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接近
王城の外
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エルデリオンとレジィリアンスお茶のがテーブルに戻ると、そこにはロットバルトも座って居て。
エリューンとテリュスは、舞踏会でしつこい少女達から救い出して貰ったせいか、ロットバルト相手に親しげに、盛んに喋りまくっていた。
ラステルは時折り、微笑んで頷き、口を挟むけど。
直ぐお茶のカップを口に持って行って、話から引く。
が、ラステルはやって来る王子二人の姿を見た途端、叫んだ。
「さて!
まだ陽も高い!
乗馬でもしませんか?!」
エルデリオンは、思わず隣のレジィリアンスに振り向く。
レジィリアンスは、ぱっ!と顔を輝かせ、嬉しそうに微笑んで、頷いてた。
レジィリアンスは王家の厩が、とても立派な建物で、つい見入った。
金の王家の紋章入りの、屋根飾り。
白い壁の奥に、手入れされた馬たちが居るらしく、馬丁が引いてやって来る。
短く芝が刈り込まれ、剥き出しの土の部分は慣らされ、木がそこらかしこに生えているのに、落ち葉も落ちてなくて、石畳は白石なのに、くすんでない。
…どこを見ても、手入れされていた。
少し体の小さめの白馬の手綱を手渡され、レジィリアンスは馬を見た。
鞍にも鐙にも、金の洒落た彫刻入り。
エルデリオンは茶の馬で、鼻に白い筋が入ってる。
テリュスやエリューン。
エウロペも、馬を引いた馬丁に手綱を手渡されていたが、どの馬も手入れが行き届き、艶々。
ロットバルトとラステルはもう、馬に跨がって、デルデロッテは黒馬の手綱を手渡されていた。
ラステルは黒馬に跨がるデルデロッテを見、呆れたように言う。
「毎度思いますけど、よくそんな気性の荒い馬に乗りますよね?」
デルデロッテは手綱を繰って、馬の向きを門へと向けながら笑う。
「気が荒いだけで。
とてもいいコだ!」
シュテフザインの皆が見てると、ラステルとロットバルトは顔を見合わせ合って、それぞれ肩を竦めた。
「さて!
王城を出て直ぐの小さな町で、とっておきの酒が頂けます!」
ラステルは酒好きのテリュスに振り向き、そう叫んで微笑みかける。
けれど返事をしたのは、横のロットバルト。
「…ほう、ではデッセルに行くのか?」
ラステルが頷くのを見た後、ロットバルトは目を細め、テリュスに振り向く。
「…あそこの地酒は美味い。
他のどこでも、飲めませんぞ!」
テリュスはそれを聞くと、青い瞳を輝かせた。
「貴方が美味いと言うのなら、そりゃもの凄く、楽しみですな!」
楽しいそうなテリュスにつられ、レジィリアンスも隣のエウロペを見て笑いかける。
エウロペは男らしくも爽やかな笑顔を、レジィリアンスに向けた。
ロットバルトがこっそり、ラステルに囁く。
「美女らに、いい男と思われても、無理も無い」
ラステルも頷く。
「タイプが違うが、宮廷に出たら、デルデロッテの立場も危うくなるな」
その話を聞いた途端、エルデリオンもレジィリアンスまでもが。
悠然と馬に跨がる、気品がありながらも男らしい、美丈夫のデルデロッテに視線を送った。
デルデロッテは、二人の王子だけで無く、テリュスやエリューンにまで振り向かれ、気づいてレジィリアンスの横に馬を付ける、エウロペに視線を振る。
「…確かに見たところ、寝室でのテクは、かなりのものでしょうね」
エウロペは、デルデロッテの言葉を聞いた直後、自分に振り向くテリュスとエリューン。
更にレジィリアンスやエルデリオンにまで見つめられ、エルデリオンの背後に馬を付けてるデルデロッテに振り向き、静かに言い返す。
「…無敵の貴方に、誰が勝てます?」
デルデロッテは肩を竦めた。
「ほら。
相手を持ち上げ、自分から注意をそらす。
…それを、余裕と言うんです」
エウロペは取り合う気が無いように、肩を竦めた。
「戯れ言だ。
私は貴方と違って、女性を口説く手管はまるで持ってない」
デルデロッテは濃紺の、きらりと光る夜闇の瞳を、エウロペに向けた。
「口説かなくとも。
自然体で惹き付ける。
女性達は、灯りに集まる蛾のように、貴方に集まり来るでしょう」
エウロペは横のレジィリアンスが、伊達男のデルデロッテにそう言われた自分を、尊敬の眼差しで見つめるものだから。
慌てて手綱を回し、先頭のラステルとロットバルトに叫んだ。
「出発は、まだですか?!」
ロットバルトは笑顔で拍車をかける。
「エウロペ殿が、焦るとは!」
ラステルも同時に拍車をかけ、愉快そうに笑う。
「滅多に見られない!
デルデロッテに、感謝ですね!」
二騎は一気に速度を上げ、テリュスとエリューンもそれに続く。
エルデリオンはからかわれたデルデロッテとエウロペ、交互に視線を向けながら、慣れた手つきで馬を走らせた。
最後尾のデルデロッテは歯を剥くと
「私を、焚きつけたくせに!
