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レイファスの見解
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食後も二人の母親は喋り続け、ファントレイユはセフィリアに
「レイファスとゲームをしたら?」
と言われ、頷くとレイファスに振り向き、微笑む。
レイファスはファントレイユに付いて次の間の、盤がそのままテーブルになった横の椅子にかけると、ファントレイユは向かいにかける。
「やったこと、ある?」
レイファスは、頷く。
古びて歴史感じる盤を観察している時、視線感じ、顔上げるとやっぱりファントレイユは頬染めているから、レイファスは思った。
『まだ僕の事、女の子と思ってるんだ…!』
途端、無性に腹が立って、もうズボンを降ろそうか。
と思ったが、どうやら…あれは他の人には、もの凄いショックを与えるようだったから、我慢した。
ファントレイユが、盤上の駒を動かしてる。
綺麗な彫刻の騎士の駒動かしてる時のファントレイユは、やたら嬉しげで、頬染めて誇らしげにしてたりするから、レイファスはつい
『人間に見えない癖に…一人前に騎士に、憧れたりしてるんだ』
と思った。
女の子だと思われてる。
と意識すると途端、顔がむすっ!となる。
ふ…と気づく。
ファントレイユの寝台で一緒に寝るんだったら、着替えの時に見せてやれば、誤解は解ける。
レイファスは一気に、軽やかな気分に成った。
けれど…人間じゃない。
と侮っていたファントレイユは意外に賢く…ゲームで負けそうになってレイファスはむかっ腹立った。
このゲームが得意。とか抜かしてた偉そうなジジイですら、負かしてやったのに!
レイファスは、追い詰められてひっくり返し、また追い詰められてひっくり返し、またまた追い詰められた時…とうとう、ほぼ負けが確定した。
やっぱり悔しくて悔しくて腹が立ったが、ファントレイユは相手が女の子だと思ったのか、最後の最後、最悪に馬鹿な手を打って自分から負けた。
今迄この、ゲームの熟達者の自分相手にあんな凄い手打ってきた相手とは思えない程の、大チョンボ。
レイファスは呆れてファントレイユを見た。
ファントレイユははにかむように頬染め、少し俯いて横へ顔傾け、吐息を吐き出していた。
レイファスは…さては自分が女の子に見えるから…(じゃなく女の子だと思ってるから)手加減したな!
と気づき、猛烈誇りを傷付けられて腸(はらわた)が煮えくり返った。
後で…聞いてやろう。
僕の男の子の印。を見せた後。
『僕が男の子でも、わざと負けして僕を勝たせたか?』
って。
女中がやって来る。
「セフィリア様が、そろそろお休みを。と」
ファントレイユは大人しく頷くと、ゲームの駒を片付け始める。
レイファスはいつも、散らかしたまま。
片付けなんて、した事が無かったから、ファントレイユの白い手が動くのを黙って見ていた。
ファントレイユが顔上げて見るから、マズイかな?と思い手を、出そうとするとファントレイユが囁く。
「いいよ。
どこにしまうか、僕知ってるから」
見つめる瞳には、御姫様を庇う騎士気取りなのが見て取れて、レイファスはまた、むかっ腹立って思った。
『僕の、男の子の印見てもそんな風に出来るのか、後で絶対聞いてやる!』
ファントレイユは母親、セフィリアの元へ行くと、そっと寄って頬にキスする。
アリシャがさっ!と自分に振り向くので、レイファスも仕方なしに、ファントレイユに習ってアリシャの頬に、お休み。のキスをした。
ファントレイユの後に続いて、もう一度廊下を歩く。
もう外は真っ暗で、その廊下がどこか古びて歴史を感じさせ、突然狼藉者との戦いを想像し、レイファスはちょっとわくわくした。
レイファスの自宅はここより広かったけれど庶民的で、騎士を連想させる雰囲気が、まるで無かったから。
ファントレイユは部屋の前で、扉開ける前、ちょっと躊躇って…はにかんで、扉開けて横に控える。
レイファスは御姫様のように部屋に通され、騎士になろうとする人形みたいなファントレイユについ、呆れて視線、送った。
ファントレイユは俯いていたから、気づかなかったようだ。
寝間着を寝台の上に置かれているのを見つけ、レイファスはやっと…!
