13 / 52
家を建てるときは
しおりを挟む
元々俺はベテランの精霊守護騎士としての職務において、フィールドワークで様々なスキルを獲得していた。
その一つに広範囲に探索の網を張り、土の精霊気のネットワークで異常を察知するというものがある。つまり索敵能力の一種である。
今回も何時もと同様にそれ(全土感知)をセットしておいたので深夜、異変のアラートが脳内に響き起きたのだ。ネットワークの情報によると30名ほどの恐らく人間で、詳細不明な精霊気をまき散らしながら大きな機材を操り山荘に迫ってきているようすだった。方角的には上方向以外の三方を取り囲む形での包囲陣形である。
このような事は今までも何度か国境付近で経験したことがあるので、敵の接近速度から逆算して猶予を図る事が出来る。今は5段階で3だろうと推測した。つまり、まだ逃げだす余裕は十分にあるのだ。
俺は直ぐにラムを起こして回避活動に入ろうとしたが彼女はミューであった。
「ラム、起きているか?」
「う、うん……ここどこですか?」
それでラムではなくてミューだと判った。だが、こと細かく説明している時間はないので取りあえず出発するから準備してくれと急かす。何が何だか分からないまま言われたとおりに支度して俺の後をついて山荘をでる。
「これで2人乗りをしたいのだが、頼めるかな?」
と言って竹箒を手渡すと、「え!」と言う。2人乗りというのが気になったのだろうか。それでも状況が緊迫していると説明すると判ったという。
「お、お願いします」
と、ミューが緊張して言う。何をお願いしているのかと思ったが取りあえずラムの時と同じように両手で腰を掴んで跨ると小さく悲鳴を上げた。
「キャァ!」
「あれ、間違ったかな?」
「……だ、大丈夫です!」
そういうとゆっくりと飛び上がり、指示通り山の上の方向の大木の陰にそのまま隠れた。少し寒いので俺がヒートウェーブで温めると、気持ちいいという。
「温かいです……」
「そうか、よかった、それでここで少し待機していほしい」
暫くすると彼らが大きな乗り物に乗ってやってきた。それらは浮上して移動するタイプの魔法戦闘用の車両のようだ。それらは音もなく静かに浮上して移動して来る。全部で6台であった。
俺は大体の事が判ったので遠隔で山荘に防御魔法を掛けた。
「アースシールドドーム!」
するとあっという間に土魔法の防御壁が山荘を包みこんだ。それを察知したのかどうか、いきなり彼らの魔法戦闘車両が火を噴いた。
ドーン!ドーン!
まるで局地的な戦争だ。たかが山荘に攻撃を加えるにしては大げさにもほどが有った。逆にそれは徹底的にせん滅するという殺意の現れとも取れる、その強大な火力で山荘を集中砲火しているのだ。
暫くしてから指揮官が攻撃止めと言ったようで砲撃が止む。魔法の爆煙が霧散してから調査係りが点検しに行くが俺の防御壁はビクリともしていないのである。再度指揮官の号令で集中砲火が始まる。それは延々と1時間程続いたが最終的には弾が尽きたのだろうか、ビクともしない防御壁の前に完敗した全軍が撤退しはじめた。
問題はここからである、彼らを追跡して突き止める必要があったのだ。こんな無茶な攻撃をする連中を放置しておくわけにもいかない。逃げるにしても出来る限り相手の情報を入手したうえで逃げるというのが鉄則なのである。
「ごめんね、ミュー怖かったよね」
「ううん、大丈夫です、だって……」
最後は聞き取れなかったが、とりあえず「ありがとう」と言っておいた。
そして、もう一つミューにお願いして彼らを追跡し始めた。
・
・
・
追跡行は延々と3時間も掛かってしまった。彼らの魔法戦闘車両の移動速度が遅いというのもあったが。だがそれで大体の場所は判った。地図によるとそこは国の重要な機関があつまっている組織の建物のようだった。
国として俺達を排除しようとしている事が判ってしまったのだ。
「うーむ……あの山脈を超えて向こう側に行くか、それとも町に紛れて目立たないように行動するかだな」
「はい……」
「今回は派手に山荘を作ったり空を飛んだりしたせいで目だってしまったのだと思う」
「いいなぁ……」
「ん?」
「私もやりたかった」
「なるほど……その手があったか」
「え?」
「うむ、山だから目立ったので海なら大丈夫だと思う」
「そういう物ですか?」
「ここに来る前に上空から確認した時に判ったのだけど、この大きな島の周辺に孤島が沢山あるのが見えたからね」
「その1つに家を作るんですね!」
「そうしよう」
「はい!」
俺たちは早速まだ空が暗いうちに飛んで無人島を探し当てた。そこにまた楽園を作ろうと思っていたのだ。
