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エルデリオンの幸福な始まり
ラステルの計らい毎に戸惑うエルデリオンと相変わらずのデルデロッテ
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ラステルが出て言った後。
エルデリオンはデルデロッテに振り向く。
「…あれ…本気かな?」
「どうかな?」
デルデに笑って言われ、エルデリオンはデルデの降って来た唇を、唇で受け止めた。
デルデはエルデリオンの唇を塞ぎ、すっかり…その気になって唇を頬に。
首筋に滑らせながら、エルデリオンの股間を探る。
エルデリオンは真っ赤になって囁いた。
「デルデ…デルデまさ…か今?」
「だって…勃ちかけてる……」
「それはデルデが握る…か…ら…。
…っんっ…」
エルデリオンが感じる喘ぎを上げた、だけで。
アースルーリンドなんて物騒な秘境に逃げなくて済んで、ほっとした気分だったから。
デルデは軽やかな気分で、エルデリオンにのしかかった。
手で、エルデリオンの一物を愛撫しながら。
唇を首筋から胸元に這わせ始める。
エルデリオンはいつの間にかソファに背を倒され、デルデの指がガウンの襟を取り退け、はだけられた胸元に唇が這い始めた時…初めて、焦った。
「…デルデ…デルデ胸…は…ぁ…っ」
握られた一物の先端を指の腹で擦り上げられ、ゆっくり熱い大きな手で握り込んだまま擦られると。
あまりの快感に喉が鳴る。
なのに突然、デルデの唇は乳首に降って…。
エルデリオンの身は、ビクン!と大きく跳ねた。
次にきつく吸い上げられ
「ゃっ!」
エルデリオンはデルデの体の下で激しく身をくねらせ、デルデの頭に手を添える。
けれど無情にも一物を握ってた手が、添えた手首に絡みつき…握られて制された。
一物への甘やかな愛撫が終わり、置き去りにされ、更に望まぬ乳首への愛撫に、エルデリオンは身もがく。
「デルデ、ダメ…っ!
そこ…は…止めて………っ」
エルデリオンがあんまり激しく乱れるので。
デルデロッテは思わずエルデリオンの、持ち上がった腿の下に腿を入れ込む。
あっという間に挿入の体勢を取られされ、エルデリオンはデルデに組み敷かれ、酷く卑猥な気分になって、更に焦った。
背もたれの無い方の手首を握られ、背もたれのある方は…腕がつかえてデルデの背のガウンを握るのが精一杯。
もう両腿持ち上げられ、デルデの膝は脇の横に進み、股間を開かされてデルデの腰と、密着し始める。
「ズルイ…デルデずる…ぅ…んっ…」
蕾にもう、デルデの猛った先端が当たると。
エルデリオンは甘やかに首を振った。
数度、触れては滑る。
狙い損ねてるのかと、目を開ける。
けれどデルデは上体を少し起こし、じっ…と。
きらりと光る濃紺の瞳で見つめてる。
「…わざと…じらしてる?!」
けれど蕾にデルデの熱い…一物の先端が当たると。
エルデリオンは快感を待ち望み、睫を震わせ目を閉じた。
「…欲しい?」
デルデに低音の、ぞくりとする声で尋ねられると、エルデリオンはもう泣いた。
「来て!!!
