TS少女総受けファンタジー~拾われたTS少女は流されやすい~

熊と猫

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一章『出会い』

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 ポニーテール女子とエルフのお姉さんが並んで先頭を歩き、私と女騎士さんがその後ろから付いていくという形で、4人で森の中を歩いて暫く。
 どうやら目的地としていたのは、前を歩く二人の間から前方に覗き見える川だと当たりを付けた。
 まぁ私の姿を見れば、先ずは奇麗にと考えるのは納得できる。

 この3人のパーティーがどう言った移動手段でここまでを進んできたのか解らないが、長期間旅をするには3人の荷物は聊か軽装が過ぎる。
 という事は、森から出た直ぐ傍に村や街があるのか、それとも荷馬車の様な物があるのであれば森の入り口に待たせているのかもしれない。
 この森は足場も悪く、荷馬車は勿論の事、こう木々が立ち並んでいると馬に乗って移動するのも大変そうだ。
 まぁ話を聞く事が出来ないので、想像の範疇を出る事は無いが、このまま一緒について行っていいのならそう遠くない未来に知る事が出来るだろう。

 まぁもし荷馬車があり、それに私も同乗させて貰えるのであれば、この汚れた状態では少し厳しいか。
 そんな事を考えながら歩いていると、ふと自分の匂いが気になり、少しシャツを引っ張って匂いを嗅いでみる。
 臭い。
 獣臭いのと泥臭いのと、返り血で生臭いのとで、もう何と言っていいか解らない。

 余りの臭さに顔を顰めていると、ふと隣から視線を感じ、横を向いて顔を上げると、女騎士さんと目が合った。
 少し顔が笑っている所を見ると、私が自分の匂いを嗅いで顔を顰めていたのを見ていたのだろう。
 何だか恥ずかしさが募り、赤くなっているだろう顔を少し伏せて、半歩程横に距離を取る。
 匂ってるかもしれないし……。

 『ふふ、長い事森で暮らしていたならある程度は仕方ない。あんまり気にするな。
  そうだな……川に着いたら私が洗ってやろう』

 私が半歩程離れた距離を直ぐに縮めて、何故か微笑みながら頭をポンポンと撫でられた。
 何と言ったのかは解らないが、まぁ恐らく、匂わないから気にするなと言う事だろうか。
 それならまぁ、いいかな……。

 そらからまた少し黙々と歩き、川へと辿り着いた。
 一応私もこの川は見つけていて、数ヵ月前からはずっとこの川を下りながら、周囲を探索していた。
 流れを下っていけば人里があるかもしれないという考えと、川の周囲にひょっとしたら村等があるかもしれないと思ったからだ。
 森で暮らしている種族とかも居るかもしれないし。
 まぁ全て空振りに終わり、人っ子一人居なかった訳だが……。
 しかし、彼女達に会えたと言う事は、川を下っていたのは正解だったのかもしれない。

 さて、じゃぁ私はあの岩の影で体を洗ってきますので、待ってて下さいネ。
 と心の中で告げて、イソイソと3人から離れようとしたところで、ガシッと腕を掴まれた。

 「むっ!?」
 『コラ、どこ行くんだ。服もちょっと洗ってやるからここで脱いでけ』
 「????」

 ポニーテール女子に腕を掴まれて服の裾をチョイチョイと引っ張られている。
 どういう事だ。

 良く解らずに首を傾げてクエスチョンマークを浮かべていると、徐に装備していた皮の胸当ての留め具を外された。
 あぁ、成程防具だけ預けていく感じですか?
 メンテナンスでもしてくれるのかな。もう結構ボロボロで、黒っぽく変色しちゃってるんですけど……、大丈夫ですか?
 されるがままに皮の胸当てを外して、ポニーテール女子に手渡し、じゃぁ私はこれで、とまた歩き出そうとした所でまた腕を掴まれた。

 「えぇっ!?」
 『あぁもうめんどくさい! 脱がしてやるからこっちこいっ!』

 何故服まで脱がそうとしてるの!
 恥ずかしいからやめてっ!
 服の裾を持って脱がそうとしてくるポニーテール女子に対して、裾を下に引っ張って抵抗する事数秒。
 見かねた様に女騎士さんが間に入ってくれたのでその後ろに即座に隠れる事にする。
 何か苦手だ。ポニーテール女子。

 『コラコラ、エル! そんなに無理矢理してどうする。怯えてるだろう! 言葉が通じてないんだ。優しくしてやれ』
 『あ、あぁ、そっか……スマンスマン、つい……』

 どうやら女騎士さんがポニーテール女子を叱ってくれた様だ。
 女騎士さんの後ろからポニーテール女子を見ると、少し申し訳なさそうに頭を下げている。
 まぁ、解ってくれればいいのだよ。

 さて、じゃぁ私はこれで。
 と、また歩き出そうとしていた所で、今度は女騎士さんに腕を掴まれた。
 何故っ!?
 まぁあんまり力は入ってないので振りほどこうと思えば振りほどけるが、女騎士さんに対してはそんな事はしたくない。
 一体どういう事かと女騎士さんの顔を見上げると、スッとその場でしゃがみ込んで私と目線を合わせ、何かを言いながらジェスチャーをしている。

 『いいか? この子が服を洗ってくれるから、ここで脱いで行くんだ。解るか? ぬ、ぐ。あ、ら、う』

 私の服を指さして、肩から降ろす様なジェスチャーと、後ろに居るポニーテール女子を指さして、手を合わせて擦る様なジェスチャー。

 服を脱ぐと、ポニーテール女子が洗う?
 服を洗ってくれるって事かな?

