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おかえり、私の吸血鬼さん3
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「ん……ぅ……」
「あ、起きた?」
いつの間にか気を失っていたと身体を起こそうとするも、身体に力が入らなくてびっくりする。
自分の身体を見下ろせば、いつの間にか身体も清められていて、裸ではなく寝間着を着せられていた。
葉子が焦った表情をしていることで察したらしいクリオが、彼女の起こしかけた頭をゆっくり押し返して再び枕に沈める。
「無理しないで。起きれないでしょ?」
「うん。何で? こんなの初めてだけど……」
「あ、ごめんごめん。つい勢いあまって血を飲み過ぎちゃった」
てへ、と可愛らしく言ってのけるクリオに、はぁ、と大きく溜め息をつく。
そうだ、クリオはそういうヤツだったと思い出して苦笑した。
「お茶飲む?」
「うん、飲もうかな……」
散々喘がされたせいで喉がカラカラだ。
するとクリオはお茶を呷ると、こちらにやってきて口付けてくる。
口移しで飲まされ、ごくんごくん、と嚥下しつつ飲み込むと、にゅるんと入り込んだ舌が私の口の中を蹂躙していく。
「ん、ん、ん……っぷは。死ぬ」
「ふふふ、ごめんごめん。ついしたくなっちゃった」
「もう」
ジト目で彼を見れば、悪気はなさそうにカラカラと笑う。
本当にクリオは人にも甘いが自分にも甘い。
「それで? たっぷり食事できて元気になったの?」
「うん。もう一つの村くらいだったら壊滅させられるくらいには元気だよ」
「何その例え。ちょっと怖いんだけど」
「ふふ、冗談だよ、冗談」
クリオの謎の冗談はどこまでが冗談かわからないからタチが悪い。
とりあえず気にしたら負けだと、それ以上は突っ込まずに、ふぅと息を吐きながら力を抜いて布団に身体を沈めた。
「今日が休みでよかった」
「だねぇ」
「だねぇ、じゃないでしょ。ちょっとは反省しなさい」
「わかってるよぉ。今日は葉子ちゃんの下僕として働かせていただきます~」
「言ったからね? 馬車馬のように働いてもらおうかしら」
「え、ちょ、ちょっとは手加減してよ?」
「ふふ、どうしようかなぁ……」
くすくすと笑っていると、頬を撫でられる。
そしてそのまま口付けられると、額をこつんとぶつけられた。
「今日さ、もし葉子ちゃんが午後とかに起きれたら行きたいところあるんだけど、いい?」
「何よ、いきなり」
「葉子ちゃんにとって悪い話じゃないと思うよ?」
「んー、本当に?」
「本当本当。だから、ね? もうちょっとゆっくり寝てて」
「ん、わかった」
クリオに頭を撫でられるとだんだん眠くなってくる。
「クリオ」
「ん?どうしたの、葉子ちゃん」
「一緒に寝て」
「……珍しいね。葉子ちゃんからおねだりするだなんて。いいよ、一緒に寝ようか」
そう言ってもぞもぞとクリオが一緒の布団に入ってくる。
ぴとっとくっつけば、「甘えてくる葉子ちゃんも可愛いね」とギュッと抱きしめられた。
(暖かくてホッとする)
こうして欲求を言葉にしてみると、案外簡単だと言うことに気づいて、今までこれが言えなかった自分がちょっと情けなくなった。
今も心のどこかで睡魔のせいで甘えたのだと自分に言い訳している自分もいるが、少しずつでも素直になれたらいいなぁと薄らと思う。
「おやすみ、葉子ちゃん」
「ん、おやすみ」
クリオの首に自分の腕を回して引き寄せる。
そして、チュッと口付けたあと、「あとで頑張って起きるね」と目蓋を閉じたまま、クリオの唇に触れながら話す。
「うん、ちゅ……っ、またあとで」
ちゅっちゅ、といくつか口付けを交わすとそのまま意識が遠ざかっていく。
そして、空腹で起きたときはすっかり夕暮れではあったが、大いに遅くなったブランチを済ませるとクリオの行きたいところ……指輪屋さんへと向かうのであった。
