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第27話 今度のは間接じゃないよ!
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「……よしっ」
何か決意した様子で、突然、遥が立ち止まった。
「進まないの?」
俺は遥に聞くが、返事は返ってこず……。
「ちょっとこっちきてっ!」
遥に手を引かれ、成瀬さんたちが居る方とは反対側へ連れて行かれる。
視線を待っていた成瀬さんたちに向けると、困惑した表情をしつつも、涼さんだけはなぜか分かっているような表情をしていた。
「ど、どうした?」
俺は困惑し、遥に問いかけた。
しばらく、人混みをかき分けて進み、周囲にはあまり人がいない壁際までくる。
遥は少し顔を赤らめながらも、真剣な表情でこちらを見つめている。
どうしたのかと疑問に思い、遥を見つめていると、突然————ドンッと遥の右手が俺の顔の横を通り過ぎ、壁を突いた。
いわゆる壁ドンだ。
突然そんなことをされ、ましてやしてきた相手は身長が俺よりも高い。圧迫感がありつつ、見慣れた遥の顔が目の前にある。
「は、遥……?」
急にどうしたんだ、壁ドンだなんて。
俺は困惑し、名前を呼ぶのが精一杯だった。
すると、遥はおもむろに顔を近づけ、次の瞬間、彼女の唇が俺の唇に重なった。
柔らかい感覚が唇に届く。
心臓が身体から出ていくかと思った。
「ん!?」
そんな柔らかな感触と共に、時間が止まったような気がした。
水槽の中の魚たちが静かに泳ぐ音がかすかに聞こえるだけで、周りの喧騒がまるで遠くに感じられる。
そして遥が唇を離し、少し照れくさそうに笑う。
「前からずっと、こうしたかったんだぁ」
何故だか、違う遥を見ている気分になる。
「お、おまっ。遥……」
言葉がうまく出てこない。
心臓が激しく鼓動し、顔が熱くなるのを感じた。目の前の遥の顔も、同じように赤く染まっている。
「ごめん、驚かせちゃったね。でも……ずっと我慢してたんだ」
「え? どういうことだよ」
「んー? どうでしょうね~」
イタズラっぽく、照れ隠しのように笑う遥。
「ふふっ、秘密!」
遥がいたずらっぽく微笑む。
俺は何も言えず、ただその表情に見入ってしまった。心臓の鼓動が少しずつ落ち着いてきたものの、まだ頭の中は混乱している。
そんな俺の様子を見て、遥が軽く息を吐き出す。
「大丈夫、ボクの気持ちはちゃんと伝わったでしょ?」
俺は頷くしかなかった。遥の言葉が心に深く響き、これまでの彼女との時間が鮮明に蘇る。
そういうことだと思い、俺もちゃんと返事をしようと言葉を口にする。
「遥……」
そう言いかけた瞬間、遥が人差し指を俺の唇に当てた。
「今は、これ以上言わなくていいの。これで十分だから」
彼女の瞳が輝き、優しい笑顔が浮かぶ。俺はその瞳に見つめられ、言葉を失った。
「さ、戻ろっか。成瀬さんたちが待ってるし」
遥が手を引いて、また歩き出す。俺もその手をしっかりと握り返しながら、ついていく。
◆◆◆
遥は阿宮と並んで歩きつつ、考えていた。
まだ心臓がバクバク言ってるよ……。あのまま、返事を聞いていたらどうなっていたんだろう。
この気持ちが抑えられなくなるかもしれない、だから返事は先送りに。
深呼吸をし、そう自分に言い聞かせる遥。
それに……これからもっと守って、世話をして、ボク無しじゃいられなくして……。
ふふ、それも良いかもね。
「どうした、なんか考え込んでる? ニヤニヤしてるけど」
おっと、顔に出てたようだ。
「ううん、何でもないよ。ほら、行こ」
「ああ」
◆◆◆
「おかえり、楽しめたか~?」
「うん、バッチリ!」
「お、その様子は大成功みたいだな」
何やら遥と涼さんが話している。大成功ってなんだ?
