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4章【外交編・サハリ国】
74 衣装
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「そういえば、言いそびれてましたが、その衣装お綺麗ですね。マーラ様にとてもお似合いです」
先程気づいたときは、マーラの存在の方に驚いてしまって言えずじまいだったが、彼女の衣装がずっと気にはなっていた。
白をベースに鮮やかな極彩色が裾を彩り、風によってその裾が揺らめく姿は、まるで美しい花か、花の精のようである。
配色が褐色の肌のマーラにとても似合っていて、遠くから見ても、近くから見ても、美しいと言えるほどマーラ自身の美しさを際立たせていた。
もちろん、花嫁衣装ほどの豪華さや優美さではないものの、それに準ずるほどの華やかさがあるといえる。というか、素人目ではあるが、普通に花嫁衣装ばりに手が込んでいるように思う。
「え……あぁ、そうですわね。ありがたい、ことですわね……」
再び、何とも奥歯に物が挟まった言い方だ。もし普段の彼女であれば、さぞ美しい自分を自慢するでしょうに、これはまた訳ありだということだろうか。
つい、己の好奇心がむくむくと疼く。
「ご自身でご用意を?」
「え、いえ。国王陛下が……その……用意を。せっかくのハレノヒだし、ワタクシに似合うだろうから、と」
(ふぅん……、服を贈るくらいには親交があるということね)
自分が詮索されるのは好まないが、身近でこういうことが起きるとつい気になってしまうのは仕方ないことだろう。
誰だって人の恋路は気になるものだ。
……恋路かどうかはまだ不明だが、反応的にそれ相応のものではないかと勝手に勘繰る。
しかも、正直そこまで悪くない組み合わせではないかな、と密かに思っている。
クエリーシェルを諦めて欲しいという下心がないわけでもない。だが、どことなく私とマーラは似てる部分があるし、マーラ自身もブランシェを悪く思ってないのであればイケるのではないか、と下世話ながら勝手に思う。
まぁ、そもそもどこでこんなに親交を深めたのかも気にならないわけでもなかった。一体どのような経緯でこういう関係になったのか、できることなら聞きたい。
(確かにブランシェは基本私の近くにいたけど、ずっとそばにいたわけでもないしなぁ……)
ついそんな野次馬したい気持ちが顔に出てたのか、マーラにキッと睨まれる。だが、その顔はどこか紅潮してて、どちらかというと恐いというよりも可愛らしかった。
「わ、ワタクシのことはよろしいですから。ステラとお話してると気が散ってしまいますわ」
「あー、すみませんすみません。引き続きよろしくお願いします」
つい微笑ましくなって口元が緩む。妹を見る姉とはこういう感情なのかな、となんとなく姉やアーシャの気持ちが多少分かった気がした。
「本当、もう……わかってらっしゃるのかしら」
「えぇ、えぇ、重々承知してますよ」
「そのニヤケ顔は癪に触りますわ」
マーラと会話していたおかげか、思いのほかヘナタトゥーは早く仕上がり、その後3時間ほど乾燥させると、綺麗に描かれたデザインはびっくりするほど綺麗に定着していた。
擦っても水につけても消えず、凄いなぁ……、まだまだ世の中には未知のものが色々あるなぁ……!と自分の腕や脚をまじまじと見続ける。
「では、ワタクシはこれで。結婚式、楽しみにしておりますわ」
「ありがとうございます、マーラ様」
そう言ってマーラが退室する。それを室内から手を振って見送る。
……このことが、のちに後悔することになるとは、そのときは思いもよらなかった。
先程気づいたときは、マーラの存在の方に驚いてしまって言えずじまいだったが、彼女の衣装がずっと気にはなっていた。
白をベースに鮮やかな極彩色が裾を彩り、風によってその裾が揺らめく姿は、まるで美しい花か、花の精のようである。
配色が褐色の肌のマーラにとても似合っていて、遠くから見ても、近くから見ても、美しいと言えるほどマーラ自身の美しさを際立たせていた。
もちろん、花嫁衣装ほどの豪華さや優美さではないものの、それに準ずるほどの華やかさがあるといえる。というか、素人目ではあるが、普通に花嫁衣装ばりに手が込んでいるように思う。
「え……あぁ、そうですわね。ありがたい、ことですわね……」
再び、何とも奥歯に物が挟まった言い方だ。もし普段の彼女であれば、さぞ美しい自分を自慢するでしょうに、これはまた訳ありだということだろうか。
つい、己の好奇心がむくむくと疼く。
「ご自身でご用意を?」
「え、いえ。国王陛下が……その……用意を。せっかくのハレノヒだし、ワタクシに似合うだろうから、と」
(ふぅん……、服を贈るくらいには親交があるということね)
自分が詮索されるのは好まないが、身近でこういうことが起きるとつい気になってしまうのは仕方ないことだろう。
誰だって人の恋路は気になるものだ。
……恋路かどうかはまだ不明だが、反応的にそれ相応のものではないかと勝手に勘繰る。
しかも、正直そこまで悪くない組み合わせではないかな、と密かに思っている。
クエリーシェルを諦めて欲しいという下心がないわけでもない。だが、どことなく私とマーラは似てる部分があるし、マーラ自身もブランシェを悪く思ってないのであればイケるのではないか、と下世話ながら勝手に思う。
まぁ、そもそもどこでこんなに親交を深めたのかも気にならないわけでもなかった。一体どのような経緯でこういう関係になったのか、できることなら聞きたい。
(確かにブランシェは基本私の近くにいたけど、ずっとそばにいたわけでもないしなぁ……)
ついそんな野次馬したい気持ちが顔に出てたのか、マーラにキッと睨まれる。だが、その顔はどこか紅潮してて、どちらかというと恐いというよりも可愛らしかった。
「わ、ワタクシのことはよろしいですから。ステラとお話してると気が散ってしまいますわ」
「あー、すみませんすみません。引き続きよろしくお願いします」
つい微笑ましくなって口元が緩む。妹を見る姉とはこういう感情なのかな、となんとなく姉やアーシャの気持ちが多少分かった気がした。
「本当、もう……わかってらっしゃるのかしら」
「えぇ、えぇ、重々承知してますよ」
「そのニヤケ顔は癪に触りますわ」
マーラと会話していたおかげか、思いのほかヘナタトゥーは早く仕上がり、その後3時間ほど乾燥させると、綺麗に描かれたデザインはびっくりするほど綺麗に定着していた。
擦っても水につけても消えず、凄いなぁ……、まだまだ世の中には未知のものが色々あるなぁ……!と自分の腕や脚をまじまじと見続ける。
「では、ワタクシはこれで。結婚式、楽しみにしておりますわ」
「ありがとうございます、マーラ様」
そう言ってマーラが退室する。それを室内から手を振って見送る。
……このことが、のちに後悔することになるとは、そのときは思いもよらなかった。
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