と、今日一日の苦労を、思いやった。
………そう言えばいつも喋りまくる自分が、今日に限ってロクに喋ってない。
もう、疲れ切っていたから寝台横に付くと寝間着を無意識に着替え始める。
やっぱり、脱いだ物をそこらに脱ぎ散らかして。
寝間着に着替えるとあくびが出たから、そのまま布団めくり潜り込んで、ファントレイユの事なんか、綺麗に忘れて眠り込んだ。
朝。
小鳥がちゅんちゅん。と鳴く声で、はっ!と目を覚ます。
つい、飛び起きる!
見ると…横でファントレイユが、とてもあどけない寝顔を自分に向けて眠っていて、床に脱ぎ散らかした衣服は椅子の上にちゃんと、畳んで置いてあって………上着は椅子の背に、かけてあった。
レイファスは暫く呆然と…朝日差す見慣れぬ整頓されきった室内を、見つめていた。
必死で、思い出そうとする。
それで…自分は、したんだっけ?
ファントレイユに…ちゃんと男の子だと、教えたんだっけ???
疑問符だらけで惚けていると、ファントレイユがうっすら…と瞳、開ける。
淡いブルーグレーの瞳はやっぱり朝日の中、宝石のようだった。
暫くぼうっ…と、半身起こすレイファスを見つめ、思い出したように頬染めて微笑むのを見て、レイファスは一気に断崖から落ちた気がした。
彼は、まだ、自分が、女の子だと思ってる!!!
ひゅるるるるるるるるるるるる…………。
落ちて風切る、音が頭に鳴り響く。
レイファスは布団の端握りしめながら、爽やかな朝の日差しの中、どうして誰も自分が男の子だと、先にファントレイユに言っとていくれないんだ!
と、他人のせいにして腹立ちを晴らした。
だけどもう限界だったから、寝台の上に立ち上がると咄嗟にファントレイユの真ん前で、寝間着を一気に脱ぎ捨てて真っ裸になった。
でも朝っぱらから卒倒されても困るから、一瞬で飛んで寝台から降りると、椅子にかけられた衣服を取り上げてシャツを羽織る。
ズボンを履き、ブーツを履いて振り向く。
ファントレイユの、びっくりして目見開く顔、想像して笑いが洩れたが、心の中では彼が卒倒した時に備えて身構えた。
…………ファントレイユは………布団に顔埋め、眠っていた。
何も気づかず。
安らかに……………。
それから、レイファスは起きて着替えたファントレイユと朝食の食堂に行く間、三度も。
ファントレイユの、足の先を踏んづけた。
三度とも、ファントレイユは声を上げず、代わりに顔を痛みで、歪め続けた…………。
朝食の席で、アリシャにレイファスは声高に告げた。
「僕、お祖父様との約束を忘れてた。
今日だったんだ」
アリシャの、顔色が変わった。
お祖父様。とはカレアスの父親。
少し離れた土地に住んでいて、ちょっと足が不自由だったから、レイファスの方から馬車で通ってた。
レイファスとの約束が果たされないとあの手この手使って、嫌味な使者を送って寄越す、アリシャにとって最悪に厄介な人物。
最もお祖父さんもカレアスと、レイファスの様子を知っていて、何か困った時は自分の名を出していい。
と、笑ってウィンクして言ってくれた。
レイファスはアリシャの様子見て、告げる。
「お祖父様は僕が行けば問題ないから。
アリシャはもう少し、ここに居たら?」
アリシャはお祖父様が苦手だったから、レイファスの提案に飛び付く。
けれど口調は
「貴方一人で無事帰れる?」
と一応心配のフリをする。
セフィリアがすかさず
「腕の立つ騎士を、馬車の護衛に付けるわ」
と言い、レイファスは頷く。
「まだ、いっぱいセフィリアとお話したいんでしょう?」
アリシャはでもまだ、囁いた。
「貴方は?