 だからここで脱いでいけと、ここで、脱いで、行けと?

 まぁそう言うなら、仕方ない、のか?
 仕方ない。
 恥ずかしいが脱ごう。幸い?私は今少女の姿だ。
 同性同士だからどうってことは無い。恥ずかしいけど。
 まぁ水の中に入れば体は隠れる。
 そして、私は仕方なく服を全て脱ぎ、汚れ物の塊を女騎士さんに渡した。
 申し訳無いが、お願いしよう。

 『では、私はこっちで焚火でも起こしておきますよ。服を少しでも乾かさないといけないでしょうし』
 『あぁ、ローレル、頼んだ。あ、そうだ、手洗い用の石鹸を借りていくぞ』
 『しっかし、擦っただけで落ちるかな? コレ……』

 エルフのお姉さんが何かを告げて離れた後、女騎士さんへと渡した汚れ物はポニーテール女子へと手渡された。その様子を横目に手で体を申し訳程度に隠しながら川へと向かう事にする。
 そして、その後ろを何故か女騎士さんが付いて来ている。

 子供だから危ないとかそういう感じだろうか。
 これでも中身は大人なのだ。一人でも気を付けますよ?

 まぁこの姿なら仕方ないか。
 その点は早々に諦める事にして、ようやく水の付近まで辿り着いた私は、しゃがみ込んで水を掬い、体へとかけていく。
 少し冷たいが、今は昼間で天気もいいのでポカポカと温かい気温だ。
 パシャパシャと水を体に掛け、冷たさにもある程度慣れた所で川の中に入る。
 余り深い所では無かった様で、水深は膝下ぐらいまでしかない為、体を隠す事は出来ないが仕方ない。
 その場でまたしゃがみこんでパシャパシャと水を頭からかけながら手でゴシゴシと洗い、頭の汚れがある程度落ちた所で、岸辺に居る女騎士さんの声が聞こえたので其方を見る。
 すると、手ぬぐいの様な物と何やら青い固形物を手に持った女騎士さんが私に向かって声を掛けながら手招きしているのが目に入った。
 手招きしているという事は来いという事だ。
 近づいて行くと、どうやらこの世界にも石鹸の様な物があった様で、既に手ぬぐいはアワアワとしていた。
 有難い。しかも態々泡立てて頂いて、至れり尽くせりとはこの事か。
 ペコリとお辞儀をして、女騎士さんが手に持っている手拭いに手を伸ばすと、スッと引っ込められた。
 首を傾げると、微笑みを浮かべながら何事かを私に向かって喋りながら更に手招きしている。
 もっと近くに来いって事?

 『ほら、洗ってやるから、もっとこっちに近づいてくれ』

 手招きされるがままに近づくと、ガシッと手を握られてそのままゴシゴシと私の腕を洗い始める女騎士さん。
 いやいやいやいやっ!そこまでしなくても大丈夫ですっ!至れり尽くせりが極まっちゃってますからっ!

 直ぐに体を離して手拭いに手を伸ばす私に対し、手拭いを後ろに引いて首を横に振る女騎士さん。

 『こらっ! だめだったら! 私がちゃんと奇麗にしてやるから! ほら! こっちに来るんだっ!』

 何か怒っている様な口調に、有無を言わさない態度で手招きされる。
 私は女騎士さんにだけは嫌われたくない。なら、言う事を聞くしかない……。
 別に嫌という訳じゃないが、こんな事をされたことが無いのでどうすればいいのやら……。
 恐る恐る近づくと、また微笑みを浮かべて頭を撫でられ、体を洗うのを再開された。

 『よーしよし、いい子だ。ちゃんと奇麗にしてやるからな。じっとしてるんだぞ?』
 「うぅ……」

 優し気な声色から察するに、機嫌は直ったようで少しホッっとする。
 くすぐったいやら恥ずかしいやらで、顔が火照って行くのが解るが、水が冷たいのがせめてもの救いか。
 そうして暫しゴシゴシと洗われるのに身を任せる。

 『うん、ある程度は奇麗になったな。しかし、汚れが落ちたらそんなに可愛い顔をしていたんだな……。しかし、髪が少し痛んでいるか……森で暮らしていたのなら仕方ないが、勿体ないな……。よし、砦に付いたらお風呂に入れてもっと奇麗にしてやるからな』

 何かを私に言っているのであろう女騎士さんの言葉を聞きながら、されるがままに体を洗われる私であった……。

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