終
「あ、起きた?」
いつの間にか気を失っていたと身体を起こそうとするも、身体に力が入らなくてびっくりする。
自分の身体を見下ろせば、いつの間にか身体も清められていて、裸ではなく寝間着を着せられていた。
葉子が焦った表情をしていることで察したらしいクリオが、彼女の起こしかけた頭をゆっくり押し返して再び枕に沈める。
「無理しないで。起きれないでしょ?」
「うん。何で? こんなの初めてだけど……」
「あ、ごめんごめん。つい勢いあまって血を飲み過ぎちゃった」
てへ、と可愛らしく言ってのけるクリオに、はぁ、と大きく溜め息をつく。
そうだ、クリオはそういうヤツだったと思い出して苦笑した。
「お茶飲む?」
「うん、飲もうかな……」
散々喘がされたせいで喉がカラカラだ。
するとクリオはお茶を呷ると、こちらにやってきて口付けてくる。
口移しで飲まされ、ごくんごくん、と嚥下しつつ飲み込むと、にゅるんと入り込んだ舌が私の口の中を蹂躙していく。
「ん、ん、ん……っぷは。死ぬ」
「ふふふ、ごめんごめん。ついしたくなっちゃった」
「もう」
ジト目で彼を見れば、悪気はなさそうにカラカラと笑う。
本当にクリオは人にも甘いが自分にも甘い。
「それで? たっぷり食事できて元気になったの?」
「うん。もう一つの村くらいだったら壊滅させられるくらいには元気だよ」
「何その例え。ちょっと怖いんだけど」
「ふふ、冗談だよ、冗談」
クリオの謎の冗談はどこまでが冗談かわからないからタチが悪い。
とりあえず気にしたら負けだと、それ以上は突っ込まずに、ふぅと息を吐きながら力を抜いて布団に身体を沈めた。
「今日が休みでよかった」
「だねぇ」
「だねぇ、じゃないでしょ。ちょっとは反省しなさい」
「わかってるよぉ。今日は葉子ちゃんの下僕として働かせていただきます~」
「言ったからね? 馬車馬のように働いてもらおうかしら」
「え、ちょ、ちょっとは手加減してよ?」
「ふふ、どうしようかなぁ……」
くすくすと笑っていると、頬を撫でられる。
そしてそのまま口付けられると、額をこつんとぶつけられた。
「今日さ、もし葉子ちゃんが午後とかに起きれたら行きたいところあるんだけど、いい?」
「何よ、いきなり」
「葉子ちゃんにとって悪い話じゃないと思うよ?」
「んー、本当に?」
「本当本当。だから、ね? もうちょっとゆっくり寝てて」
「ん、わかった」
クリオに頭を撫でられるとだんだん眠くなってくる。
「クリオ」
「ん?どうしたの、葉子ちゃん」
「一緒に寝て」
「……珍しいね。葉子ちゃんからおねだりするだなんて。いいよ、一緒に寝ようか」
そう言ってもぞもぞとクリオが一緒の布団に入ってくる。
ぴとっとくっつけば、「甘えてくる葉子ちゃんも可愛いね」とギュッと抱きしめられた。
(暖かくてホッとする)
こうして欲求を言葉にしてみると、案外簡単だと言うことに気づいて、今までこれが言えなかった自分がちょっと情けなくなった。
今も心のどこかで睡魔のせいで甘えたのだと自分に言い訳している自分もいるが、少しずつでも素直になれたらいいなぁと薄らと思う。
「おやすみ、葉子ちゃん」
「ん、おやすみ」
クリオの首に自分の腕を回して引き寄せる。
そして、チュッと口付けたあと、「あとで頑張って起きるね」と目蓋を閉じたまま、クリオの唇に触れながら話す。
「うん、ちゅ……っ、またあとで」
ちゅっちゅ、といくつか口付けを交わすとそのまま意識が遠ざかっていく。
そして、空腹で起きたときはすっかり夕暮れではあったが、大いに遅くなったブランチを済ませるとクリオの行きたいところ……指輪屋さんへと向かうのであった。
終
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