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第八十一話 アイザックの父
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「マルティーニさん」
不意に声をかけられ、振り向くとそこには壁。……ではなく、見上げるとアイザックのお父様がいて、思わずびっくりして身体ごと跳ねる。
するとアイザックのお父様は「突然声がけしてすまない。驚かせるつもりはなかったんだ」と眉を下げ、威圧感はあるものの、その表情がアイザックに似ていて「やっぱり親子だなぁ」と思った。
「いえ、大丈夫です。……えっと、何か私に御用でしょうか?」
「あぁ、倅からの手紙にキミのことがよく書かれていてね。いつも世話になっているようで、感謝を伝えたくて。いつもアイザックと仲良くしてくれてありがとう」
深々と頭を下げられて、「いえいえ、そんな! こちらこそ、アイザックにはとてもお世話になっていて! むしろ私のほうが迷惑をかけっぱなしです!!」と慌てて自分も頭を下げる。
というか、アイザックもちゃんと手紙書いてるのか、と衝撃を受けると共に、周りに比べて自分のズボラさが浮き彫りになってちょっとへこんだ。
ついでに、私のことをアイザックがなんて書いているのか気になったが、さすがにそこまで突っ込んで聞けないので、聞きたい気持ちをグッと堪えた。
「私がピンチのときとかいつも助けてくれるのはアイザックですし、こちらこそいつもありがとうございます」
「そうなのか。善行をしろというのは私の妻からの遺言なのだが、あいつはきちんと守っているんだな」
「えっと、遺言って……? アイザックのお母様って……」
「アイザックの母親である私の妻は病弱でな。倅がミドルスクールのときに亡くなってしまったんだ。それもあってミドルスクールでは色々あったんだが、私もあいつとはそれもあってギクシャクしててな。……まぁ、今もそうなんだが。だからNMAでアイザックにマルティーニさんみたいな友達ができたことが本当に嬉しくて、ついキミに声をかけてしまった」
「そうだったんですね」
(そういえば、善行をしろというのが我が家のしきたりみたいなもの、とアイザックは言っていたけど、そういうことだったのね)
思いがけない事実に、ちょっと動揺する。
「あいつは私に似て見た目も雰囲気を近寄りがたい感じだろう? だから、こんなに可愛らしいお嬢さんが仲良くしてくれていると知って私もホッとしたんだ。倅には私の就いている役職や立場のせいで根も歯もない悪意に晒されることが多くて、私は不甲斐なくもそのフォローができなくてな。父親として情けない話ではあるんだが……、ってキミにそんなことを言っても困ってしまうな。すまない、なんとなく雰囲気が妻に似ていてつい喋りすぎてしまった」
「え? 私と似ているんですか?」
「あぁ、あくまで雰囲気だがね。柔和でありながらも芯が強い女性だったが、なんとなくマルティーニさんからもそんな雰囲気を感じるのでな。今後ともエディオンさまだけでなく、アイザックとも仲良くしてもらえると助かる」
「こちらこそ。引き続きアイザックには仲良くしてもらえると嬉しいです」
先程とは違って朗らかなイメージのアイザックのお父様。
こうして話すとアイザックに似ている部分をいくつも見つけて、微笑ましく思う。
「では、引き留めてすまなかった。ではまた。もし都合がよければホリデーはぜひうちにも遊びに来てくれ、歓迎する」
「ありがとうございます。ぜひ」
そう言うと、アイザックのお父様はマントを翻して行ってしまった。
(よく見ると渋くてカッコいいおじさまよね。アイザックも年を取ったらお父様みたいにダンディな感じになりそう)
ちょっと妄想して気恥ずかしくなる。
アイザックがあんな風に年を重ねたときにはきっと私はそばにいないとわかっているが、この関係が年を重ねてもなお続けばいいのに、とほんの少し思ってしまった。
不意に声をかけられ、振り向くとそこには壁。……ではなく、見上げるとアイザックのお父様がいて、思わずびっくりして身体ごと跳ねる。
するとアイザックのお父様は「突然声がけしてすまない。驚かせるつもりはなかったんだ」と眉を下げ、威圧感はあるものの、その表情がアイザックに似ていて「やっぱり親子だなぁ」と思った。
「いえ、大丈夫です。……えっと、何か私に御用でしょうか?」
「あぁ、倅からの手紙にキミのことがよく書かれていてね。いつも世話になっているようで、感謝を伝えたくて。いつもアイザックと仲良くしてくれてありがとう」
深々と頭を下げられて、「いえいえ、そんな! こちらこそ、アイザックにはとてもお世話になっていて! むしろ私のほうが迷惑をかけっぱなしです!!」と慌てて自分も頭を下げる。
というか、アイザックもちゃんと手紙書いてるのか、と衝撃を受けると共に、周りに比べて自分のズボラさが浮き彫りになってちょっとへこんだ。
ついでに、私のことをアイザックがなんて書いているのか気になったが、さすがにそこまで突っ込んで聞けないので、聞きたい気持ちをグッと堪えた。
「私がピンチのときとかいつも助けてくれるのはアイザックですし、こちらこそいつもありがとうございます」
「そうなのか。善行をしろというのは私の妻からの遺言なのだが、あいつはきちんと守っているんだな」
「えっと、遺言って……? アイザックのお母様って……」
「アイザックの母親である私の妻は病弱でな。倅がミドルスクールのときに亡くなってしまったんだ。それもあってミドルスクールでは色々あったんだが、私もあいつとはそれもあってギクシャクしててな。……まぁ、今もそうなんだが。だからNMAでアイザックにマルティーニさんみたいな友達ができたことが本当に嬉しくて、ついキミに声をかけてしまった」
「そうだったんですね」
(そういえば、善行をしろというのが我が家のしきたりみたいなもの、とアイザックは言っていたけど、そういうことだったのね)
思いがけない事実に、ちょっと動揺する。
「あいつは私に似て見た目も雰囲気を近寄りがたい感じだろう? だから、こんなに可愛らしいお嬢さんが仲良くしてくれていると知って私もホッとしたんだ。倅には私の就いている役職や立場のせいで根も歯もない悪意に晒されることが多くて、私は不甲斐なくもそのフォローができなくてな。父親として情けない話ではあるんだが……、ってキミにそんなことを言っても困ってしまうな。すまない、なんとなく雰囲気が妻に似ていてつい喋りすぎてしまった」
「え? 私と似ているんですか?」
「あぁ、あくまで雰囲気だがね。柔和でありながらも芯が強い女性だったが、なんとなくマルティーニさんからもそんな雰囲気を感じるのでな。今後ともエディオンさまだけでなく、アイザックとも仲良くしてもらえると助かる」
「こちらこそ。引き続きアイザックには仲良くしてもらえると嬉しいです」
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こうして話すとアイザックに似ている部分をいくつも見つけて、微笑ましく思う。
「では、引き留めてすまなかった。ではまた。もし都合がよければホリデーはぜひうちにも遊びに来てくれ、歓迎する」
「ありがとうございます。ぜひ」
そう言うと、アイザックのお父様はマントを翻して行ってしまった。
(よく見ると渋くてカッコいいおじさまよね。アイザックも年を取ったらお父様みたいにダンディな感じになりそう)
ちょっと妄想して気恥ずかしくなる。
アイザックがあんな風に年を重ねたときにはきっと私はそばにいないとわかっているが、この関係が年を重ねてもなお続けばいいのに、とほんの少し思ってしまった。
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