前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第五十三話 困惑

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「どうかなって言われても……。エディオンには婚約者がいるんじゃ?」
「僕に、婚約者だって……?」

 エディオンが突然難しい顔をする。

 私はなぜそんな顔をするのかわからず、私が婚約者のことを知らないと思ってアプローチしたのかと眉をひそめた。

 だが、返ってきた言葉は思ってもみないものだった。

「すまない、クラリス。婚約者という人物に心当たりがないのだが、一体誰と勘違いしてるのだろうか?」

 その言葉に、頭が真っ白になる。
 訳が分からなくて、私は困惑するしかできなかった。

「……え? でも、ミナ・ブランシェットさんが自分はエディオンの婚約者だと言っていたけど……違うの?」
「ミナ・ブランシェット、だって? いや、彼女と僕は婚約した覚えはないが……」

(どっちが本当のことを言っているのだろう?)

 まさかの回答に困惑する。
 すると、エディオンがちょっと困った表情で話し出した。

「あー、いや、正確に言うとそんな話も持ち上がったこともあったかな。でも、あくまで可能性としてあっただけで実際には彼女とは婚約していない」
「それって、どういうこと……?」
「彼女の家は色々あってね。……ここだけの話、家柄がそぐわないということでその縁談は早々に断ったんだ」
「え、でも彼女の家系って大魔法士ミゲル・ブランシェットが祖先にいるんじゃ」
「だからだよ」

 だから、と言われても理解できずに首を捻る。
 一体どういうことだろうか、私には見当もつかなかった。

「ミゲルについてクラリスはどこまで知ってるかな?」
「えっと、とてもすごい大魔法士で、いくつも魔法も生み出して、……あ、そうそう、防衛術の考案者だとか」
「あぁ、そうだね。それは間違いない。では、彼の晩年のことは?」
「晩年?」

 晩年と言われて、思い返す。

 そういえば、どの書物もミゲルについては全盛期のときのことばかりで、ミゲルの晩年についてはどの書籍にも書かれていなかった。

 そのため、てっきりその後の彼は英雄として扱われていたと勝手に私は思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。

 よくよく考えてみたらマリアンヌもハーパーもオリビアも彼のことを知らなかった辺り、どうにも私の推測は間違っていたようだ。

(であれば、彼は一体どうなったのかしら?)

 考えても漠然としすぎていて何もわからない。だから私は降参するように、手を挙げた。

「ごめんなさい、わからないわ。どの書籍にも晩年は書かれていなかったから。彼は晩年どうなったの?」

 素直に白状し、エディオンに訊ねる。すると彼は、口を小さく開けると声を潜めて話し出した。
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