森と花の国の王子

あーす。

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接近

寝室に戻るエルデリオン

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 エルデリオンは華奢なレジィリアンスを抱きしめ…あまりの幸福感と快感に、脳どころか身も痺れたような感覚に支配され、放ったと気づいた時、レジィリアンスがもぞ…と動くので、身を離した。
正直、レジィリアンスをじっくり、見たかった。

けれど俯き加減で退こうとするので…反射的に身を起こし、彼が立ち上がり易いように、退く。

振り向くと、レジィリアンスはもう背を向け、自分の寝室に戻って行こうとして…足をヨロめかせるから、慌てて飛び出し、抱き止めた。

腕の中で、見上げて来るレジィリアンスの色白な頬は、真っ赤で。
唇も赤くて…とても愛らしく見え、口づけしたかったけど、言われた。

“ありがとう”

それで…固まっていたら、レジィリアンスは軽く身もがくから。
腕を放すと、レジィリアンスは扉に向かって歩き出し、そして…扉は、閉まった。

暫く、呆然としたけど…。
習慣で股間を戻してズボンを整え、自分の寝室を見る。

そして扉を開けた。

すると暖炉の前の二つの一人掛け用ソファに座る、デルデロッテとロットバルトが同時に振り向く。

正直、一瞬ぎくっ!と身じろいだ。

けれどほぼ背を向けてる椅子の、顔だけをこちらに向けたデルデロッテとロットバルトは、暫く自分を見た後。
デルデロッテが、ロットバルトに向かって手を差し出し、ロットバルトは仕方なさげに胸ポケットを探り、硬貨を手渡していた。

暖炉の炎に煌めく硬貨は、アロン金貨に見え、高価な金貨をなぜロットバルトがデルデロッテに渡しているのだろう?
と首を捻ると、ロットバルトは
「さて…!」
と言って、椅子から立ち上がった。

デルデロッテは不服そうに、扉に向かうロットバルトを見、ぼやく。
「…また、押しつける気か?」

ロットバルトは衣装部屋に続く扉のノブを握り
「俺から金を取っただけじゃ、足りないのか?」
と言いつつ、扉を開けて出て行く。

デルデロッテは不満そうな瞳を、閉まる扉に向け、その後、再び自分に振り向いた。
「上手くいったようですね?」

エルデリオンは“君のお陰だ”と感謝を告げようとし、けれどまだ、欲望を解放した余韻が残っていて、ぼうっとしていたから、話せずにいると。

デルデロッテは目を、見開いた。
「…レジィリアンスに、奉仕を許され…したんですよね?」

エルデリオンは、頷いた。

「…口づけも、許された?」

エルデリオンは首を横に振る。

「では他に何を、許されたんです?」

エルデリオンはつっかえると思ったのに、すらすら口から出た。
「…指より刺激を与えるモノを、挿入してくれと。
…具体的に“挿入”って言葉は、使ってなかったけど」

デルデロッテはまだ、目を見開いていた。
「…つまり入れて。
突いたんですか?」

エルデリオンはゆっくりと、断わりを入れた。
「レジィリアンスの方から、そうしてくれと依頼されて」

次にデルデロッテは、素晴らしい笑顔を披露した。

「…つまり馬車の中で。
まんざら、彼を強引に抱いただけで無く。
ちゃんと、満足させた結果?」

エルデリオンはからかわれ、ふてた顔で、ロットバルトが座っていた椅子に腰掛け、テーブルの上の、ロットバルトの飲み残しのグラスを取って、あおった後、横のデルデロッテを見た。

「君達は私が、強姦魔のように非難したけど。
ちゃんと、舌まで使って彼の後腔を緩めたし。
初めてだからと、傷つけないよう、細心の注意を払ったんだぞ?!」

デルデロッテは、愉快そうに笑った。
「けれど先っぽしか挿入せず、的確に突かなければ。
相手の満足は引き出せない。
…つまり貴方は、満足させたんですね?」

エルデリオンはデルデロッテの笑顔を見て、頬を染めて俯く。
「…自信は無かったけど。
突くと、凄く感じて…色っぽくなったから…。
夢中で、そこを攻め続けて…。
そうするとレジィリアンスは更に乱れて…もう頭に血が上るほど、愛らしく、色っぽくなって…。
だから…」

「本能のなせる技ですか?」

デルデロッテに快活に言われ、エルデリオンは俯いて頷いた。

「…で、その甲斐あって…レジィリアンスに、またして欲しいと。
言われたんですか?」

問われて、エルデリオンは頷きかけ…けれど笑うデルデロッテを見つめ、呟く。
「いや。
君の言うとおり、出来るだけ欲望を抑え、紳士的で控えめな態度を取っていた、お陰だと思う」

デルデロッテはからかうように、笑った。
「つまり、私のお陰?!」

半分冗談で言ったのに、エルデリオンが頷くものだから、デルデロッテは目を見開いた。

「…冗談ですよ…」
「私は本気で。
言ってる」

デルデロッテは微笑んだ。
「では、私に感謝する?」

エルデリオンは頷いた。
けれど直ぐ、尋ねる。
「まだここに居るって、思わなかった。
舞踏会で、約束してなかったの?」

デルデロッテは飲んでたグラスから口を離し、告げる。
「してますけど…いつとは、決めてないので…もう少し、時間はあります」

エルデリオンはそれを聞いた途端、勢い込んでデルデロッテに振り向き、尋ねた。
「じゃあ今後の事について、相談に乗ってくれる?!」

デルデロッテはエルデリオンの、その真剣な喰い付きに目を見開いたけど、呟いた。

「見捨てて出て行く事は、困難そうなお願いだ」

エルデリオンは大きく、頷いた。


一通り状況を話した後、デルデロッテは尋ねる。
「…つまりレジィリアンスは、コトが済んだ後、“ありがとう”以外は何も言わず、自室に戻ってしまった?」

エルデリオンは頷いて問う。
「…この後は…どうすればいい?
正直、馬車の中では口づけもしたし…」
「舌を入れて?」
エルデリオンは頷く。
「かなり長く…しつこく?」
エルデリオンはやっぱり、頬染めて言い訳る。
「…色は薔薇色だし…柔らかくって、愛らしくって…。
止まらなくなって」

デルデロッテはため息交じりに、尋ねる。
「その後は?」

「胸をはだけたら…乳首がピンクで…」
「誘われて、愛撫した?」
「舌と口で」

達人のデルデロッテは、もうそれでナニをしたか、想像出来てる様子だった。

「その後は?」
「彼の…男の印を手で…次に口で。
そうしたら気持ちよさそうだったから…蕾を指で。
次に口と舌でほぐした」

「…で、挿入ですか」
「…流石に、びっくりしたみたいで。
暴れるから、男の印を可愛がりながら。
握って愛撫すると…途端感じて。
もう、そりゃあ…艶っぽくて…」

「なるほど」
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