いつまででも甘えたい

香月ミツほ

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パスト編1

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産まれた時から体が大きくて、子供ながらに性器も大きめだった。
それをからかわれた事もあったが、成長するに連れて話題に上る事が無くなった。たいてい言葉を失うから。

そっちは置いといてガタイの良さを生かして兵士訓練所に入ると、先輩達は気の良い人が多く、丁寧に指導してくれたし、恵まれた馬鹿力もあってめきめきと頭角を現して成人前に卒業トーナメントで先輩を押しのけて優勝した。おかげで成人と同時に希望部署へ配属してもらえる事になった。新人研修だ。

希望と言ってもどこを希望すれば良いのか分からない。

王国騎士団は貴族でないと入れないし、王都では騎士団が人気で他の警備などは比べられ、バカにされる。地方は良く知らない。

そんな折り、仲の良い先輩達からあそこの砦だけは希望するな、と言われた所があった。
魔の森で魔獣を狩る砦だ。だが、他の魔の森については言わないのにそこだけは止めろと言う。
人間、しつこく止めろと言われると行きたくなるモノだ。

所長に例の魔の森の砦を希望すると伝えると、所長がニヤリと笑ってそうか、とだけ言って手続きをしてくれた。その知らせを聞いて他の先輩達が次こそは自分が!と騒いでいたので、やっぱり1番人気の砦だったことが伺えた。

でも人気の理由は誰も教えてくれない。

大した荷物もなく、すぐに1人で出立するとそこは馬で約2週間の町の更に向こうにあった。
町までは迎えが来ていて、馬は町に預けて馬車に乗り込んで一緒に森の道を進んだ。馬車の荷は酒と食料が多かった。

「ここが世界一幸せな砦だ!」

案内してくれた兵士が意味不明な紹介をした。
辺境で魔獣を狩る砦で幸せ?腕が磨けるとか?でもそれなら理由を隠す必要はないし…

「来たな、新人!隊長のガルデルだ。こっちは副隊長のマルコス。よろしくな。」
「パストルです!成人したばかりで何も分かりませんが何でもやりますのでどんどん言いつけて下さい!」
「やる気があってよろしい!今夜は歓迎会だ。飲んで食って楽しめ!」
「ありがとうございます!」

なるほど、こんなに感じの良い上官ならみんなが希望するのも頷ける。

部屋を教えられ、砦の中をひととおり案内されて兵士達に紹介され、毎日のスケジュールを教えられ、教育係もつけてくれた。しばらくは教育係のサンティが一緒に行動してくれる。養成所の方がもう少しぎすぎすしていたくらいだ。

「こちらの砦の人達は仲が良いんですね。」
「まぁな。ケンカすると2ヶ月に1度のお楽しみを取り上げられちまうからな。」
「お楽しみ?」
「それはまた後でな。…ただ、ここ1ヶ月は…ちょっと。早く再開して欲しいんだが、無理も言えないし…」

なんなのだろう?

疑問に思いながらも後で教えてくれると言うので目の前の事に意識を向けた。

「ヨシキ!」

サンティが叫んだ。
まだ挨拶していない人がいたのかと顔を上げると、食堂の方から来た小柄な可愛い少年と後ろに控えるじーさん。砦に似つかわしくない少年はまっすぐオレに近づいて言った。

「初めまして、僕はヨシキ。料理長の手伝いをしながらここで暮らしているんだ。」

心臓が高鳴る。
初めて会ったはずなのにどこか懐かしく、胸が熱くなる。

「今日からここに転属になりましたパストルです!ヨシキさん、よろしくお願いします!」

はっと我に帰って挨拶をすると、ふんわりと笑って言った。

「ヨシキって呼んで欲しいな。」
「では俺の事はパストと呼んで下さい!」

と勢い良く返した。可愛い可愛い可愛い!






「こいつが新人も新人、養成所を卒業したばかり成人したばかりのド新人だ!みんな、可愛がってやってくれ!」
「パストルです!よろしくお願いします!」

隊長の紹介を受けて挨拶をすると、コップを渡されて酒を注がれる。
ほぼ全員が歓迎会に参加している様だが、大丈夫なのか?
心配になって聞いてみたら半分の人は1杯だけだから大丈夫らしい。

大皿料理だと奪い合いになるから、と料理は各々の皿に盛りつけられている。カラアゲってのは初めて食べたけどめちゃくちゃ美味い!特別料理だそうでなかなか食べられないらしい。他にもパンに具材を挟んだ物や珍しいシャカラタの実もあった。

でもシャカラタの実はみんな大事にとっておくそうだ。甘くてほろ苦くて濃厚なこの実は採り過ぎると枯れてしまうので希少だ。
おれは1つ食べて、残りの2つは皆に習ってとっておく事にした。理由はそのうち分かるだろう。

「ヨシキ、俺1ヶ月以上我慢したよ。そろそろどうかな?」

少し離れた所にいるヨシキをちらちら見ていたら1人の兵士が近づいて話しかけた。
1ヶ月、って…あれ?

「良いよ。待っててくれてありがとう。今からにする?」
「!! 良いのか!?」

その人は笑顔で頷くヨシキを食堂だと言うのにぎゅっと抱きしめた。

「食事終わったら温泉いこう?」
「急いで食っちまおう!」
「唐揚げなのに!」

笑いながら普通のペースで食べて、オレにひと声かけて連れ立って出て行った。

恋人…なのかな?
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