ファントレイユは…とても残念そうよ?」
レイファスが視線振ると、ファントレイユは泣き出しそうだった。
けどその表情が、滅多に出来ない
『御姫様を護る騎士ごっこ』
が終了した事の残念だと、知っていたレイファスはふい。と顔背ける。
「また、ここに遊びに来ればいいし。
ともかく、今回はお祖父様と先にお約束したから」
セフィリアが
「まあ!
可愛いだけでなく、なんて利発なんでしょう!」
と瞳輝かせるので、アリシャは自慢げに頷く。
「…そうなのよ!
その点は私にもカレアスにも、似てないの!」
レイファスはファントレイユが、少ししょげて…けれど母親が利発。と褒める従兄弟をそれでも、暖かく微笑んで見つめるのに、また、むかっ腹だった。
『どうして、僕!
って言ってるのにまだ、女の子だと思ってるんだ?!』
だから、玄関脇で佇むファントレイユに、別れの挨拶代わりに聞いてやった。
「僕。
って普通、男の子が使う言葉だと思わない?」
ファントレイユは洒落だと思ったのか微笑んで
「粋な女の子は男の子の服装してる時
“僕”って自分の事、言うんだよね?」
反射だった。
止めようが無かった。
気づいたら足、思いっきり振り上げて、ファントレイユの足先をガツン!と踏みつけていた。
暫く、ファントレイユを見た。
長い髪に顔隠し俯き、結局最後迄
『痛っ!』
と声、上げなかった。
レイファスはつい、腹立ちのままだかだかと靴踏み鳴らし、白いお洒落な横長の、石で出来た階段降り馬車に乗り込んだ。
セフィリアとアリシャが馬車の窓口で交互に別れを言い、レイファスは多分足が痛み、玄関脇から動けない、人形のように綺麗なファントレイユを、馬車が向き変え、その姿が見えなくなるまで、睨み続けていた。
「レイファスとゲームをしたら?」
と言われ、頷くとレイファスに振り向き、微笑む。
レイファスはファントレイユに付いて次の間の、盤がそのままテーブルになった横の椅子にかけると、ファントレイユは向かいにかける。
「やったこと、ある?」
レイファスは、頷く。
古びて歴史感じる盤を観察している時、視線感じ、顔上げるとやっぱりファントレイユは頬染めているから、レイファスは思った。
『まだ僕の事、女の子と思ってるんだ…!』
途端、無性に腹が立って、もうズボンを降ろそうか。
と思ったが、どうやら…あれは他の人には、もの凄いショックを与えるようだったから、我慢した。
ファントレイユが、盤上の駒を動かしてる。
綺麗な彫刻の騎士の駒動かしてる時のファントレイユは、やたら嬉しげで、頬染めて誇らしげにしてたりするから、レイファスはつい
『人間に見えない癖に…一人前に騎士に、憧れたりしてるんだ』
と思った。
女の子だと思われてる。
と意識すると途端、顔がむすっ!となる。
ふ…と気づく。
ファントレイユの寝台で一緒に寝るんだったら、着替えの時に見せてやれば、誤解は解ける。
レイファスは一気に、軽やかな気分に成った。
けれど…人間じゃない。
と侮っていたファントレイユは意外に賢く…ゲームで負けそうになってレイファスはむかっ腹立った。
このゲームが得意。とか抜かしてた偉そうなジジイですら、負かしてやったのに!
レイファスは、追い詰められてひっくり返し、また追い詰められてひっくり返し、またまた追い詰められた時…とうとう、ほぼ負けが確定した。
やっぱり悔しくて悔しくて腹が立ったが、ファントレイユは相手が女の子だと思ったのか、最後の最後、最悪に馬鹿な手を打って自分から負けた。
今迄この、ゲームの熟達者の自分相手にあんな凄い手打ってきた相手とは思えない程の、大チョンボ。
レイファスは呆れてファントレイユを見た。
ファントレイユははにかむように頬染め、少し俯いて横へ顔傾け、吐息を吐き出していた。
レイファスは…さては自分が女の子に見えるから…(じゃなく女の子だと思ってるから)手加減したな!
と気づき、猛烈誇りを傷付けられて腸(はらわた)が煮えくり返った。
後で…聞いてやろう。
僕の男の子の印。を見せた後。
『僕が男の子でも、わざと負けして僕を勝たせたか?』
って。
女中がやって来る。
「セフィリア様が、そろそろお休みを。と」
ファントレイユは大人しく頷くと、ゲームの駒を片付け始める。
レイファスはいつも、散らかしたまま。
片付けなんて、した事が無かったから、ファントレイユの白い手が動くのを黙って見ていた。
ファントレイユが顔上げて見るから、マズイかな?と思い手を、出そうとするとファントレイユが囁く。
「いいよ。
どこにしまうか、僕知ってるから」
見つめる瞳には、御姫様を庇う騎士気取りなのが見て取れて、レイファスはまた、むかっ腹立って思った。
『僕の、男の子の印見てもそんな風に出来るのか、後で絶対聞いてやる!』
ファントレイユは母親、セフィリアの元へ行くと、そっと寄って頬にキスする。
アリシャがさっ!と自分に振り向くので、レイファスも仕方なしに、ファントレイユに習ってアリシャの頬に、お休み。のキスをした。
ファントレイユの後に続いて、もう一度廊下を歩く。
もう外は真っ暗で、その廊下がどこか古びて歴史を感じさせ、突然狼藉者との戦いを想像し、レイファスはちょっとわくわくした。
レイファスの自宅はここより広かったけれど庶民的で、騎士を連想させる雰囲気が、まるで無かったから。
ファントレイユは部屋の前で、扉開ける前、ちょっと躊躇って…はにかんで、扉開けて横に控える。
レイファスは御姫様のように部屋に通され、騎士になろうとする人形みたいなファントレイユについ、呆れて視線、送った。
ファントレイユは俯いていたから、気づかなかったようだ。
寝間着を寝台の上に置かれているのを見つけ、レイファスはやっと…!
と、今日一日の苦労を、思いやった。
………そう言えばいつも喋りまくる自分が、今日に限ってロクに喋ってない。
もう、疲れ切っていたから寝台横に付くと寝間着を無意識に着替え始める。
やっぱり、脱いだ物をそこらに脱ぎ散らかして。
寝間着に着替えるとあくびが出たから、そのまま布団めくり潜り込んで、ファントレイユの事なんか、綺麗に忘れて眠り込んだ。
朝。
小鳥がちゅんちゅん。と鳴く声で、はっ!と目を覚ます。
つい、飛び起きる!
見ると…横でファントレイユが、とてもあどけない寝顔を自分に向けて眠っていて、床に脱ぎ散らかした衣服は椅子の上にちゃんと、畳んで置いてあって………上着は椅子の背に、かけてあった。
レイファスは暫く呆然と…朝日差す見慣れぬ整頓されきった室内を、見つめていた。
必死で、思い出そうとする。
それで…自分は、したんだっけ?
ファントレイユに…ちゃんと男の子だと、教えたんだっけ???
疑問符だらけで惚けていると、ファントレイユがうっすら…と瞳、開ける。
淡いブルーグレーの瞳はやっぱり朝日の中、宝石のようだった。
暫くぼうっ…と、半身起こすレイファスを見つめ、思い出したように頬染めて微笑むのを見て、レイファスは一気に断崖から落ちた気がした。
彼は、まだ、自分が、女の子だと思ってる!!!
ひゅるるるるるるるるるるるる…………。
落ちて風切る、音が頭に鳴り響く。
レイファスは布団の端握りしめながら、爽やかな朝の日差しの中、どうして誰も自分が男の子だと、先にファントレイユに言っとていくれないんだ!
