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ドラーケンと対戦するスフォルツァ
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勝ち残った六人は、待たされた。
一年は全員が初戦の為、シード扱いの者はいない。
故に負けた六人から、二人の勝者を迎えねばならない。
敗者六人は、勝ち上がって二人の勝者の内の、一人となれば。
四天王と呼ばれる、勝ち残った四人に這い上がる、可能性が出てくる。
アイリスは横に並ぶ、スフォルツァを伺う。
俯き、まだ微かに、息を弾ませていた。
肩を波打たせ、じっ…と息を整えている。
無理も無い。
フィフィルースは最終四人に残る腕前。
案の定、三組の戦う者達の中で、真っ先に勝ちを取ったのはフィフィルース。
二番目に勝ち上がった相手と、直ぐ対戦を始め、これにも難なく彼のスタイルで勝っていた。
最初は静かな剣合わせ。
が一瞬隙が出来ると途端、激しい攻め一に変する。
これをかわされても、フィフィルースの冷静さは崩れず怒濤の如く攻めまくり、相手は結果体勢を立て直せず崩れ落ちる。
さらりと真っ直ぐな銀髪が激しく波打つ様はまるで…神話の、戦闘神のようで、その動きは隙無く美しい。
『無駄が、全く無い証拠だ…』
スフォルツァはその戦いぶりを見、内心呟いた。
二度目の対戦相手に勝ち、最終八名に入った時。
フィフィルースは自分の戦いぶりを見物していた、勝ち残り組六人の中に並ぶスフォルツァを、顔を上げ上目使いで見据える。
スフォルツァは顔を、上げていた。
まだ少し、息は弾んでいた。
フィフィルースは表情には出さなかった。
が、さらりと真っ直ぐな銀髪を背に滑らせ、少し俯くと吐息を、吐き出した。
スフォルツァはそんなフィフィルースを見つめながら、隣のアイリスに素早くささやく。
「彼と君だ。
俺が万一この中で負けるとしたら…!」
アイリスは言葉が、出なかった。
が、端のドラーケンが怒鳴った。
「軽く勝ちを取れなかった、言い訳だな!」
負け組六人の中でもう一人、勝ち残って姿を見せたのは、やはり大貴族のシャウネス。
彼はそっ…と、勝ち残り六人の端に付く、フィフィルースの横に並んだ。
最終四人を選ぶ対戦が、始まる。
正直ここからが、本番だった。
残る八人に、上級生達の視線が一斉に喰い込む。
ラッツとドラーケンを残し、後は皆が大貴族。
八人は二列に分かれ、互いに相手を睨み合う。
アイリスの向かいに居た相手は、ラッツだった。
アイリスはその、そばかすの目立つ粗野な顔を見つめる。
アイリスは正直、気迫籠もるラッツの顔に、勝てるかどうかを伺った。
彼になら。
負けても構わなかった。
“どうする?
スフォルツァのみに負ければいいが、ラッツにも勝ちを譲るか?”
が打ち合い始め、打ちかかるラッツの、足を軽快に使った左右の大きな揺さぶりに。
重しを全身に付け、動きを制限されたアイリスが、押され続けたのは確か。
“覆すか?”
が、みる間に息が上がる。
体勢を、整える間も与えず軽い剣捌きで。
右に左に大きく揺さぶられ、それに剣を合わせるのは正直、大変だった。
姿勢が崩れた一瞬、瞬時に止めの剣を、ラッツが繰り出す。
止めようかとも一瞬迷い…が結果アイリスは、しなかった。
その切っ先が、自分の胸元に、突きつけられるに任せた。
ぉぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっ!
講堂中に、どよめき声が響き渡る。
今度は間違いなく、自分が負けたせいだと、アイリスには解った。
あまり、無いに違いない。
大貴族が…。
しかも学年筆頭の大貴族が。
平貴族に負ける場は、この教練では。
どよめきはいつまで経っても収まらず、負けた自分へ注がれる上級生達の視線は、痛い程だった。
スフォルツァはドラーケンと激しい打ち合いをしていた。
が、それでも驚愕に目を見開き、チラと視線を自分へ投げているのを、アイリスは見る。
カン…!
しつこいドラーケンの激しい剣を幾度も叩き落とし、スフォルツァはそれでもまだしつこく斬り込んで来る、ドラーケンの力こもる剣を、しなやかに身を倒し避ける。
ドラーケンはまるで怒りをぶつけるように、剣を感情のまま叩きつけ。
スフォルツァはその激しい剣に剣を合わせ、身を振り、避け…。
また弾きながら、止めの剣を、入れる隙を伺っていた。
「やっぱ一年坊主だな?」
「あんなに力任せに振ったら、先に剣が折れて負けるぜ…!」
その通りだった。
それまで立て続けに激しい剣を繰り出していた、ドラーケンの顔が一瞬歪む。
振った拍子に手にした剣は、柄の先で、横にぐらつく。
それ以降明らかに、打ちかかる威力を抑えていた。
“後二度…。
スフォルツァと今まで道理剣を合わせれば、折れるのは俺の剣”
ドラーケンの苦しげに歪む表情は、そう語ってた。
一気だった。
動揺を見せたドラーケンの、一瞬の隙に懐に飛び込んで。
スフォルツァがその剣を、ドラーケンの腹に突き付けたのは。
ドラーケンはぐっ!とその俊敏な早業に、息を飲む。
「それ迄!」
講師の声に、ドラーケンの顔が憤怒の表情に変わった。
悔しさを微塵も隠そうとせず、折れそうだった剣を、怒りのまま床に叩きつける。
ガッ!
カラン…!
