食べるの。私は焼いたかぼちゃで食べたい。
そんなバカなことを考えていたらあっという間にチーズホットドッグを食べ終えてしまった。もうちょっと食べたいな、と思える程度には胃に余裕があるが、午後も歩くので少し物足りない程度の方が良い。
「そういえばクロエってこれからどうするの?」
「まだこの近くに調査したい魔術遺産がある。午後はそこに向かう予定。おそらく到着は明日あたり」
「ふーん。だったらついでに私達も付いていっていい?」
どうせ当てのない旅なんだから、物見遊山でクロエの現地調査についていくのも有りなのだ。
「別に構わない。なら、紅茶を飲んだら出発しよう」
「わかった。ベアトリスとライラもそれでいい?」
「私は別に良いわよ。もともとリリア任せの旅だもの」
「私も久しぶりにクロエと一緒に居られるからいいわよー」
二人の了承もあったので、これからの予定が決まった。
とりあえずクロエに付いていこう。その後は成り行きで。
……なんとも適当な旅だなぁ、と改めて思う私だった。
クロエは実地調査をする時は結構雑に食事を済ませるタイプなので、パンや保存がきくソーセージ類くらいしか持っていない。
「多めに持ってきてるから、どうせなら皆のお昼に使って」
そう言われて提供されたパンとソーセージを、私はそのままベアトリスに渡す。
「はい、お願い」
「はいはい」
食材を渡されたベアトリスは、もう当然といったようにお昼ごはんの準備に取りかかりだした。
「ベアトリスと一緒に旅するようになってから、野外での食事は全部ベアトリス任せなんだよね」
「……リリア横着してる」
「しょ、しょうがないじゃん。ベアトリスの方が料理上手なんだもん」
クロエの指摘に反論しつつ、私は魔術で火を起こしてたき火を作り、ケトルでお湯を沸かしだした。
「それに私はこうしてお茶を用意するから、適材適所ってやつだよ」
言い訳するようにいそいそとお茶を用意し始める私だった。
今日は久しぶりに紅茶でも作ろう。茶葉を用意してお湯が沸くのを待っている間、ベアトリスの様子を伺ってみた。
クロエから渡されたパンとソーセージで何を作るつもりだろうか。
どうやら、ベアトリスが作ろうとしているのは結構王道の料理らしい。
ベアトリスは慣れた手つきでパンに切れ込みを入れ、そこにソーセージを入れていく。
あれはどう見てもホットドッグだ。野外で簡単に食事するとなると、これほど楽でおいしい料理もそんなにない。
パンにソーセージを挟んだシンプルホットドッグが完成すると、ベアトリスは今度は自分の小型クーラーボックスからチーズを取りだした。あれは昨日マカロニアンドチーズを作った時に余ったチーズだ。
「残しておいてもしょうがないのよね」
旅最中の野外料理では、あまり食材を余らせたくないというのが本音だ。変に余っても荷物になって邪魔だし、日が経てば品質も味も落ちる。できれば次の町までの道程でうまく使い切りたいところ。
だから多少強引にでも食材を使おうとすることは結構ある。今日のベアトリスもそうらしく、余ったチーズを四つ分のホットドッグにこれでもかと乗せていった。
「チーズ多っ」
「チーズはどれだけ乗せてもおいしいから大丈夫よ」
私の指摘も何のその。むしろ最初からチーズたっぷりのホットドッグを作りたかったとばかりの態度だった。
この前のバーベキューでモニカは肉満載の夢ホットドッグを作っていたが、それに対するベアトリスの夢ホットドッグがこのチーズ山盛り状態なのかもしれない。
私もチーズ好きだから全然いいけどね。
「リリア、このホットドッグたき火で軽く炙ってちょうだい」
「え? 私が?」
「テレキネシスとやらで浮かせられるでしょ? そっちのが楽じゃない」
ベアトリスは楽だろうけど、魔術を使っている私はそこまで楽ではない……。
けど、料理を準備してくれてるベアトリスに文句を言える訳もなく、私は従順にテレキネシスで四つのホットドッグをたき火上に静止させ、ジリジリ炙っていった。
「おお……リリアが原始的魔女料理の第一人者から便利な雑用魔女にランクダウンしている……」
「うるさいよ」
なんだかクロエの中で私の地位が一気に落ちた気がする。魔女の魔術どころか、その魔女そのものが野外料理で便利に扱われるとは思ってなかったんだろうな。
今の私、はたからみると調理器具扱いだもんな……。勝手に火を用意して焼いてくれる調理器具魔女だ。自分で言ってて悲しい。
しかしそんな悲しさもおいしそうな料理を前にしたら何の問題にもならない。火で炙ることでパンにはちょうどいい焦げ目が付き、更に山盛りのチーズがとろりととろけて良い感じ。
「それくらいで十分よ。そろそろ食べましょ」
「あ、待って。今紅茶淹れる」
ようやくお湯が沸いたので、ささっと茶葉を入れてしばらく蒸らす。その間にパンもいい具合に熱が落ちついて食べやすくなるはずだ。
良い感じに色づいて香りが立ってきたところで、それぞれのコップに茶葉が入らないよう注意しながら紅茶をそそいだ。
「はい、いいよ。ごはん食べよう」
紅茶も準備して、皆で焼いたホットドッグを手にして頂きます。
ぱくりとチーズ山盛りのホットドッグを食べる。良い感じにチーズが伸びるのがたまらない。
焼いたことでソーセージからも油が浮き出て、香ばしいパンに実に合っている。チーズのまろやかさと塩気によって、ケチャップやマスタードが無くても十分おいしい。
そしてホットドッグの味が残っている内に紅茶をぐびっと飲むと、紅茶独特の爽やかな匂いが鼻腔を包み、ちょっとした渋みで口内がすっきりする。
「やっぱりチーズは乗せれば乗せるほどおいしいわ」
なんて、ベアトリスはまるでモニカのようなことを言っていた。モニカもきっとパンに肉を乗せれば乗せるほどおいしいと言うだろう。
でも確かにおいしい。チーズってずるいよね。なんでこんなにおいしいんだろう。肉とかと合わせると更においしさが増すし……凄まじいよ。
いつか機会があったらチーズ祭りとかしたいな。チーズフォンデュで色んな食材をチーズでコーティングして食べるの。私は焼いたかぼちゃで食べたい。
そんなバカなことを考えていたらあっという間にチーズホットドッグを食べ終えてしまった。もうちょっと食べたいな、と思える程度には胃に余裕があるが、午後も歩くので少し物足りない程度の方が良い。
「そういえばクロエってこれからどうするの?」
「まだこの近くに調査したい魔術遺産がある。午後はそこに向かう予定。おそらく到着は明日あたり」
「ふーん。だったらついでに私達も付いていっていい?」
どうせ当てのない旅なんだから、物見遊山でクロエの現地調査についていくのも有りなのだ。
「別に構わない。なら、紅茶を飲んだら出発しよう」
「わかった。ベアトリスとライラもそれでいい?」
「私は別に良いわよ。もともとリリア任せの旅だもの」
「私も久しぶりにクロエと一緒に居られるからいいわよー」
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