と、他人のせいにして腹立ちを晴らした。
だけどもう限界だったから、寝台の上に立ち上がると咄嗟にファントレイユの真ん前で、寝間着を一気に脱ぎ捨てて真っ裸になった。
でも朝っぱらから卒倒されても困るから、一瞬で飛んで寝台から降りると、椅子にかけられた衣服を取り上げてシャツを羽織る。
ズボンを履き、ブーツを履いて振り向く。
ファントレイユの、びっくりして目見開く顔、想像して笑いが洩れたが、心の中では彼が卒倒した時に備えて身構えた。
…………ファントレイユは………布団に顔埋め、眠っていた。
何も気づかず。
安らかに……………。
それから、レイファスは起きて着替えたファントレイユと朝食の食堂に行く間、三度も。
ファントレイユの、足の先を踏んづけた。
三度とも、ファントレイユは声を上げず、代わりに顔を痛みで、歪め続けた…………。
朝食の席で、アリシャにレイファスは声高に告げた。
「僕、お祖父様との約束を忘れてた。
今日だったんだ」
アリシャの、顔色が変わった。
お祖父様。とはカレアスの父親。
少し離れた土地に住んでいて、ちょっと足が不自由だったから、レイファスの方から馬車で通ってた。
レイファスとの約束が果たされないとあの手この手使って、嫌味な使者を送って寄越す、アリシャにとって最悪に厄介な人物。
最もお祖父さんもカレアスと、レイファスの様子を知っていて、何か困った時は自分の名を出していい。
と、笑ってウィンクして言ってくれた。
レイファスはアリシャの様子見て、告げる。
「お祖父様は僕が行けば問題ないから。
アリシャはもう少し、ここに居たら?」
アリシャはお祖父様が苦手だったから、レイファスの提案に飛び付く。
けれど口調は
「貴方一人で無事帰れる?」
と一応心配のフリをする。
セフィリアがすかさず
「腕の立つ騎士を、馬車の護衛に付けるわ」
と言い、レイファスは頷く。
「まだ、いっぱいセフィリアとお話したいんでしょう?」
アリシャはでもまだ、囁いた。
「貴方は?
ファントレイユは…とても残念そうよ?」
レイファスが視線振ると、ファントレイユは泣き出しそうだった。
けどその表情が、滅多に出来ない
『御姫様を護る騎士ごっこ』
が終了した事の残念だと、知っていたレイファスはふい。と顔背ける。
「また、ここに遊びに来ればいいし。
ともかく、今回はお祖父様と先にお約束したから」
セフィリアが
「まあ!
可愛いだけでなく、なんて利発なんでしょう!」
と瞳輝かせるので、アリシャは自慢げに頷く。
「…そうなのよ!
その点は私にもカレアスにも、似てないの!」
レイファスはファントレイユが、少ししょげて…けれど母親が利発。と褒める従兄弟をそれでも、暖かく微笑んで見つめるのに、また、むかっ腹だった。
『どうして、僕!
って言ってるのにまだ、女の子だと思ってるんだ?!』
だから、玄関脇で佇むファントレイユに、別れの挨拶代わりに聞いてやった。
「僕。
って普通、男の子が使う言葉だと思わない?」
ファントレイユは洒落だと思ったのか微笑んで
「粋な女の子は男の子の服装してる時
“僕”って自分の事、言うんだよね?」
反射だった。
止めようが無かった。
気づいたら足、思いっきり振り上げて、ファントレイユの足先をガツン!と踏みつけていた。
暫く、ファントレイユを見た。
長い髪に顔隠し俯き、結局最後迄
『痛っ!』
と声、上げなかった。
レイファスはつい、腹立ちのままだかだかと靴踏み鳴らし、白いお洒落な横長の、石で出来た階段降り馬車に乗り込んだ。
セフィリアとアリシャが馬車の窓口で交互に別れを言い、レイファスは多分足が痛み、玄関脇から動けない、人形のように綺麗なファントレイユを、馬車が向き変え、その姿が見えなくなるまで、睨み続けていた。
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