もしかして、遥と二人っきりになったことも作戦だったと言うのか?
「ところで、どこに行ってたの?」
成瀬さんと柊さんに何していたのか聞いてみることにした。
「他に見たいものがあるって言うからね。そっちに行ってたの」
「涼さんがあちらの資料や骨格を展示している場所を見てみたいと言いまして……」
そうだったのか。
うーん、じゃあ、二人はグルではない……?
まぁ、悪いことをしているわけでもないし、いいか。
「じゃ、次のエリアに行こうか」
涼さんがパンフレットを取り出して、次の行き先を指さす。成瀬さんと俺は、その方向に視線を向ける。
イルカショーと書かれている。
「イルカショーかぁ、なかなか見る機会もないし、楽しみだな」
俺が言うと、涼さんが頷いて笑顔を見せる。
「そうだね。ショーが始まる時間も決まってるから、急いで行かないとだ」
「じゃあ、急ごう!」
成瀬さんが元気よく答え、みんなでイルカショーのエリアへと向かう。
道中、イルカショーの広報ポスターや、ショーの予告編が飾られていて、ますます期待が高まる。
この話している間にも、遥に視線を向けてみたが、何食わぬ顔でいつも通りの表情をしていた。
それから、ショーの会場に到着すると、観客席がすでに多くの人で埋まっていた。
幸い、前方の良い位置に空席が見つかったので、そこに座ることにした。
「おー、見やすい席があってよかったな」
「だね」
「でもここ、水が思いっきりかかる場所じゃない?」
「ほんとだ。あ、カッパ貸してくれるみたいだよ」
成瀬さんが指差した先には、「カッパ貸し出しはこちら」と書かれた看板と、それに対応する従業員が立っていた。カッパを貸し出している様子が見え、カラフルなレインコートが掛けられたラックも設置されていた。
「よし、せっかくだからカッパを借りておこうか」
涼さんが提案し、成瀬さんも頷いた。
「うん、濡れたら困るからね」
俺もその意見に賛成し、みんなでカッパの貸し出しに向かう。順番にカッパを受け取り、それぞれに装着する。カッパを着たことで、まるでショーの一部になったような気分だ。
「さて、準備も整ったし、楽しみだね!」
遥は目を輝かせながら言うと、笑顔で会場の前方に向かう。俺もその表情に引き込まれ、期待が高まるのを感じた。心の中で、これから始まるショーに対するワクワク感が広がっていた。
そして少しずつ会場が暗くなり、ステージのライトが点灯する。
水槽の中のイルカたちが、元気よく泳ぐ姿が見え、ステージの上にはトレーナーたちが準備を進めていた。イルカたちも興奮しているのか、時折ジャンプをして観客たちを楽しませている様子だ。
「いよいよ始まるね」
涼さんが言うと、成瀬さんと俺も頷いた。遥も柊さんも真剣にイルカのいるプールを見つめている。
ショーが始まると、イルカたちがトレーナーの合図に合わせて華麗なジャンプやトリックを披露し、会場は歓声と拍手で満ちた。イルカたちの巧みなパフォーマンスに、観客たちの目が釘付けになった。
すっご。あんな的確に指示に従って飛ぶのか……。
イルカが飼育員の指示でリングを連続で潜っていた。
水しぶきが飛び散り、時折、カッパを着ていても水がかかることがあったが、それもまた楽しいひとときの一部に感じられた。
そしてショーが終わり、イルカたちが水槽の中で最後の挨拶をすると、観客たちの拍手が会場を包んだ。
みんなで拍手を送り、ショーの余韻に浸る。
「楽しかったね!」
成瀬さんが満面の笑顔で言うと、涼さんも頷きながら同意する。
「ですね。あんな的確に意思疎通ができているとは」
柊さんは感嘆の声を上げる。
遥も同じように笑顔で言った。