その一つに広範囲に探索の網を張り、土の精霊気のネットワークで異常を察知するというものがある。つまり索敵能力の一種である。
今回も何時もと同様にそれ(全土感知)をセットしておいたので深夜、異変のアラートが脳内に響き起きたのだ。ネットワークの情報によると30名ほどの恐らく人間で、詳細不明な精霊気をまき散らしながら大きな機材を操り山荘に迫ってきているようすだった。方角的には上方向以外の三方を取り囲む形での包囲陣形である。
このような事は今までも何度か国境付近で経験したことがあるので、敵の接近速度から逆算して猶予を図る事が出来る。今は5段階で3だろうと推測した。つまり、まだ逃げだす余裕は十分にあるのだ。
俺は直ぐにラムを起こして回避活動に入ろうとしたが彼女はミューであった。
「ラム、起きているか?」
「う、うん……ここどこですか?」
それでラムではなくてミューだと判った。だが、こと細かく説明している時間はないので取りあえず出発するから準備してくれと急かす。何が何だか分からないまま言われたとおりに支度して俺の後をついて山荘をでる。
「これで2人乗りをしたいのだが、頼めるかな?」
と言って竹箒を手渡すと、「え!」と言う。2人乗りというのが気になったのだろうか。それでも状況が緊迫していると説明すると判ったという。
「お、お願いします」
と、ミューが緊張して言う。何をお願いしているのかと思ったが取りあえずラムの時と同じように両手で腰を掴んで跨ると小さく悲鳴を上げた。
「キャァ!」
「あれ、間違ったかな?」
「……だ、大丈夫です!」
そういうとゆっくりと飛び上がり、指示通り山の上の方向の大木の陰にそのまま隠れた。少し寒いので俺がヒートウェーブで温めると、気持ちいいという。
「温かいです……」
「そうか、よかった、それでここで少し待機していほしい」
暫くすると彼らが大きな乗り物に乗ってやってきた。それらは浮上して移動するタイプの魔法戦闘用の車両のようだ。それらは音もなく静かに浮上して移動して来る。全部で6台であった。
俺は大体の事が判ったので遠隔で山荘に防御魔法を掛けた。
「アースシールドドーム!」
するとあっという間に土魔法の防御壁が山荘を包みこんだ。それを察知したのかどうか、いきなり彼らの魔法戦闘車両が火を噴いた。
ドーン!ドーン!
まるで局地的な戦争だ。たかが山荘に攻撃を加えるにしては大げさにもほどが有った。逆にそれは徹底的にせん滅するという殺意の現れとも取れる、その強大な火力で山荘を集中砲火しているのだ。
暫くしてから指揮官が攻撃止めと言ったようで砲撃が止む。魔法の爆煙が霧散してから調査係りが点検しに行くが俺の防御壁はビクリともしていないのである。再度指揮官の号令で集中砲火が始まる。それは延々と1時間程続いたが最終的には弾が尽きたのだろうか、ビクともしない防御壁の前に完敗した全軍が撤退しはじめた。
問題はここからである、彼らを追跡して突き止める必要があったのだ。こんな無茶な攻撃をする連中を放置しておくわけにもいかない。逃げるにしても出来る限り相手の情報を入手したうえで逃げるというのが鉄則なのである。
「ごめんね、ミュー怖かったよね」
「ううん、大丈夫です、だって……」
最後は聞き取れなかったが、とりあえず「ありがとう」と言っておいた。
そして、もう一つミューにお願いして彼らを追跡し始めた。
・
・
・
追跡行は延々と3時間も掛かってしまった。彼らの魔法戦闘車両の移動速度が遅いというのもあったが。だがそれで大体の場所は判った。地図によるとそこは国の重要な機関があつまっている組織の建物のようだった。
国として俺達を排除しようとしている事が判ってしまったのだ。
「うーむ……あの山脈を超えて向こう側に行くか、それとも町に紛れて目立たないように行動するかだな」
「はい……」
「今回は派手に山荘を作ったり空を飛んだりしたせいで目だってしまったのだと思う」
「いいなぁ……」
「ん?」
「私もやりたかった」
「なるほど……その手があったか」
「え?」
「うむ、山だから目立ったので海なら大丈夫だと思う」
「そういう物ですか?」
「ここに来る前に上空から確認した時に判ったのだけど、この大きな島の周辺に孤島が沢山あるのが見えたからね」
「その1つに家を作るんですね!」
「そうしよう」
「はい!」
俺たちは早速まだ空が暗いうちに飛んで無人島を探し当てた。そこにまた楽園を作ろうと思っていたのだ。
57
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる