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第一章 新人いびり
新人いびり⑨
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「何で、てめぇがメンバーに入ってんだよ!? さっさと自分から辞退しやがれ!」
あの朝礼後、すぐさま根津に呼び出され資料室へと連れて行かれる。
清田を含む社員達は根津から発せられる怒気にあてられ、何も言えずにただ見送るしかできない様子だった。
その中で一人だけ、田町だけが口元を大きく歪めていたのに気づき、あっちから早々に仕掛けてきたかと、アズマは思わず笑みが溢れそうになるのを押し留める。
「おぃ、聞いてやがんのか!? てめぇ!??」
「聞いてますけど」
「あん!? 何だよ、その態度。この俺様に楯突く気か!?」
ドンっと肩を強く押されアズマの身体はふらつく。
だが、倒れることはせずにそのまま根津の前に立ち尽くしていた。
(もうこいつは用済みでいいだろう)
アズマの中で彼は今後のプランに必要ない分子だと判断する。
そもそも根津は恐らく田町の配下として好き勝手させているだけの小者にすぎない。
そのため、そろそろこの案件からご退場いただいても構わないだろう、とアズマは根津に見切りをつけると、サッと印を結び始める。
突然印を結ぶアズマの様子を不審に思ったのか、最初こそ「きもっ、オタクか? 何やってんだよ、ビビりすぎてイカれたか?」と嘲笑っていたが、アズマの異様な雰囲気にだんだんと「な、何してやがるんだ!?」と焦りだす根津。
だが、もうここに引き込んだ時点で根津の未来は決まっていた。
「ようこそ、悪夢へ」
アズマがそう口にすると、資料室内に闇が降りてきて二人を包み込む。
根津はびっくりして尻餅をつきながら、「な、何だ!? 何が起きている!?? どうなってんだ! 吾妻、てめぇ! 何しやがった!!」と喚くも、暗闇に飲み込まれて音はどこにも届かなかった。
「どこにいるんだ、吾妻ァ!!」
根津が何度も叫ぶと彼の目の前に現れるアズマ。
そしてアズマは根津を煽るようにニヤッと口元を歪めた。
「随分と威勢がいいですね。でも、それがいつまで続きますかね?」
「はぁ!? ふざけんじゃねぇえ!! ここから出しやがれ!!」
根津がアズマに向かって殴りかかるも、空をきる拳。
その後何度も殴ろうと試みるも、いずれも当たらず、ただ根津の体力が消費していくだけだった。
「僕とそんなに殴り合いがしたいんです?」
「はぁ!? 殴り合い? おれが一方的に殴るんだよぉ! つか、おめぇが俺に勝てるわけねぇだろ!!」
「では、これでは?」
アズマが手を大きく振る。
「はっ、全然当たらねぇじゃねぇか……ってえ、う、ぐぉおおおおお」
アズマの手が遠くで空をきっているのをバカにしていた根津。
だが次の瞬間、根津は思ってもみないほどの強い力でなぎ倒され、身体が大きく吹っ飛んだ。
アズマの手は遠く離れていたはずなのに、なぜこんなにも衝撃が、と訳がわからなくなりながらも根津はふらふらと立ち上がる。
「おや、まだ立ち上がるんです? いっそ気を失っていたほうが楽でしょうに」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!! お前みてぇな雑魚、一瞬でぶっ飛ばしてやる!」
「一瞬? 鼻血を出してる人がよく言う」
鼻血、というアズマの言葉につられて根津が鼻を触る。
だが、そこには鼻血などついてなく、根津がアズマを見れば「はは、嘘に騙されるなんて、単純ですね」と言われ、そこで根津は自身が揶揄われたことに気づいた。
「く、くそがぁああああ!! てめぇはぜってー、ぶっ殺す!!」
真っ赤な顔をしてアズマに立ち向かっていく根津。
だが、ことごとく拳や蹴りは受け流されるか受け止められる。
元々根津は大学時代ボクシング部所属でそれなりに格闘経験があり、何度か大会で優勝経験もあり、実力があると自負があった。
だが、今まで経験したことないほどの圧倒的な強さをアズマに感じ、徐々に追い詰められていく。
だが、引くに引けない根津は体力の限界ギリギリまでアズマに何度も何度も拳を振るった。
「うーん、そろそろ飽きました。やっぱり、人間って弱いですね」
「は……っ!? ふざけんな! バカにしてんんじゃねぇ! って、おい、こら、何すんだ! は、離せ!!」
アズマがひょいっと根津の胸ぐらを掴んで持ち上げる。
根津は必死に暴れるもアズマはびくともせず、そのまま持ち上げたまま「さようならのお時間です」と言うと、根津の身体は磔のように突如湧いた無数の腕によって拘束された。
「う、ぁ、な……っ、何だよ、これ!?? 吾妻、何しやがったんだ! おい!!」
「これは貴方にやられた皆さんの怨念の化身ですよ。せいぜいしっかり味わってください」
「うぅぅうううああああぁ、う、嘘だろ!? お、おい、助け……っ、うごぉぼぐぅぁあああ」
無数の手が根津のあらゆるところに伸びて彼を飲み込んでいく。
そして、アズマはトドメとばかりに根津の中心に手を突っ込むと、その中から根津の魂を引き抜いた。
根津の魂は彼の本質を表し、ほんのり濁った色味で腐ったドブのような匂いがする。
「うーん、もうちょっと絶望を味あわせたほうがよかったかなぁ。もっと時間をたっぷりかけてやればよかった。反省反省」
アズマが悪夢を解除すると、そこには何の変哲もない資料室が姿を表す。