剣は柄の、ほんの手前で折れ、床に転がった。
一年は全員が初戦の為、シード扱いの者はいない。
故に負けた六人から、二人の勝者を迎えねばならない。
敗者六人は、勝ち上がって二人の勝者の内の、一人となれば。
四天王と呼ばれる、勝ち残った四人に這い上がる、可能性が出てくる。
アイリスは横に並ぶ、スフォルツァを伺う。
俯き、まだ微かに、息を弾ませていた。
肩を波打たせ、じっ…と息を整えている。
無理も無い。
フィフィルースは最終四人に残る腕前。
案の定、三組の戦う者達の中で、真っ先に勝ちを取ったのはフィフィルース。
二番目に勝ち上がった相手と、直ぐ対戦を始め、これにも難なく彼のスタイルで勝っていた。
最初は静かな剣合わせ。
が一瞬隙が出来ると途端、激しい攻め一に変する。
これをかわされても、フィフィルースの冷静さは崩れず怒濤の如く攻めまくり、相手は結果体勢を立て直せず崩れ落ちる。
さらりと真っ直ぐな銀髪が激しく波打つ様はまるで…神話の、戦闘神のようで、その動きは隙無く美しい。
『無駄が、全く無い証拠だ…』
スフォルツァはその戦いぶりを見、内心呟いた。
二度目の対戦相手に勝ち、最終八名に入った時。
フィフィルースは自分の戦いぶりを見物していた、勝ち残り組六人の中に並ぶスフォルツァを、顔を上げ上目使いで見据える。
スフォルツァは顔を、上げていた。
まだ少し、息は弾んでいた。
フィフィルースは表情には出さなかった。
が、さらりと真っ直ぐな銀髪を背に滑らせ、少し俯くと吐息を、吐き出した。
スフォルツァはそんなフィフィルースを見つめながら、隣のアイリスに素早くささやく。
「彼と君だ。
俺が万一この中で負けるとしたら…!」
アイリスは言葉が、出なかった。
が、端のドラーケンが怒鳴った。
「軽く勝ちを取れなかった、言い訳だな!」
負け組六人の中でもう一人、勝ち残って姿を見せたのは、やはり大貴族のシャウネス。
彼はそっ…と、勝ち残り六人の端に付く、フィフィルースの横に並んだ。
最終四人を選ぶ対戦が、始まる。
正直ここからが、本番だった。
残る八人に、上級生達の視線が一斉に喰い込む。
ラッツとドラーケンを残し、後は皆が大貴族。
八人は二列に分かれ、互いに相手を睨み合う。
アイリスの向かいに居た相手は、ラッツだった。
アイリスはその、そばかすの目立つ粗野な顔を見つめる。
アイリスは正直、気迫籠もるラッツの顔に、勝てるかどうかを伺った。
彼になら。
負けても構わなかった。
“どうする?
スフォルツァのみに負ければいいが、ラッツにも勝ちを譲るか?”
が打ち合い始め、打ちかかるラッツの、足を軽快に使った左右の大きな揺さぶりに。
重しを全身に付け、動きを制限されたアイリスが、押され続けたのは確か。
“覆すか?”
が、みる間に息が上がる。
体勢を、整える間も与えず軽い剣捌きで。
右に左に大きく揺さぶられ、それに剣を合わせるのは正直、大変だった。
姿勢が崩れた一瞬、瞬時に止めの剣を、ラッツが繰り出す。
止めようかとも一瞬迷い…が結果アイリスは、しなかった。
その切っ先が、自分の胸元に、突きつけられるに任せた。
ぉぉおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっ!
講堂中に、どよめき声が響き渡る。
今度は間違いなく、自分が負けたせいだと、アイリスには解った。
あまり、無いに違いない。
大貴族が…。
しかも学年筆頭の大貴族が。
平貴族に負ける場は、この教練では。
どよめきはいつまで経っても収まらず、負けた自分へ注がれる上級生達の視線は、痛い程だった。
スフォルツァはドラーケンと激しい打ち合いをしていた。
が、それでも驚愕に目を見開き、チラと視線を自分へ投げているのを、アイリスは見る。
カン…!
しつこいドラーケンの激しい剣を幾度も叩き落とし、スフォルツァはそれでもまだしつこく斬り込んで来る、ドラーケンの力こもる剣を、しなやかに身を倒し避ける。
ドラーケンはまるで怒りをぶつけるように、剣を感情のまま叩きつけ。
スフォルツァはその激しい剣に剣を合わせ、身を振り、避け…。
また弾きながら、止めの剣を、入れる隙を伺っていた。
「やっぱ一年坊主だな?」
「あんなに力任せに振ったら、先に剣が折れて負けるぜ…!」
その通りだった。
それまで立て続けに激しい剣を繰り出していた、ドラーケンの顔が一瞬歪む。
振った拍子に手にした剣は、柄の先で、横にぐらつく。
それ以降明らかに、打ちかかる威力を抑えていた。
“後二度…。
スフォルツァと今まで道理剣を合わせれば、折れるのは俺の剣”
ドラーケンの苦しげに歪む表情は、そう語ってた。
一気だった。
動揺を見せたドラーケンの、一瞬の隙に懐に飛び込んで。
スフォルツァがその剣を、ドラーケンの腹に突き付けたのは。
ドラーケンはぐっ!とその俊敏な早業に、息を飲む。
「それ迄!」
講師の声に、ドラーケンの顔が憤怒の表情に変わった。
悔しさを微塵も隠そうとせず、折れそうだった剣を、怒りのまま床に叩きつける。
ガッ!
カラン…!
剣は柄の、ほんの手前で折れ、床に転がった。
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