俺もその気持ちに共感し、心から楽しい時間を過ごせたと思った。
「さて、次はどうしようか?」
何か決意した様子で、突然、遥が立ち止まった。
「進まないの?」
俺は遥に聞くが、返事は返ってこず……。
「ちょっとこっちきてっ!」
遥に手を引かれ、成瀬さんたちが居る方とは反対側へ連れて行かれる。
視線を待っていた成瀬さんたちに向けると、困惑した表情をしつつも、涼さんだけはなぜか分かっているような表情をしていた。
「ど、どうした?」
俺は困惑し、遥に問いかけた。
しばらく、人混みをかき分けて進み、周囲にはあまり人がいない壁際までくる。
遥は少し顔を赤らめながらも、真剣な表情でこちらを見つめている。
どうしたのかと疑問に思い、遥を見つめていると、突然————ドンッと遥の右手が俺の顔の横を通り過ぎ、壁を突いた。
いわゆる壁ドンだ。
突然そんなことをされ、ましてやしてきた相手は身長が俺よりも高い。圧迫感がありつつ、見慣れた遥の顔が目の前にある。
「は、遥……?」
急にどうしたんだ、壁ドンだなんて。
俺は困惑し、名前を呼ぶのが精一杯だった。
すると、遥はおもむろに顔を近づけ、次の瞬間、彼女の唇が俺の唇に重なった。
柔らかい感覚が唇に届く。
心臓が身体から出ていくかと思った。
「ん!?」
そんな柔らかな感触と共に、時間が止まったような気がした。
水槽の中の魚たちが静かに泳ぐ音がかすかに聞こえるだけで、周りの喧騒がまるで遠くに感じられる。
そして遥が唇を離し、少し照れくさそうに笑う。
「前からずっと、こうしたかったんだぁ」
何故だか、違う遥を見ている気分になる。
「お、おまっ。遥……」
言葉がうまく出てこない。
心臓が激しく鼓動し、顔が熱くなるのを感じた。目の前の遥の顔も、同じように赤く染まっている。
「ごめん、驚かせちゃったね。でも……ずっと我慢してたんだ」
「え? どういうことだよ」
「んー? どうでしょうね~」
イタズラっぽく、照れ隠しのように笑う遥。
「ふふっ、秘密!」
遥がいたずらっぽく微笑む。
俺は何も言えず、ただその表情に見入ってしまった。心臓の鼓動が少しずつ落ち着いてきたものの、まだ頭の中は混乱している。
そんな俺の様子を見て、遥が軽く息を吐き出す。
「大丈夫、ボクの気持ちはちゃんと伝わったでしょ?」
俺は頷くしかなかった。遥の言葉が心に深く響き、これまでの彼女との時間が鮮明に蘇る。
そういうことだと思い、俺もちゃんと返事をしようと言葉を口にする。
「遥……」
そう言いかけた瞬間、遥が人差し指を俺の唇に当てた。
「今は、これ以上言わなくていいの。これで十分だから」
彼女の瞳が輝き、優しい笑顔が浮かぶ。俺はその瞳に見つめられ、言葉を失った。
「さ、戻ろっか。成瀬さんたちが待ってるし」
遥が手を引いて、また歩き出す。俺もその手をしっかりと握り返しながら、ついていく。
◆◆◆
遥は阿宮と並んで歩きつつ、考えていた。
まだ心臓がバクバク言ってるよ……。あのまま、返事を聞いていたらどうなっていたんだろう。
この気持ちが抑えられなくなるかもしれない、だから返事は先送りに。
深呼吸をし、そう自分に言い聞かせる遥。
それに……これからもっと守って、世話をして、ボク無しじゃいられなくして……。
ふふ、それも良いかもね。
「どうした、なんか考え込んでる? ニヤニヤしてるけど」
おっと、顔に出てたようだ。
「ううん、何でもないよ。ほら、行こ」
「ああ」
◆◆◆
「おかえり、楽しめたか~?」
「うん、バッチリ!」
「お、その様子は大成功みたいだな」
何やら遥と涼さんが話している。大成功ってなんだ?