そして、転がって口から泡を噴いたままの根津はそれからもう起きることはなかった。
あの朝礼後、すぐさま根津に呼び出され資料室へと連れて行かれる。
清田を含む社員達は根津から発せられる怒気にあてられ、何も言えずにただ見送るしかできない様子だった。
その中で一人だけ、田町だけが口元を大きく歪めていたのに気づき、あっちから早々に仕掛けてきたかと、アズマは思わず笑みが溢れそうになるのを押し留める。
「おぃ、聞いてやがんのか!? てめぇ!??」
「聞いてますけど」
「あん!? 何だよ、その態度。この俺様に楯突く気か!?」
ドンっと肩を強く押されアズマの身体はふらつく。
だが、倒れることはせずにそのまま根津の前に立ち尽くしていた。
(もうこいつは用済みでいいだろう)
アズマの中で彼は今後のプランに必要ない分子だと判断する。
そもそも根津は恐らく田町の配下として好き勝手させているだけの小者にすぎない。
そのため、そろそろこの案件からご退場いただいても構わないだろう、とアズマは根津に見切りをつけると、サッと印を結び始める。
突然印を結ぶアズマの様子を不審に思ったのか、最初こそ「きもっ、オタクか? 何やってんだよ、ビビりすぎてイカれたか?」と嘲笑っていたが、アズマの異様な雰囲気にだんだんと「な、何してやがるんだ!?」と焦りだす根津。
だが、もうここに引き込んだ時点で根津の未来は決まっていた。
「ようこそ、悪夢へ」
アズマがそう口にすると、資料室内に闇が降りてきて二人を包み込む。
根津はびっくりして尻餅をつきながら、「な、何だ!? 何が起きている!?? どうなってんだ! 吾妻、てめぇ! 何しやがった!!」と喚くも、暗闇に飲み込まれて音はどこにも届かなかった。
「どこにいるんだ、吾妻ァ!!」
根津が何度も叫ぶと彼の目の前に現れるアズマ。
そしてアズマは根津を煽るようにニヤッと口元を歪めた。
「随分と威勢がいいですね。でも、それがいつまで続きますかね?」
「はぁ!? ふざけんじゃねぇえ!! ここから出しやがれ!!」
根津がアズマに向かって殴りかかるも、空をきる拳。
その後何度も殴ろうと試みるも、いずれも当たらず、ただ根津の体力が消費していくだけだった。
「僕とそんなに殴り合いがしたいんです?」
「はぁ!? 殴り合い? おれが一方的に殴るんだよぉ! つか、おめぇが俺に勝てるわけねぇだろ!!」
「では、これでは?」
アズマが手を大きく振る。
「はっ、全然当たらねぇじゃねぇか……ってえ、う、ぐぉおおおおお」
アズマの手が遠くで空をきっているのをバカにしていた根津。
だが次の瞬間、根津は思ってもみないほどの強い力でなぎ倒され、身体が大きく吹っ飛んだ。
アズマの手は遠く離れていたはずなのに、なぜこんなにも衝撃が、と訳がわからなくなりながらも根津はふらふらと立ち上がる。
「おや、まだ立ち上がるんです? いっそ気を失っていたほうが楽でしょうに」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!! お前みてぇな雑魚、一瞬でぶっ飛ばしてやる!」
「一瞬? 鼻血を出してる人がよく言う」
鼻血、というアズマの言葉につられて根津が鼻を触る。
だが、そこには鼻血などついてなく、根津がアズマを見れば「はは、嘘に騙されるなんて、単純ですね」と言われ、そこで根津は自身が揶揄われたことに気づいた。
「く、くそがぁああああ!! てめぇはぜってー、ぶっ殺す!!」
真っ赤な顔をしてアズマに立ち向かっていく根津。
だが、ことごとく拳や蹴りは受け流されるか受け止められる。
元々根津は大学時代ボクシング部所属でそれなりに格闘経験があり、何度か大会で優勝経験もあり、実力があると自負があった。
だが、今まで経験したことないほどの圧倒的な強さをアズマに感じ、徐々に追い詰められていく。
だが、引くに引けない根津は体力の限界ギリギリまでアズマに何度も何度も拳を振るった。
「うーん、そろそろ飽きました。やっぱり、人間って弱いですね」
「は……っ!? ふざけんな! バカにしてんんじゃねぇ! って、おい、こら、何すんだ! は、離せ!!」
アズマがひょいっと根津の胸ぐらを掴んで持ち上げる。
根津は必死に暴れるもアズマはびくともせず、そのまま持ち上げたまま「さようならのお時間です」と言うと、根津の身体は磔のように突如湧いた無数の腕によって拘束された。
「う、ぁ、な……っ、何だよ、これ!?? 吾妻、何しやがったんだ! おい!!」
「これは貴方にやられた皆さんの怨念の化身ですよ。せいぜいしっかり味わってください」
「うぅぅうううああああぁ、う、嘘だろ!? お、おい、助け……っ、うごぉぼぐぅぁあああ」
無数の手が根津のあらゆるところに伸びて彼を飲み込んでいく。
そして、アズマはトドメとばかりに根津の中心に手を突っ込むと、その中から根津の魂を引き抜いた。
根津の魂は彼の本質を表し、ほんのり濁った色味で腐ったドブのような匂いがする。
「うーん、もうちょっと絶望を味あわせたほうがよかったかなぁ。もっと時間をたっぷりかけてやればよかった。反省反省」
アズマが悪夢を解除すると、そこには何の変哲もない資料室が姿を表す。
そして、転がって口から泡を噴いたままの根津はそれからもう起きることはなかった。
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