高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水

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第39話 参戦、なお始発ダッシュは無いらしい。

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 待ちに待った日がついにやってきた。
 
 朝早く起きた俺は、少し緊張しながらもワクワクした気持ちで準備を進めた。
 リュックに必要なものを詰める。そして念のため、柊さんが用意してくれた安全グッズも持っていくことにした。

「用意はできましたか?」
「おう」

 今の時刻は午前6時。サークル入場は8時半から。
 十分間に合う時間だろう。

「ホテルに泊まっておいてよかったですね」
「だな。これ以上早い時間に家を出ないといけないのはきついわ」
「だね~。ふあぁ……ねむ……」

 遥が眠たそうに目をこすっている。
 かくいう俺も眠たい。

「私たちはもう準備できましたよ」
「30分くらいに向かい始めよう」

 成瀬さんと涼さんはすごい。俺たちより先に起きて準備を終えていた。

「さすが成瀬さんと涼さん、早いなぁ……」
「慣れてますからね~」

 と成瀬さんが微笑む。
 
「それに、遅れたら意味がないからな」

 と涼さんも頷く。

「それもそうか」


 それから少しして——

「お待たせ」

 俺が準備が整ったことを知らせると、成瀬さんと涼さんは揃って頷いた。

「よし、じゃあ行こうか」
 
 成瀬さんが声をかけると、みんなが立ち上がり、ホテルを出発する準備を整えた。
 まだ外は薄暗いけれど、空気は澄んでいて、少し冷たい風が心地よい。

「今日はいい天気になりそうだね」

 遥が空を見上げながら、まだ少し眠たそうにしつつも、どこか嬉しそうに言った。

「そうだな。雨が降らなくて助かったよ」

 俺も同じように空を見上げ、少しほっとした。もし雨だったら、準備や移動がもっと大変だっただろう。

「雨でも、それを生かしたコスプレが出てくるだけだしな。まぁ、降らない方がいいけど」
「なるほど、確かに雨を活かすっていう手もあるか」
 
 そんなことを話しつつ、車で向かう。
 話によれば男性が参加する際、特例で車で現地入りしていいんだと。
 てっきり駅から電車で向かうと思っていたよ。

 混乱を避けるためとかなのかな。
 うん、電車ごった返してそうだもんな。

 会場へ向かう道中、歩道を見るとすでに多くの人が歩いていた。
 コスプレイヤーたちが並んで歩く姿や、カメラを持って撮影を楽しむ人々の姿があちらこちらに見られる。
 早朝とは思えない活気に、俺は少し驚いた。

「本当にたくさんの人が集まるんだな……」
 
 俺がその光景に圧倒されていると、成瀬さんが笑いながら言った。

「同人イベントでは最大級ですからね~。ほらそろそろ着きますよ」

 こうして現地へと到着し、車を指定の位置に止めて会場へ向かう。

 ついに会場に到着し、サークル入場の列に並んだ。
 周囲には同じようにサークル参加者たちが次々と集まってきており、列はどんどん長くなっていく。
 スタッフが手際よく案内をしており、その姿に感心しながらも、自分たちの番が来るのを待った。

「思ったよりもスムーズに進んでるね」

 俺が言うと、成瀬さんが微笑んで答えた。

「スタッフの皆さんがしっかり運営してくれているおかげですね」
「本当に、こういうイベントの裏側で支えてくれている人たちには感謝だな」

 やがて、俺たちの順番が来て、サークルチケットを見せて会場内に入った。
 広大な会場には、無数のサークルブースが整然と並んでいて、それぞれが準備を進めていた。

「ここが私たちのスペースです」
 
 成瀬さんが案内してくれた場所に到着すると、みんなで手分けして設営を始めた。
 折りたたむことのできる横長の机一つ丸々使うのか……? もしかして成瀬さんたちのサークル結構人気なの?
 なんか頒布する本らしき段ボールが大量にあるし、壁際だし。

「俺も手伝うよ」
 
 俺は声をかけながら、テーブルクロスを広げたり、グッズを並べたりした。
 チームワークが良く、順調に準備が進んでいく。

「よし、これで準備完了だな」
 
 涼さんが一息つきながら言うと、成瀬さんも満足そうに頷いた。

「じゃ、私は更衣室に行ってきますね」

 そうだ、成瀬さん賭けに負けたからコスプレをするんだったな。大荷物だったのはそれか。
 人混みの中に消えていった、とは言ってもまだまだ見えてるんだけど。
 何気なく、辺りを見渡すとさまざまな人と目が合っては逸らされていく。

 ……避けられてる?
 ま、いっか。関わるわけでもないし。

「それで俺は売り子だったな。どうすればいいんだ?」

 涼さんに視線を向け、聞いた。
 
「あぁ、ここに座ってお金を受け取って頒布物を渡してもらえればいいよ。正直、居てくれるだけで売り子になるし」

 そんなものか。
 簡単だ、俺はそう感じた。バイトで鍛えた接客業の力を見せてやろうではないか!
 
 そして遥と柊さんが俺の左右の斜め後ろにきた。

「ボクたちはここにいるよ。何かあれば手がとどくし」
「りょーかい。オレと鈴華は知り合いに挨拶したりで離れることもあるから気をつけてくれ」
「ええ、分かっています」

 挨拶に行ったりするんだ。
 そういうと涼さんは後ろに下がり、準備などを進めている。新刊の見本を運営に提出に行ったり大忙しだ。

 ふと遥と柊さんを見るとスーツをピシッと着こなし、いつになく険しい表情をしていた。
 一瞬たりとも気が抜けない、そういった表情だ。
 頼もしい気持ちになると共にそんな場所なのか? と不安になった。

「気をつけてくださいね、ここは戦場ですから。それにあわよくばと考え近づく不届者が居ますので」
 
 そして開始の放送が鳴り始める。
 だが、成瀬さんはまだ戻ってこない。
 そう考えていると、遠くから走ってくる人影を見つけた。

「すみませんー! 遅くなりました……ッ!」
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