いばら姫

伊崎夢玖

文字の大きさ
23 / 57
修学旅行

第二十話

しおりを挟む
桃を賭けたバトルの火蓋が切って落とされた数日後、桃の学年は修学旅行で京都へ来ていた。
保は養護教諭として、修学旅行中に体調不良となった生徒の世話をするために同行している。
藤堂は桃の学年の担任を持っているので、当然のように同行している。
一日目は全員一緒の団体行動。
二日目、三日目はグループで行くのもよし、一人で回るもよし、各自でプランを決めての個人行動。
桃は一人で行動するようだった。
保はこっそり桃の後をついて行った。
二日目は北野天満宮、白峯神社、平安神宮を巡っていた。
桃は収集癖があるようで、御朱印帳を持参し、社務所で書いてもらっていた。
御朱印が一つ増える度に、桃はすごく嬉しそうに笑った。
心からの桃の笑顔は周りを明るくする。
(少しでも笑顔が出てきてよかった…)
保もそんな桃の姿を見て、遠くから微笑んだ。
三日目は八坂神社を巡り、遅いお昼を取っていた。
店の外で見ていると、人が行列を作っている。
どうやらすごい人気店のようだった。
しかし、桃は予約を取っていたようで、待ち時間もそこそこに店内に案内されていた。
しっかりしていないようで、ちゃんとしている。
そこがまた桃のいいところなのだ。
少量ずつの懐石料理を食べ、満足した様子で外に出てきた。
そこから、次は清水寺、地主神社を巡る。
地主神社へ向かう足取りがいつもより僅かに軽いように見えた。
保は知らなかったが、地主神社は恋愛の神様が祀られている。
やたら長い時間熱心に願い事をしている。
桃は今好きな奴がいて、そいつとの恋愛成就を祈願しているのだろうか。
(誰とのことを祈願してるんだ?)
保は気が気でなかった。
藤堂とのことがあるので、全然余裕がなかった。
清水寺には多くの修学旅行生が来ていて、保はその人の波に流されてしまった。
(おいっ!俺を押してんじゃねぇよ)
保は人の波を押し分け、急いで元いた場所まで戻ったが、そこに桃の姿はなかった。
(桃、どこ行った?まだ近くにいるのか?)
こっそり覗いた桃の手帳からこの次に行くのは伏見稲荷大社ということまで把握している。
急いで伏見稲荷大社まで行く。
多少遅れはしたが、まだここに桃がいるはずだ。
大社内をくまなく捜索する。
すると、人気のない所に顔面蒼白で恐怖に慄いている桃がいた。
様子がおかしい。
以前襲われた時に救出した状況の表情に近い気がした。
桃に駆け寄ろうとすると、桃の上で何かが動いていた。
藤堂だった。
藤堂はあろうことか、桃のフェロモンで我を忘れて、桃を襲っていた。
『どうなんだよ?気持ちいいんだろ?』
「止めて…せんせぇ…」
『止めないよ。君は僕の物だからね』
「嫌だ…離してぇ…っ!」
『君はご家族から僕に売られたんだよ?』
「えっ!?」
『何も聞いていないんだね。君の家業へ融資する代わりに僕の許嫁になったんだよ』
「そんなの知らない」
『そうだろうね。高校卒業するまでは君に何も伝えないという約束になっていたから』
「…」
『今全部伝えてしまったから、もういいよね。君の全部貰うね』
「何してるの?」
『もっと気持ちいいことだよ。今から君と僕、一つになるんだよ』
「お願い…それだけは止めて…」
『うるさいなぁ。僕が君に何してもいいだろ?君は僕の物なんだから』
「嫌ぁっ!」
藤堂は自らスラックスのベルトとチャックを緩めると、中から狂暴な一物を出し、桃の蜜壺に当て、今まさに入ろうとした瞬間、保が藤堂に体当たりをし、藤堂が桃の上から吹っ飛んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...