早くっ!」
デルデは余裕の無いエルデリオンの叫びに、思わず押されて一気に奥まで、挿入した。
「ぁあんっ!」
暫くそのまま、動かないでいると。
エルデリオンはまるで後腔でデルデの一物を堪能してるように…目を閉じ睫を震わせながら、たまらない表情を見せる。
それが…あんまり可愛らしく、初々しい色香に溢れて見えて…。
デルデはずっと、見ていたい。
と思った程。
けれど動かないのにエルデリオンの後腔は収縮し、促されてデルデはゆっくり、腰を引き、そして押しつけた。
「ぅんっ!」
エルデリオンがあまりにも気持ちよさそうに仰け反るので。
デルデもきつく締め付けられて快感に包まれ、くらくらして来た。
いつもの余裕なんてどこかに吹き飛び、思いっきり奥まで抉り上げる。
「ぁああああっ!!!」
エルデリオンは激しい声を上げて背を反り返らす。
…が、きつく締め付けられ、デルデはもう放ってしまいそうで、一瞬、耐えた。
が、思い直して手でエルデリオンの股間を探ると、案の定。
エルデリオンは、既に放ってた。
デルデは思わずぼやく。
「…君としてると、もう絶対女性は満足させられそうに無い」
エルデリオンはぐったり力を抜いて、尋ねる。
「…どうし……て…………?」
デルデはため息吐くと、エルデリオン相手の時は長く保たせようと我慢なんてしなくていい。
と気づき、軽く蕾の中で擦って放った。
エルデリオンは気づき、デルデを見上げる。
デルデは放って艶やかな、男の色香全開の笑顔で告げる。
「…早い君に合わせて。
私もうんと、早くなるから」
エルデリオンはヘイゼルの瞳を潤ませ、抗議する。
「だっ…て……。
君の手に握られると…あんまり気持ちいいし…。
…凄く弱い、乳首に触るし…。
挿入する時、かなりジラされたから…」
デルデは垂れた前髪を片手で梳き上げ、ぼやく。
「…リング…は嫌いなんだよね?」
エルデリオンは少し、ふてくされた。
「…どうしても…って…言うんなら…付けても…いい…けど」
デルデはエルデリオンの上にのしかかり、顔を見つめて囁く。
「でも、我慢するのは嫌。
理由は?」
エルデリオンは俯く。
「だって…あちこちでいつも、王子扱いされる」
「それは君が、王子だから」
「けどその…直ぐ勃っちゃうと…周囲に知られる。
女性が側に居ると…。
熟年の婦人は、嬉しそうに興味津々で伺うし…年若い少女だと…。
ケダモノみたいな目で見られる」
デルデは高い綺麗な鼻筋の、美麗な濃紺の瞳を向けて、からかうように囁く。
「…で、いつも勃っても。
それ以上興奮しないよう、我慢し続けてるから。
解放できる寝室では、一刻も早く、放ちたい?」
エルデリオンは少し恥ずかしげに、頷いた。
けれどその時。
扉ががっっっ!と突然開いて、ラステルが乱入する。
エルデリオンはデルデの下で、真っ赤になって顔を背もたれ側に倒し、隠す。
デルデは素早くラステルに怒鳴った。
「…真っ最中だったら、どうしてたんだ?!」
「だが、終わってる。
さっさと着替えろ!
王と王妃がお呼びだ!」
エルデリオンが上着のボタンを止めてる間。
ラステルは必死に、乱れきったエルデリオンの髪に、櫛を入れてる。
デルデがオットマン(足乗せ用ソファ)に腰掛け、足先にブーツを入れかねてモタついてると。
ラステルは怒鳴る。
「さっさとしろ!」
デルデは思わずラステルを見、ぼやいた。
「君、性格変わってるぞ?」
ラステルは空色の瞳を鋭く輝かせ、言い捨てる。
「今は余裕が無いからな!
オーデ・フォールから紅蜥蜴一味を一掃し始めたため。
奴ら、派手にあちこちの国で動き始めてる。
ヘタすればどこかの王権を紅蜥蜴が握り、戦争仕掛けられる。
今の所、一番危険なのが森と花の王国だ」
デルデはそれを聞いて、呟く。
「エウロペ殿は、知ってる?」
「昨夜、私の部下と彼の一族の長を引き合わせに、国境に飛んでくれた。
こっちも出来るだけ人員を割いて、森と花の王国からも紅蜥蜴を追い出す!」
エルデリオンは不安げに囁く。
「…が、他国でも動いてるんだろう?」
ラステルは頷いた。
「オーデ・フォールは東西に長い。
東の辺境まではなかなか目が届かない。
それで反乱分子は東の地に集結し、王家の遠い血縁の誰かを担ぎ出し、反乱を企んでる!」
デルデは呆れた。
「…そんな折りに…まさか結婚の儀なんて、しないよな?」
ラステルは頷いた。
「そんな折りだから、日程を早めねば!
