いばら姫

伊崎夢玖

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強姦

第七話

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保は翌朝まで桃の隣で手を繋いで寝顔を見ていた。
桃たっての願いだ。蔑ろにするわけがなかった。
朝になり、桃が目を覚ました。桃は、朝早くから検査が山積みだった。
意識がなかった時にできなかった精査をやっていく。
保は予め学校に連絡をし、桃の分と合わせて休む連絡を入れておいたので、朝からずっと桃の精査に付き合う。
まずは、婦人科で妊娠検査を行う。
オメガは発情期になれば確実に妊娠するので、超初期判定でも陽性が出る。
やはり、検査結果は陽性だった。
桃は結果を聞いた後すぐに中絶を希望した。
誰の子かも分からず、希望しない妊娠なのだから当然である。
中絶には未成年の場合、親の同意書が必要なのだが、桃の親は桃に関して全く関心を持っていない。
同意してもらえるとは思っていなかった。
本来はあり得ないことだが、代理として保が同意することとなった。
いくら自分の子ではないとはいえ、命の灯を消す行為に同意することに罪悪感があった。
同意書に震える手でサインし、提出する。
これで桃のお腹の子は堕ろされる。保は複雑な気持ちだった。
処置は三十分もしないうちに終わり、念の為ということで桃は安静室で横になっていた。
「気分はどうだ?」
「変わんない」
「悪くないか?」
「んー、よくもないし、悪くもない」
「そうか」
「うん」
「お腹減ってないか?何か食うか?」
「梅のおにぎり食べたい」
「分かった。ちょっと売店で買ってくるから寝てろよ」
「はぁーい」
「それじゃ、行ってくるな」
保は安静室を離れ、売店で桃の梅のおにぎりとお茶を買い、すぐ戻った。
安静室に入ると、桃は気が張っていて疲れたのか、眠っていた。
涙の跡がある。泣いていたようだ。
あの頃から何も変わらない。
あの小さなお姫様は、成長して素敵なレディーになっても、相変わらず強がりなお姫様なままだった。
一人にならないと泣けない。
(一人で泣くなよ。俺がいるだろ…)
保は寝ている桃の涙の跡を拭った。
サイドテーブルの上に買ってきた物を置き、スマホでとある人物に連絡をした。
「お忙しいところ、申し訳ございません。久世でございます。折り入ってお話したいことがあります。お時間作っていただけませんでしょうか。…では、明日の二十一時にいつもの店で。よろしくお願い致します。失礼致します」
電話が切れると同時くらいに桃が目を覚ました。
「…久世?」
「起きたか?おにぎり食えるか?」
「食べる」
「お茶も入ってるから、ゆっくり食えよ」
「…ありがと」
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