この、タヌキ共!!!」
と叫び、拍車かけてエルデリオンの後に馬を付けた。
レジィリアンスとエウロペは軽やかに馬を繰りながら、担がれたデルデロッテの悔しげな怒鳴り声。
それに続く、先頭の二人…。
デルデロッテ言う所の“タヌキ共”、ロットバルトとラステルの、楽しげな笑い声を聞き、呆れ返った。
エリューンとテリュスは、舞踏会でしつこい少女達から救い出して貰ったせいか、ロットバルト相手に親しげに、盛んに喋りまくっていた。
ラステルは時折り、微笑んで頷き、口を挟むけど。
直ぐお茶のカップを口に持って行って、話から引く。
が、ラステルはやって来る王子二人の姿を見た途端、叫んだ。
「さて!
まだ陽も高い!
乗馬でもしませんか?!」
エルデリオンは、思わず隣のレジィリアンスに振り向く。
レジィリアンスは、ぱっ!と顔を輝かせ、嬉しそうに微笑んで、頷いてた。
レジィリアンスは王家の厩が、とても立派な建物で、つい見入った。
金の王家の紋章入りの、屋根飾り。
白い壁の奥に、手入れされた馬たちが居るらしく、馬丁が引いてやって来る。
短く芝が刈り込まれ、剥き出しの土の部分は慣らされ、木がそこらかしこに生えているのに、落ち葉も落ちてなくて、石畳は白石なのに、くすんでない。
…どこを見ても、手入れされていた。
少し体の小さめの白馬の手綱を手渡され、レジィリアンスは馬を見た。
鞍にも鐙にも、金の洒落た彫刻入り。
エルデリオンは茶の馬で、鼻に白い筋が入ってる。
テリュスやエリューン。
エウロペも、馬を引いた馬丁に手綱を手渡されていたが、どの馬も手入れが行き届き、艶々。
ロットバルトとラステルはもう、馬に跨がって、デルデロッテは黒馬の手綱を手渡されていた。
ラステルは黒馬に跨がるデルデロッテを見、呆れたように言う。
「毎度思いますけど、よくそんな気性の荒い馬に乗りますよね?」
デルデロッテは手綱を繰って、馬の向きを門へと向けながら笑う。
「気が荒いだけで。
とてもいいコだ!」
シュテフザインの皆が見てると、ラステルとロットバルトは顔を見合わせ合って、それぞれ肩を竦めた。
「さて!
王城を出て直ぐの小さな町で、とっておきの酒が頂けます!」
ラステルは酒好きのテリュスに振り向き、そう叫んで微笑みかける。
けれど返事をしたのは、横のロットバルト。
「…ほう、ではデッセルに行くのか?」
ラステルが頷くのを見た後、ロットバルトは目を細め、テリュスに振り向く。
「…あそこの地酒は美味い。
他のどこでも、飲めませんぞ!」
テリュスはそれを聞くと、青い瞳を輝かせた。
「貴方が美味いと言うのなら、そりゃもの凄く、楽しみですな!」
楽しいそうなテリュスにつられ、レジィリアンスも隣のエウロペを見て笑いかける。
エウロペは男らしくも爽やかな笑顔を、レジィリアンスに向けた。
ロットバルトがこっそり、ラステルに囁く。
「美女らに、いい男と思われても、無理も無い」
ラステルも頷く。
「タイプが違うが、宮廷に出たら、デルデロッテの立場も危うくなるな」
その話を聞いた途端、エルデリオンもレジィリアンスまでもが。
悠然と馬に跨がる、気品がありながらも男らしい、美丈夫のデルデロッテに視線を送った。
デルデロッテは、二人の王子だけで無く、テリュスやエリューンにまで振り向かれ、気づいてレジィリアンスの横に馬を付ける、エウロペに視線を振る。
「…確かに見たところ、寝室でのテクは、かなりのものでしょうね」
エウロペは、デルデロッテの言葉を聞いた直後、自分に振り向くテリュスとエリューン。
更にレジィリアンスやエルデリオンにまで見つめられ、エルデリオンの背後に馬を付けてるデルデロッテに振り向き、静かに言い返す。
「…無敵の貴方に、誰が勝てます?」
デルデロッテは肩を竦めた。
「ほら。
相手を持ち上げ、自分から注意をそらす。
…それを、余裕と言うんです」
エウロペは取り合う気が無いように、肩を竦めた。
「戯れ言だ。
私は貴方と違って、女性を口説く手管はまるで持ってない」
デルデロッテは濃紺の、きらりと光る夜闇の瞳を、エウロペに向けた。
「口説かなくとも。
自然体で惹き付ける。
女性達は、灯りに集まる蛾のように、貴方に集まり来るでしょう」
エウロペは横のレジィリアンスが、伊達男のデルデロッテにそう言われた自分を、尊敬の眼差しで見つめるものだから。
慌てて手綱を回し、先頭のラステルとロットバルトに叫んだ。
「出発は、まだですか?!」
ロットバルトは笑顔で拍車をかける。
「エウロペ殿が、焦るとは!」
ラステルも同時に拍車をかけ、愉快そうに笑う。
「滅多に見られない!
デルデロッテに、感謝ですね!」
二騎は一気に速度を上げ、テリュスとエリューンもそれに続く。
エルデリオンはからかわれたデルデロッテとエウロペ、交互に視線を向けながら、慣れた手つきで馬を走らせた。
最後尾のデルデロッテは歯を剥くと
「私を、焚きつけたくせに!
この、タヌキ共!!!」
と叫び、拍車かけてエルデリオンの後に馬を付けた。
レジィリアンスとエウロペは軽やかに馬を繰りながら、担がれたデルデロッテの悔しげな怒鳴り声。
それに続く、先頭の二人…。
デルデロッテ言う所の“タヌキ共”、ロットバルトとラステルの、楽しげな笑い声を聞き、呆れ返った。
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