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ばーちゃんのバッグは世界一!

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ーー チサト side ーー

今日は朝ごはんを食べて洗濯をして。干すの手伝ってもらえてあっという間に終わった。

それから2人でお出かけ!

コリンさんのお店は雑貨屋さんで、日用品から下着や靴下、ちょっとした調理用品も売ってるので、見ていて楽しい。

「こんにちは~」
「いらっしゃ…… あ! チサトくん!!」
「コリンさん! こんにちは」
「ぅわっ! ととと……」
「どうしたんですか?」
「いやぁ、新商品を試してくれって言われてね。体が弾んで早く歩ける靴らしいんだけどバランスが取りにくくて困ってるんだ」

ネットニュースで見たドクターNのぴょんぴょんシューズに似てる……

「……広い所で遊べたら楽しそうですね……」
「ぴょんぴょんシューズ……?」
「あ、似たものを見た事があって……」
「それは危なくなかった? これ足で着地できないと怪我するんだよ?」
「…………………………ええと」

それはそれとして、明後日お邪魔する約束をしてトランクスを買って店を出た。トランクス! ふんどしじゃない!


そして町を歩いていると、兄弟らしき子供達が目に付いた。

「わぁ、かわいい」
「ん?」
「ほら、あの子。あぁ! 泣き出しちゃった! 行こう!」

小さい子が躓いて持っていたカゴを落とした。中に果物と玉子が見えたけど大丈夫かな? 駆け寄って見るとカゴの持ち手が壊れていた。

幸い玉子は割れなかったらしいけど、お兄ちゃんの方も泣きそうだ。

「大丈夫? お手伝いして良い?」
「……だれ?」

声をかけたら警戒された。うん、えらい!

「孤児院の先生だよ。あと、こっちの人は警備隊の隊長さん」
「けいびたい……」

目の前のお店の人がフィールの身元を証明してくれて、男の子も信用してくれたようだ。でも手伝っても良いかと言う申し出は小さい方の子に拒否された。

「にぃちゃだから できるの!」
「すごいね、えらいね。でもカゴ壊れちゃったみたいだよ? これ、使ってみない?」

ばーちゃん直伝の三角バッグ。孤児院でも大人気!

不思議そうに見つめる2人の前に広げてカゴが底になるように入れた。そしてチビちゃんに袈裟懸けになるよう、持ち手を調節しつつ結んだ。

「ほら、これで持ちやすくなったでしょ?」

果物と玉子を入れてもそれほど重く感じないと思う。チビちゃんの顔が輝いた。

「にぃ、これしゅごい! もっともてる!」
「よかったな。おにいちゃんたち、ありがとう」
「まだあるからあげる。使ってね」
「しらないひとからものをもらっちゃダメっていわれてる……」
「あ、そっか。じゃあ貸してあげる。いつでも良いから使い終わったら孤児院か警備隊詰所に届けてくれる?」
「うん!」

お兄ちゃんの方は体に不釣り合いな大きなバッグに重そうなお芋を入れてもらってる。お父さんかお母さんのバッグかな?ブンブン手を振る2人を笑顔で見送り、カフェで食事をした。

「ねえ、子供用のカバンとかリュックってないの?」
「子供は成長が早いからバッグ類は大人サイズがほとんどだな」
「そっか。あ、コリンさんのお店に三角バッグ置いてもらったら売れるかな?」
「私には分からないが、コリンに相談してみても良いんじゃないか?」

よし!
見本を作って明後日持って行こう。

僕たちの家にはまだ古くなったシーツはない。ここは思い切って布を買っちゃおう。売り込みには見栄えも必要だよね。

夕飯の買い物の前に仕立屋さんで少し布を買った。話をしたらちょうど良いハギレがあると言って出してくれたので厚手の綿生地っぽいハギレと丈夫な糸を買った。ミシンがあれば嬉しいんだけど、構造が分からないから説明できないし、こちらでは手縫いが普通らしい。

あ!!
裁縫道具が家にない!!

もう一度コリンさんのお店に行って、裁縫セットと、ついでにボタンも買った。

ゆっくりして欲しいから、と言われ夕食も買って帰る事になった。少しでも一緒の時間が欲しいなんて囁かれたら断る選択肢なんてない!

いつも通りおしゃべり……と言うか、おれの話を聞いてもらいながら帰った。



「今夜も少しだけ飲もうか?」

これはもしかして下心的発言だろうか?
でも実はおれも少し……その……くっつきたい気持ちが……

「うん、飲む……」

そう答えるとフィールが優しく微笑んで甘いお酒をグラスに注いでくれた。
つまみは異世界共通ナッツ&ドライフルーツ。

「あ! このナッツ美味しい」
「どれ?」
「これ!」

フィールがニコニコしながら口を開けるので美味しかったナッツを口に入れてあげる。美味い、って笑ってくれて、それだけで嬉しくなっちゃう。なんか、どんどんフィールを好きになってる?

どきどきしてつい、一口が多くなる。ペースが早くなって1杯目を飲み終わる頃にはすでに酔いが回ってしまった。ふわふわする。

「ふぃーる」
「ん?」
「ふぃーる?」
「ふふふ……酔ったのか?」
「ん。よったの。だから、ね?」
「んっ……」

自主的にフィールの膝に乗ってキスをする。
はむはむと唇を啄ばむようにいたずらをして、ぺろりと下唇を舐めれば舌先をちゅっと吸ってから迎え入れてくれる。そのまま舌を絡めればじわじわと体が熱くなった。

「んちゅ…… もっと……」
「ん……」

口づけしたまま抱き上げられてベッドに運ばれ、3日ぶりの触れ合いで甘く優しく蕩かされた。
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