エルデリオンの背後に、鉄壁の護りを誇る守り刀が、夫として付いて離れないと。
奴らにアピールする為に!」
エルデリオンは目を見開いてデルデを見ると。
デルデは紫がかった紺の上着を隙無く上品に着こなし、宮廷貴公子然と立ち上がり、肩を大きく竦めた。
エルデリオンはデルデロッテに振り向く。
「…あれ…本気かな?」
「どうかな?」
デルデに笑って言われ、エルデリオンはデルデの降って来た唇を、唇で受け止めた。
デルデはエルデリオンの唇を塞ぎ、すっかり…その気になって唇を頬に。
首筋に滑らせながら、エルデリオンの股間を探る。
エルデリオンは真っ赤になって囁いた。
「デルデ…デルデまさ…か今?」
「だって…勃ちかけてる……」
「それはデルデが握る…か…ら…。
…っんっ…」
エルデリオンが感じる喘ぎを上げた、だけで。
アースルーリンドなんて物騒な秘境に逃げなくて済んで、ほっとした気分だったから。
デルデは軽やかな気分で、エルデリオンにのしかかった。
手で、エルデリオンの一物を愛撫しながら。
唇を首筋から胸元に這わせ始める。
エルデリオンはいつの間にかソファに背を倒され、デルデの指がガウンの襟を取り退け、はだけられた胸元に唇が這い始めた時…初めて、焦った。
「…デルデ…デルデ胸…は…ぁ…っ」
握られた一物の先端を指の腹で擦り上げられ、ゆっくり熱い大きな手で握り込んだまま擦られると。
あまりの快感に喉が鳴る。
なのに突然、デルデの唇は乳首に降って…。
エルデリオンの身は、ビクン!と大きく跳ねた。
次にきつく吸い上げられ
「ゃっ!」
エルデリオンはデルデの体の下で激しく身をくねらせ、デルデの頭に手を添える。
けれど無情にも一物を握ってた手が、添えた手首に絡みつき…握られて制された。
一物への甘やかな愛撫が終わり、置き去りにされ、更に望まぬ乳首への愛撫に、エルデリオンは身もがく。
「デルデ、ダメ…っ!
そこ…は…止めて………っ」
エルデリオンがあんまり激しく乱れるので。
デルデロッテは思わずエルデリオンの、持ち上がった腿の下に腿を入れ込む。
あっという間に挿入の体勢を取られされ、エルデリオンはデルデに組み敷かれ、酷く卑猥な気分になって、更に焦った。
背もたれの無い方の手首を握られ、背もたれのある方は…腕がつかえてデルデの背のガウンを握るのが精一杯。
もう両腿持ち上げられ、デルデの膝は脇の横に進み、股間を開かされてデルデの腰と、密着し始める。
「ズルイ…デルデずる…ぅ…んっ…」
蕾にもう、デルデの猛った先端が当たると。
エルデリオンは甘やかに首を振った。
数度、触れては滑る。
狙い損ねてるのかと、目を開ける。
けれどデルデは上体を少し起こし、じっ…と。
きらりと光る濃紺の瞳で見つめてる。
「…わざと…じらしてる?!」
けれど蕾にデルデの熱い…一物の先端が当たると。
エルデリオンは快感を待ち望み、睫を震わせ目を閉じた。
「…欲しい?」
デルデに低音の、ぞくりとする声で尋ねられると、エルデリオンはもう泣いた。
「来て!!!