もしかして、遥と二人っきりになったことも作戦だったと言うのか?
「ところで、どこに行ってたの?」
成瀬さんと柊さんに何していたのか聞いてみることにした。
「他に見たいものがあるって言うからね。そっちに行ってたの」
「涼さんがあちらの資料や骨格を展示している場所を見てみたいと言いまして……」
そうだったのか。
うーん、じゃあ、二人はグルではない……?
まぁ、悪いことをしているわけでもないし、いいか。
「じゃ、次のエリアに行こうか」
涼さんがパンフレットを取り出して、次の行き先を指さす。成瀬さんと俺は、その方向に視線を向ける。
イルカショーと書かれている。
「イルカショーかぁ、なかなか見る機会もないし、楽しみだな」
俺が言うと、涼さんが頷いて笑顔を見せる。
「そうだね。ショーが始まる時間も決まってるから、急いで行かないとだ」
「じゃあ、急ごう!」
成瀬さんが元気よく答え、みんなでイルカショーのエリアへと向かう。
道中、イルカショーの広報ポスターや、ショーの予告編が飾られていて、ますます期待が高まる。
この話している間にも、遥に視線を向けてみたが、何食わぬ顔でいつも通りの表情をしていた。
それから、ショーの会場に到着すると、観客席がすでに多くの人で埋まっていた。
幸い、前方の良い位置に空席が見つかったので、そこに座ることにした。
「おー、見やすい席があってよかったな」
「だね」
「でもここ、水が思いっきりかかる場所じゃない?」
「ほんとだ。あ、カッパ貸してくれるみたいだよ」
成瀬さんが指差した先には、「カッパ貸し出しはこちら」と書かれた看板と、それに対応する従業員が立っていた。カッパを貸し出している様子が見え、カラフルなレインコートが掛けられたラックも設置されていた。
「よし、せっかくだからカッパを借りておこうか」
涼さんが提案し、成瀬さんも頷いた。
「うん、濡れたら困るからね」
俺もその意見に賛成し、みんなでカッパの貸し出しに向かう。順番にカッパを受け取り、それぞれに装着する。カッパを着たことで、まるでショーの一部になったような気分だ。
「さて、準備も整ったし、楽しみだね!」
遥は目を輝かせながら言うと、笑顔で会場の前方に向かう。俺もその表情に引き込まれ、期待が高まるのを感じた。心の中で、これから始まるショーに対するワクワク感が広がっていた。
そして少しずつ会場が暗くなり、ステージのライトが点灯する。
水槽の中のイルカたちが、元気よく泳ぐ姿が見え、ステージの上にはトレーナーたちが準備を進めていた。イルカたちも興奮しているのか、時折ジャンプをして観客たちを楽しませている様子だ。
「いよいよ始まるね」
涼さんが言うと、成瀬さんと俺も頷いた。遥も柊さんも真剣にイルカのいるプールを見つめている。
ショーが始まると、イルカたちがトレーナーの合図に合わせて華麗なジャンプやトリックを披露し、会場は歓声と拍手で満ちた。イルカたちの巧みなパフォーマンスに、観客たちの目が釘付けになった。
すっご。あんな的確に指示に従って飛ぶのか……。
イルカが飼育員の指示でリングを連続で潜っていた。
水しぶきが飛び散り、時折、カッパを着ていても水がかかることがあったが、それもまた楽しいひとときの一部に感じられた。
そしてショーが終わり、イルカたちが水槽の中で最後の挨拶をすると、観客たちの拍手が会場を包んだ。
みんなで拍手を送り、ショーの余韻に浸る。
「楽しかったね!」
成瀬さんが満面の笑顔で言うと、涼さんも頷きながら同意する。
「ですね。あんな的確に意思疎通ができているとは」
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