早くっ!」
デルデは余裕の無いエルデリオンの叫びに、思わず押されて一気に奥まで、挿入した。
「ぁあんっ!」
暫くそのまま、動かないでいると。
エルデリオンはまるで後腔でデルデの一物を堪能してるように…目を閉じ睫を震わせながら、たまらない表情を見せる。
それが…あんまり可愛らしく、初々しい色香に溢れて見えて…。
デルデはずっと、見ていたい。
と思った程。
けれど動かないのにエルデリオンの後腔は収縮し、促されてデルデはゆっくり、腰を引き、そして押しつけた。
「ぅんっ!」
エルデリオンがあまりにも気持ちよさそうに仰け反るので。
デルデもきつく締め付けられて快感に包まれ、くらくらして来た。
いつもの余裕なんてどこかに吹き飛び、思いっきり奥まで抉り上げる。
「ぁああああっ!!!」
エルデリオンは激しい声を上げて背を反り返らす。
…が、きつく締め付けられ、デルデはもう放ってしまいそうで、一瞬、耐えた。
が、思い直して手でエルデリオンの股間を探ると、案の定。
エルデリオンは、既に放ってた。
デルデは思わずぼやく。
「…君としてると、もう絶対女性は満足させられそうに無い」
エルデリオンはぐったり力を抜いて、尋ねる。
「…どうし……て…………?」
デルデはため息吐くと、エルデリオン相手の時は長く保たせようと我慢なんてしなくていい。
と気づき、軽く蕾の中で擦って放った。
エルデリオンは気づき、デルデを見上げる。
デルデは放って艶やかな、男の色香全開の笑顔で告げる。
「…早い君に合わせて。
私もうんと、早くなるから」
エルデリオンはヘイゼルの瞳を潤ませ、抗議する。
「だっ…て……。
君の手に握られると…あんまり気持ちいいし…。
…凄く弱い、乳首に触るし…。
挿入する時、かなりジラされたから…」
デルデは垂れた前髪を片手で梳き上げ、ぼやく。
「…リング…は嫌いなんだよね?」
エルデリオンは少し、ふてくされた。
「…どうしても…って…言うんなら…付けても…いい…けど」
デルデはエルデリオンの上にのしかかり、顔を見つめて囁く。
「でも、我慢するのは嫌。
理由は?」
エルデリオンは俯く。
「だって…あちこちでいつも、王子扱いされる」
「それは君が、王子だから」
「けどその…直ぐ勃っちゃうと…周囲に知られる。
女性が側に居ると…。
熟年の婦人は、嬉しそうに興味津々で伺うし…年若い少女だと…。
ケダモノみたいな目で見られる」
デルデは高い綺麗な鼻筋の、美麗な濃紺の瞳を向けて、からかうように囁く。
「…で、いつも勃っても。
それ以上興奮しないよう、我慢し続けてるから。
解放できる寝室では、一刻も早く、放ちたい?」
エルデリオンは少し恥ずかしげに、頷いた。
けれどその時。
扉ががっっっ!と突然開いて、ラステルが乱入する。
エルデリオンはデルデの下で、真っ赤になって顔を背もたれ側に倒し、隠す。
デルデは素早くラステルに怒鳴った。
「…真っ最中だったら、どうしてたんだ?!」
「だが、終わってる。
さっさと着替えろ!
王と王妃がお呼びだ!」
エルデリオンが上着のボタンを止めてる間。
ラステルは必死に、乱れきったエルデリオンの髪に、櫛を入れてる。
デルデがオットマン(足乗せ用ソファ)に腰掛け、足先にブーツを入れかねてモタついてると。
ラステルは怒鳴る。
「さっさとしろ!」
デルデは思わずラステルを見、ぼやいた。
「君、性格変わってるぞ?」
ラステルは空色の瞳を鋭く輝かせ、言い捨てる。
「今は余裕が無いからな!
オーデ・フォールから紅蜥蜴一味を一掃し始めたため。
奴ら、派手にあちこちの国で動き始めてる。
ヘタすればどこかの王権を紅蜥蜴が握り、戦争仕掛けられる。
今の所、一番危険なのが森と花の王国だ」
デルデはそれを聞いて、呟く。
「エウロペ殿は、知ってる?」
「昨夜、私の部下と彼の一族の長を引き合わせに、国境に飛んでくれた。
こっちも出来るだけ人員を割いて、森と花の王国からも紅蜥蜴を追い出す!」
エルデリオンは不安げに囁く。
「…が、他国でも動いてるんだろう?」
ラステルは頷いた。
「オーデ・フォールは東西に長い。
東の辺境まではなかなか目が届かない。
それで反乱分子は東の地に集結し、王家の遠い血縁の誰かを担ぎ出し、反乱を企んでる!」
デルデは呆れた。
「…そんな折りに…まさか結婚の儀なんて、しないよな?」
ラステルは頷いた。
「そんな折りだから、日程を早めねば!
エルデリオンの背後に、鉄壁の護りを誇る守り刀が、夫として付いて離れないと。
奴らにアピールする為に!」
エルデリオンは目を見開いてデルデを見ると。
デルデは紫がかった紺の上着を隙無く上品に着こなし、宮廷貴公子然と立ち上がり、肩を大きく竦めた。
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